AAR/海禁史紀事本末/九重の城闕煙塵生じ千乗万騎西南に行く
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[[AAR/海禁史紀事本末]]
龍は何を食べるのか? 食べたいものを食べる
#contents
*明には史上最強の軍隊がある [#j8ed030e]
ゲーム開始時点の明は正統帝の御世ですね。
明朝は六代目の皇帝を迎え、円熟期の隙間から社会動乱の兆し...
史実に従えばオイラートでプレイを開始し、遊牧民ディザスタ...
しかしながら本プレイでは北虜ではなく南倭に注目します。と...
鄭成功とは日本では国姓爺合戦の主役として知られ、明朝復興...
厳密に言いますと彼は倭寇ではないそうなのですが、東アジア...
CENTER:|#ref(https://i.imgur.com/IF8xfgP.png)aa;|
初期領土はフィリピン全域+台湾+沖縄+済州島。
東アジアではなく東南アジアを中心に活動する海賊たちの元締...
海軍重視ですとまったくもって明の誇る膨大な軍隊へと勝利を...
ちなみに倭寇プレイですと本来であれば海賊共和国でプレイす...
アイディアは海運・海軍の順で選択。一番大切なものは海軍保...
さて本プレイのテーマたる倭寇の出自につきましては、邪馬台...
本プレイではフィリピン説を採用いたします。
ちなみにフィリピンはスペイン征服以前の歴史が殆ど現存して...
地域大国である中華世界にとって、地続きでもない南方蛮族は...
数少ない伝説ですと海から取った砂金や黄金を、中華世界へ持...
海で取れる砂金って何なんですかね?
一説によるとフィリピンの名産である黄金色に輝く金真珠(ゴ...
大粒の真珠は自然界ではなかなか見つかりませんが、ゴマより...
現代において宝石の王様はダイヤモンドですが、近代以前は真...
今は昔の物語、正しいものを知る人間は誰もおりませんが、ほ...
*私は皇帝を誰よりも賢いと思っていた [#ubae9681]
老人達の知恵が及ぶ事などわずかで、そして何事も永遠には続...
この日正統帝は大明帝国における十度目の下海通蕃の禁を発布...
月が満ちて欠ける。それを一つと数えるならば八百八十八を数...
爺さんの爺さんの、そのまた爺さんの爺さんの爺さんの頃より...
古来禹は黄河を鎮め、夫差は刊溝を堀り淮河を手にし、楊広は...
水運をつかさどる者こそが天下を統べると相場は決まっておる。
もっとも偉大な皇帝とな?
ふう~む、名を挙げれば限がないが、ここはやはり爺さんの爺...
永楽帝は海を越えた東夷・南蛮共へと勘合を授け、朝貢をお許...
水運だけでなく海運までもを―――そうせくでない。我が一族の中...
一族の宝はなんじゃ? ふむよろしい、緑の茘枝じゃ。黒では...
茘枝はとても繊細な果物でのう、
「一度日が落ちれば色が変わり、二度で香りが変わり、三度で...
玄宗の御世では、我が一族は天秤棒を担いで茘枝を千両へと換...
どんなに早く馬をかけても、長安へたどり着くころには緑の茘...
それでも玄宗の寵姫であった楊貴妃は、茶の茘枝を殊の外喜ん...
さて爺さんの爺さんじゃが、この世で初めて緑の茘枝を北京へ...
「剥けば凝りて水晶の如く、食えば消えて降雪の如し」永楽帝...
これは何だと尋ねられた爺さんの爺さんはとっさに「妃子笑」...
それ以来庫裏への自由な出入りを許され、爺さんの爺さんは官...
おお、それはの。永楽帝の御世では倭寇を服属させ、海運が使...
北京には海を渡り六十余国もの朝貢が訪れ、小宴は三日置き、...
爺さんの爺さんが茘枝を運んで通い続けた間、連日連夜庫裏の...
そうかそうか、お前も紫禁城へ行きたいか。よしよし連れて行...
今日ではないな、明日でもないな。そうせくでない、まだ正統...
CENTER:|#ref(https://i.imgur.com/H4ljUuv.png)aa;|
北京は今、倭寇に尻を抓られておってのう。
市場で出回る品の七割が密貿易によるものだとも言われておる。
CENTER:|#ref(https://i.imgur.com/p8UnQsS.png)aa;|
それを憂いた正統帝は親征を決断された。倭寇を打ち払う為五...
化外の地へ足を踏み入れるなど余程の覚悟がなくば、出来ぬこ...
かの永楽帝もまた草原を越え砂漠を五度も縦断された。
正統帝もまたきっとそれに劣らず偉大な皇帝となられるであろ...
倭寇の根城とな? はて八堵じゃったか、東都じゃったか、麻...
耄碌なんぞしとらんわ! 倭寇の根城に詳しいもんがおったら...
我が一族は代々天秤棒を担いで真っ当な商売をしていたのが誇...
ならず者と関係なんぞあるわけがなかろう。天罰が下るわ!
CENTER:|#ref(https://i.imgur.com/duU7go1.png)aa;|
往時の勢いはなかれども、大明帝国は十四国の朝貢を受ける世...
八十に迫る天命に溢れておるのも、世に恥じぬ振舞いをなされ...
正しき行いを続けるものにこそ、天は恩寵を授けてくださるの...
爺さんの爺さんは正しかった、とてもとても正しかった。
じゃからお前も天秤棒を―――棒を担ぐより竿を扱いたいとな? ...
そうじゃな、爺さんの爺さんも船の好きな変わり者じゃった。
そしてお前に爺さんの爺さんの話をしたこの私は愚か者じゃっ...
よろしい、お前を船頭にして紫禁城へ向かうとしよう。
海運は使わぬぞ、戦が始まるからの。通恵河を通り北京へ至る...
はっーはっはっはー。旧都ではないぞ、新都の北京へも水運は...
なんとな、水運を使えば船が山を登ることも出来るのじゃ。
ほらではないぞ、閘門と呼ばれる秘訣があるゆえな。
これはの、かの忽必烈がもたらした北狄の秘術でな―――
*戦いの後はどうする? [#y394fd95]
なぜその後があると思うのです?
あれから二十五年の月日が流れた。
私はまだ一度も船で水に浮いたことはない。
正統帝の海禁は果断なものであった。
全ての倭寇を取り締まるとし、貿易統制も始まったんだ。
役人の奴らは川賊と海賊の区別もついてはいなかった、船を所...
爺さんは喜んで船を手放したよ。皇帝のする事に間違いはない...
その次は沿海部の非農民を内地へと移住させた。一族は遠縁の...
爺さんはそれでも喜んでいたよ。楊貴妃の墓参りができるぞっ...
引っ越しが終わったら、馬を引いて商いを始めよう。
玄宗の御世では長安で茶の茘枝が喜ばれた、同じことをすれば...
私が竿ではなく馬の扱いを覚えたころ、一度だけ爺さんにせが...
紫禁城が無理なら、せめて長楽宮が見たいと駄々をこねたんだ。
でも辿り着けなかった。長安への道は大渋滞を起こしていたん...
二十日で行けると言われた道が、五十日たっても半分も進まな...
路銀が尽きれば次の仕入れができない。途中で諦めて帰る事に...
爺さんは年のせいで膝が弱って、山道を越えられなかったから...
背が曲がりすっかり小さくなってしまった爺さんを横目に、妙...
長安への道は漢の時代から幾度も拡張がなされている。五十日...
水運と海運。二つの動脈を断ち切られた大明は確実に弱り始め...
CENTER:|#ref(https://i.imgur.com/RMuEp7H.png)aa;|
きっかけは流通の混乱だった。
ある所では穀物庫が空になり、その傍らある所では畑の作物が...
当然だろう、陸路のみでは市まで荷を運ぶことが出来ないんだ...
余剰作物の栽培はすっかり下火となって、農民は租税と自給分...
官庫までもが空になるはずはない、天候は良く、災害もないん...
めっきり老け込んで、外出も減ってしまった爺さんは噂を信じ...
何年たっても蜀へと届く茘枝は皆黒だった。とても貴人向けの...
爺さんは後を任せた小作人が怠けているからだと毎年のように...
私はその頃、蜀の地を巡回していた朝貢国の一つである大越の...
越人は故郷の味だと喜んで茘枝を買い求めてくれたのだ。彼ら...
蛮人相手に商売を始めた私だが、不思議と世間での評価は高か...
後になって知った事だが、どうやら私は梁人を相手に商売をし...
大理の地はかの忽必烈、そして太祖洪武帝が治めた大明の本領。
そこへ茶の茘枝を売る我が孫は、幼いながらもまさしく正しい...
……爺さんは目が悪くなり、黒と茶の区別がつかなくなっていた。
もしかしたら雲南と大越の区別もついていなかったのかもしれ...
あるいはすべて織り込み済みで、変わり者の私をかばってくれ...
少なくとも当時の私は、毎日真面目に働く大明の兵隊さんをお...
そう、異国の軍が治安維持の重責を担わねばならない程の状況...
蜀の地は辺境だった。本当に本当に辺境だった。険しい山脈に...
万事塞翁が馬。きっと正統帝は、爺さんの言うように偉大な皇...
少なくとも私の一族にとっては……僻地へと追いやられたおかげ...
CENTER:|#ref(https://i.imgur.com/QKhGG4N.jpg./wiki.jpg,80...
山に守られた揺り籠の外は、動乱の世になっていた。
どれだけ厳しく取り締まっても、倭寇が鳴りを潜める事はなか...
生業を失った漁業関係者か、荷揚げの出来ない港湾労働者か、...
いずれにせよ食うに困った食い詰め者たちが、ある日を境に蜂...
下海通蕃の禁は天下に知られる悪法と化していたんだ。
爺さんは謀反をおこしたのは白蓮教徒の連中だと言って、がん...
太祖洪武帝の不興を招き、壊滅させられた邪教の集団が、倭寇...
永楽帝の行いが間違いのはずがない、永楽帝は民をいつも気に...
もう爺さんにとって洪武帝と永楽帝と正統帝は同じものになっ...
元来、都市の住人は食料の生産を行わない。
農民であっても全ての都市へと食料を供給できるわけではない...
本来ならば、かつての大明帝国はこうした状況を緩和するため...
農民へ現金収入の筋道を増やす事で、物納を銭納へと変えさせ...
また嗜好品の生産を押し付ける事で、都市からの農民への依存...
嗜好品は市場が狭く、売り歩くにはコツがいる。無学な農民達...
その需要と供給の隙間に上手く滑り込んで、のし上がったのが...
もちろん商品作物の生産が増えても、食料の生産が増えるわけ...
不足食料は銭を通じた、民間交易によって異国から補っていた...
爺さんは密貿易を嫌っていたが、世の中綺麗ごとだけじゃどう...
農地は荒れ果て、都市は飢民に溢れ、人心はすさむ。
どれだけ異国からの尊敬を集めようと、民を見捨てるものは立...
―――大明帝国の天明はすでに失われていたのだ。
海禁の煽りを最も強く受けたのが、沿岸部であった。
商品作物の生産を止めた農民と、都市の力関係は逆転した。
その為、食料の大半を輸入に頼っていた沿岸部での反乱は大規...
CENTER:|#ref(https://i.imgur.com/CpunipB.jpg./wiki.jpg,80...
明の国は十へと引き裂かれ、うち五もの国が沿岸部に興った。
長じた私は生まれ故郷へと戻り、人々の苦しみを目にし、それ...
爺さんの望みは偉大な皇帝が正しく国を治める事だったよな?
偉大でありさえすれば、それはどの皇帝でも良いはずだ。
なんせあんたは、農民上がりの高祖劉邦を偉大な皇帝だと褒め...
民の為、倭寇と手を結んだ私は爺と名乗り故郷の地で閔を建国...
爺さんの願いを忘れないように、国姓を爺にしたんだ。
大明を打ち倒し、朕こそが唯一の皇帝となる事を誓って。
*あとがき [#t6220253]
ゲーム的な作業としては沿岸襲撃と海賊派遣、湾港封鎖を明へ...
CENTER:|#ref(https://i.imgur.com/QnN5gXM.png)aa;|
明の失った兵数は154kとなっておりますが、多分反乱軍によっ...
カスタム国家側の被害数は0ですので。
明に隣接する朝貢国が明国内の反乱軍を退治してしまう為、南...
多分後の世ではこの動乱を、十国の乱、あるいは国姓爺合戦と...
倭寇ですか? それがいつの間にやらオランダとスペインに駆...
いやー残念だなー。どこかの誰かが東南アジア海賊共和国のAAR...
短いながらもお付き合いくださり、ありがとうございました。
それではいつか又他国にてお会いいたしましょう。
[[AAR/海禁史紀事本末]]
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[[AAR/海禁史紀事本末]]
龍は何を食べるのか? 食べたいものを食べる
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*明には史上最強の軍隊がある [#j8ed030e]
ゲーム開始時点の明は正統帝の御世ですね。
明朝は六代目の皇帝を迎え、円熟期の隙間から社会動乱の兆し...
史実に従えばオイラートでプレイを開始し、遊牧民ディザスタ...
しかしながら本プレイでは北虜ではなく南倭に注目します。と...
鄭成功とは日本では国姓爺合戦の主役として知られ、明朝復興...
厳密に言いますと彼は倭寇ではないそうなのですが、東アジア...
CENTER:|#ref(https://i.imgur.com/IF8xfgP.png)aa;|
初期領土はフィリピン全域+台湾+沖縄+済州島。
東アジアではなく東南アジアを中心に活動する海賊たちの元締...
海軍重視ですとまったくもって明の誇る膨大な軍隊へと勝利を...
ちなみに倭寇プレイですと本来であれば海賊共和国でプレイす...
アイディアは海運・海軍の順で選択。一番大切なものは海軍保...
さて本プレイのテーマたる倭寇の出自につきましては、邪馬台...
本プレイではフィリピン説を採用いたします。
ちなみにフィリピンはスペイン征服以前の歴史が殆ど現存して...
地域大国である中華世界にとって、地続きでもない南方蛮族は...
数少ない伝説ですと海から取った砂金や黄金を、中華世界へ持...
海で取れる砂金って何なんですかね?
一説によるとフィリピンの名産である黄金色に輝く金真珠(ゴ...
大粒の真珠は自然界ではなかなか見つかりませんが、ゴマより...
現代において宝石の王様はダイヤモンドですが、近代以前は真...
今は昔の物語、正しいものを知る人間は誰もおりませんが、ほ...
*私は皇帝を誰よりも賢いと思っていた [#ubae9681]
老人達の知恵が及ぶ事などわずかで、そして何事も永遠には続...
この日正統帝は大明帝国における十度目の下海通蕃の禁を発布...
月が満ちて欠ける。それを一つと数えるならば八百八十八を数...
爺さんの爺さんの、そのまた爺さんの爺さんの爺さんの頃より...
古来禹は黄河を鎮め、夫差は刊溝を堀り淮河を手にし、楊広は...
水運をつかさどる者こそが天下を統べると相場は決まっておる。
もっとも偉大な皇帝とな?
ふう~む、名を挙げれば限がないが、ここはやはり爺さんの爺...
永楽帝は海を越えた東夷・南蛮共へと勘合を授け、朝貢をお許...
水運だけでなく海運までもを―――そうせくでない。我が一族の中...
一族の宝はなんじゃ? ふむよろしい、緑の茘枝じゃ。黒では...
茘枝はとても繊細な果物でのう、
「一度日が落ちれば色が変わり、二度で香りが変わり、三度で...
玄宗の御世では、我が一族は天秤棒を担いで茘枝を千両へと換...
どんなに早く馬をかけても、長安へたどり着くころには緑の茘...
それでも玄宗の寵姫であった楊貴妃は、茶の茘枝を殊の外喜ん...
さて爺さんの爺さんじゃが、この世で初めて緑の茘枝を北京へ...
「剥けば凝りて水晶の如く、食えば消えて降雪の如し」永楽帝...
これは何だと尋ねられた爺さんの爺さんはとっさに「妃子笑」...
それ以来庫裏への自由な出入りを許され、爺さんの爺さんは官...
おお、それはの。永楽帝の御世では倭寇を服属させ、海運が使...
北京には海を渡り六十余国もの朝貢が訪れ、小宴は三日置き、...
爺さんの爺さんが茘枝を運んで通い続けた間、連日連夜庫裏の...
そうかそうか、お前も紫禁城へ行きたいか。よしよし連れて行...
今日ではないな、明日でもないな。そうせくでない、まだ正統...
CENTER:|#ref(https://i.imgur.com/H4ljUuv.png)aa;|
北京は今、倭寇に尻を抓られておってのう。
市場で出回る品の七割が密貿易によるものだとも言われておる。
CENTER:|#ref(https://i.imgur.com/p8UnQsS.png)aa;|
それを憂いた正統帝は親征を決断された。倭寇を打ち払う為五...
化外の地へ足を踏み入れるなど余程の覚悟がなくば、出来ぬこ...
かの永楽帝もまた草原を越え砂漠を五度も縦断された。
正統帝もまたきっとそれに劣らず偉大な皇帝となられるであろ...
倭寇の根城とな? はて八堵じゃったか、東都じゃったか、麻...
耄碌なんぞしとらんわ! 倭寇の根城に詳しいもんがおったら...
我が一族は代々天秤棒を担いで真っ当な商売をしていたのが誇...
ならず者と関係なんぞあるわけがなかろう。天罰が下るわ!
CENTER:|#ref(https://i.imgur.com/duU7go1.png)aa;|
往時の勢いはなかれども、大明帝国は十四国の朝貢を受ける世...
八十に迫る天命に溢れておるのも、世に恥じぬ振舞いをなされ...
正しき行いを続けるものにこそ、天は恩寵を授けてくださるの...
爺さんの爺さんは正しかった、とてもとても正しかった。
じゃからお前も天秤棒を―――棒を担ぐより竿を扱いたいとな? ...
そうじゃな、爺さんの爺さんも船の好きな変わり者じゃった。
そしてお前に爺さんの爺さんの話をしたこの私は愚か者じゃっ...
よろしい、お前を船頭にして紫禁城へ向かうとしよう。
海運は使わぬぞ、戦が始まるからの。通恵河を通り北京へ至る...
はっーはっはっはー。旧都ではないぞ、新都の北京へも水運は...
なんとな、水運を使えば船が山を登ることも出来るのじゃ。
ほらではないぞ、閘門と呼ばれる秘訣があるゆえな。
これはの、かの忽必烈がもたらした北狄の秘術でな―――
*戦いの後はどうする? [#y394fd95]
なぜその後があると思うのです?
あれから二十五年の月日が流れた。
私はまだ一度も船で水に浮いたことはない。
正統帝の海禁は果断なものであった。
全ての倭寇を取り締まるとし、貿易統制も始まったんだ。
役人の奴らは川賊と海賊の区別もついてはいなかった、船を所...
爺さんは喜んで船を手放したよ。皇帝のする事に間違いはない...
その次は沿海部の非農民を内地へと移住させた。一族は遠縁の...
爺さんはそれでも喜んでいたよ。楊貴妃の墓参りができるぞっ...
引っ越しが終わったら、馬を引いて商いを始めよう。
玄宗の御世では長安で茶の茘枝が喜ばれた、同じことをすれば...
私が竿ではなく馬の扱いを覚えたころ、一度だけ爺さんにせが...
紫禁城が無理なら、せめて長楽宮が見たいと駄々をこねたんだ。
でも辿り着けなかった。長安への道は大渋滞を起こしていたん...
二十日で行けると言われた道が、五十日たっても半分も進まな...
路銀が尽きれば次の仕入れができない。途中で諦めて帰る事に...
爺さんは年のせいで膝が弱って、山道を越えられなかったから...
背が曲がりすっかり小さくなってしまった爺さんを横目に、妙...
長安への道は漢の時代から幾度も拡張がなされている。五十日...
水運と海運。二つの動脈を断ち切られた大明は確実に弱り始め...
CENTER:|#ref(https://i.imgur.com/RMuEp7H.png)aa;|
きっかけは流通の混乱だった。
ある所では穀物庫が空になり、その傍らある所では畑の作物が...
当然だろう、陸路のみでは市まで荷を運ぶことが出来ないんだ...
余剰作物の栽培はすっかり下火となって、農民は租税と自給分...
官庫までもが空になるはずはない、天候は良く、災害もないん...
めっきり老け込んで、外出も減ってしまった爺さんは噂を信じ...
何年たっても蜀へと届く茘枝は皆黒だった。とても貴人向けの...
爺さんは後を任せた小作人が怠けているからだと毎年のように...
私はその頃、蜀の地を巡回していた朝貢国の一つである大越の...
越人は故郷の味だと喜んで茘枝を買い求めてくれたのだ。彼ら...
蛮人相手に商売を始めた私だが、不思議と世間での評価は高か...
後になって知った事だが、どうやら私は梁人を相手に商売をし...
大理の地はかの忽必烈、そして太祖洪武帝が治めた大明の本領。
そこへ茶の茘枝を売る我が孫は、幼いながらもまさしく正しい...
……爺さんは目が悪くなり、黒と茶の区別がつかなくなっていた。
もしかしたら雲南と大越の区別もついていなかったのかもしれ...
あるいはすべて織り込み済みで、変わり者の私をかばってくれ...
少なくとも当時の私は、毎日真面目に働く大明の兵隊さんをお...
そう、異国の軍が治安維持の重責を担わねばならない程の状況...
蜀の地は辺境だった。本当に本当に辺境だった。険しい山脈に...
万事塞翁が馬。きっと正統帝は、爺さんの言うように偉大な皇...
少なくとも私の一族にとっては……僻地へと追いやられたおかげ...
CENTER:|#ref(https://i.imgur.com/QKhGG4N.jpg./wiki.jpg,80...
山に守られた揺り籠の外は、動乱の世になっていた。
どれだけ厳しく取り締まっても、倭寇が鳴りを潜める事はなか...
生業を失った漁業関係者か、荷揚げの出来ない港湾労働者か、...
いずれにせよ食うに困った食い詰め者たちが、ある日を境に蜂...
下海通蕃の禁は天下に知られる悪法と化していたんだ。
爺さんは謀反をおこしたのは白蓮教徒の連中だと言って、がん...
太祖洪武帝の不興を招き、壊滅させられた邪教の集団が、倭寇...
永楽帝の行いが間違いのはずがない、永楽帝は民をいつも気に...
もう爺さんにとって洪武帝と永楽帝と正統帝は同じものになっ...
元来、都市の住人は食料の生産を行わない。
農民であっても全ての都市へと食料を供給できるわけではない...
本来ならば、かつての大明帝国はこうした状況を緩和するため...
農民へ現金収入の筋道を増やす事で、物納を銭納へと変えさせ...
また嗜好品の生産を押し付ける事で、都市からの農民への依存...
嗜好品は市場が狭く、売り歩くにはコツがいる。無学な農民達...
その需要と供給の隙間に上手く滑り込んで、のし上がったのが...
もちろん商品作物の生産が増えても、食料の生産が増えるわけ...
不足食料は銭を通じた、民間交易によって異国から補っていた...
爺さんは密貿易を嫌っていたが、世の中綺麗ごとだけじゃどう...
農地は荒れ果て、都市は飢民に溢れ、人心はすさむ。
どれだけ異国からの尊敬を集めようと、民を見捨てるものは立...
―――大明帝国の天明はすでに失われていたのだ。
海禁の煽りを最も強く受けたのが、沿岸部であった。
商品作物の生産を止めた農民と、都市の力関係は逆転した。
その為、食料の大半を輸入に頼っていた沿岸部での反乱は大規...
CENTER:|#ref(https://i.imgur.com/CpunipB.jpg./wiki.jpg,80...
明の国は十へと引き裂かれ、うち五もの国が沿岸部に興った。
長じた私は生まれ故郷へと戻り、人々の苦しみを目にし、それ...
爺さんの望みは偉大な皇帝が正しく国を治める事だったよな?
偉大でありさえすれば、それはどの皇帝でも良いはずだ。
なんせあんたは、農民上がりの高祖劉邦を偉大な皇帝だと褒め...
民の為、倭寇と手を結んだ私は爺と名乗り故郷の地で閔を建国...
爺さんの願いを忘れないように、国姓を爺にしたんだ。
大明を打ち倒し、朕こそが唯一の皇帝となる事を誓って。
*あとがき [#t6220253]
ゲーム的な作業としては沿岸襲撃と海賊派遣、湾港封鎖を明へ...
CENTER:|#ref(https://i.imgur.com/QnN5gXM.png)aa;|
明の失った兵数は154kとなっておりますが、多分反乱軍によっ...
カスタム国家側の被害数は0ですので。
明に隣接する朝貢国が明国内の反乱軍を退治してしまう為、南...
多分後の世ではこの動乱を、十国の乱、あるいは国姓爺合戦と...
倭寇ですか? それがいつの間にやらオランダとスペインに駆...
いやー残念だなー。どこかの誰かが東南アジア海賊共和国のAAR...
短いながらもお付き合いくださり、ありがとうございました。
それではいつか又他国にてお会いいたしましょう。
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