AAR/女王想話/第三話 ~孤高の騎士が示す光~
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[[AAR/女王想話]]
* 第三話 ~孤高の騎士が示す光~ [#ed78285c]
**取り残された孤高の騎士 [#qb363351]
偉大なる女王が神の元へ旅立たれた翌年、西暦1522年のことだ...
&ref(http://kura1.photozou.jp/pub/142/3068142/photo/20048...
ペンブルック伯、王位を求めロンドンにて挙兵という知らせが...
反王派、その動きに呼応してオックスフォードにて挙兵。
女王が突如後継者として指名したジェームズに不満を覚え、ペ...
&ref(http://kura3.photozou.jp/pub/142/3068142/photo/20048...
マリー女王治世下による長年に渡る遠征、宗教動乱により国家...
適齢期の若者がおらず傭兵に頼らざるを得なくなった結果、財...
&ref(http://kura3.photozou.jp/pub/142/3068142/photo/20048...
迎え撃つは「イングランドの盾」レスター伯オリバー・ダドリ...
御歳73の宿将は老骨に鞭打ってこの反乱を鎮圧する。
この機にと独立を求めるモスクワで反乱軍が挙兵したと知れば...
この活躍がプロテスタントの台頭に苦虫を潰していたローマ法...
老人は孤独だった。
頼りになる同士に家の事を任せ、生涯を捧げた女王の死と共に...
「私の騎士オリバーに告げる。正しき信仰の名の下に自害はけ...
宮廷歴史家を通じ伝え聞いた女王からの申し送りが彼を縛った。
女王の命令には絶対服従。
それはマリーの死後も変わらぬオリバーの摂理だったのである。
女王の死後、幼王を輔弼する為に立ち上がった摂政評議会はレ...
だがその求めをレスター伯は断った。
「何故王国の危機を救ってくださらぬのか」
摂政評議会議長ノーサンバーランド公爵は問い詰めた。
その悲鳴に対し、レスター伯は応えた。
「王に向けられる全ての恨みはこの老いぼれが背負って地獄へ...
これほどの覚悟を見せ付けられ誰が反論できようか。
オリバー・ダドリーの求めに応じて摂政評議会は元帥杖を渡す...
反乱鎮圧の為にロンドンを発った騎士は二度と女王が暮らした...
~ 宮廷歴史家 リチャード・ギボン著「冬の時代」 ~
**薔薇は結ばれる [#x1ccc26b]
&ref(http://kura3.photozou.jp/pub/142/3068142/photo/20048...
1523年、財政危機、人的資源の克服を兼ねてフランスは併合さ...
この苦難の中「イングランドの剣」の尽力もありフランス閥貴...
その結果、レスター伯の活躍もありイングランドは「教皇後見...
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1526年、反王派の本拠地がロンドンから近いことから摂政評議...
これは神聖ローマ帝国に挑むというイングランドの決意の表れ...
&ref(http://kura2.photozou.jp/pub/142/3068142/photo/20048...
フランス併合、アントワープ遷都の二つの決定によりイングラ...
摂政評議会が良く機能し、オリバー・ダドリーが反乱を速やか...
&ref(http://kura3.photozou.jp/pub/142/3068142/photo/20048...
これはそんな西暦1533年の出来事である。
悲しみに暮れるアントワープの海面を見つめる二人の若者がい...
さざ波の音が空間を支配する。
穏やかで柔らかい日差しが二人の顔を照らした。
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一人はデイビッド・ハウ。
後にスルタンが「ハウ元帥がいなければコンスタンティノープ...
&ref(http://kura3.photozou.jp/pub/142/3068142/photo/20048...
もう一人はヨーク公ジョージ。
かのヨーク家の次代当主であり、ジェイムズ1世の治世下におい...
デイビッドは傍らのヨーク公ジョージにぽつりと呟いた。
「爺さんが逝ったな」
「ああ」
年を重ねた貴族のほとんどは成り上がり騎士オリバーを嫌って...
しかし若者達は英雄オリバー・ダドリーの冒険譚を聞いて憧れ...
この二人はそんな新世代の貴族であり、オリバー・ダドリー元...
静寂を嫌ってデイビッドは続ける。
「イングランドの盾は失われた。今なら挙兵してもまだ間に合...
代々ヨーク家はランカスター家の宿敵だった。
その身体に王に連なる血が流れているヨーク公ジョージに対し...
「僕が挙兵したら君はついてきてくれるのかい?」
「愚問だな」
デイビッドは無骨な戦士の手で自らの首を引いた。
「俺様自らお前の首を刎ねにいってやるよ。逆に聞くが俺が挙...
「愚問だね」
ヨーク公は親指を下にして答えた。
「お前の下につくくらいなら死んだほうがマシさ。一族の恥と...
ならば、とデイビッドは結ぶ。
「お前は俺がいる限り反旗を翻したところで成功しない。遺憾...
「実に残念なことに同意見だ」
「なぁに、まだあのボウヤも幼いが仕えるには悪くなさそうだ...
「つまりお前はこう言いたいんだな。僕に一族を押さえつけて...
「話が早くて助かる」
「大体僕は大貴族としてあるまじきことに戦場でレスター伯と...
「東西南北、どこもかしこもキナ臭くなってきて良かったな。...
老将の国葬で人々は願った。
激動の人生を送った彼が天国におわします神の腕に抱かれて心...
オリバー・ダドリーは3人の騎士を王に遺した。
一人は戦の天才デイビッド・ハウ。
一人は王の頭脳ヨーク公ジョージ。
そして最後の一人は自身の息子、未来の薔薇騎士レスター伯。
オリバー・ダドリーは孤高だった。
しかし孤独ではけしてなかった。
&ref(http://kura1.photozou.jp/pub/142/3068142/photo/20048...
同年、イングランドは対抗宗教改革を開始。
雪解けはすぐそこまで迫っている。
~ 宮廷歴史家 リチャード・ギボン著「冬の時代」 ~
**犬と少年 [#c02ba2e5]
「君のこと、知ってるよ」
少年は歩いていた茶色の短い毛並みを持つ犬に話しかけた。
犬は少年のほうに首だけ向け、少年の黒い瞳を覗き込んだ。
丸まった尻尾を一振りし、犬はこくりと頷いた。
「久しいな、ランカスターの者よ」
犬が喋るという非現実を前にしても少年は何ら驚かなかった。
彼は言葉通り知っていたのである。
英国君主のみが閲覧を許されている女王の回顧録によって。
少年は無邪気に微笑んだ。
「ははっ、書いてあった通り偉そうだ」
「偉そうなのではない、偉いのだ」
「まあなんでもいいよ。君を見ることが出来たから、僕は無事...
少年は決定的な勘違いをしていた。
犬は嘆息し、正そうかと思ったが思い直した。
それこそどうでもいいことだった。
「王位なんて碌なものじゃないぞ」
「らしいね」
「覚悟はあるのか?」
口を三日月にして少年は答える。
「そんなの知らないよ。でも何とかなるんじゃないかな。僕は...
&ref(http://kura3.photozou.jp/pub/142/3068142/photo/20048...
西暦1534年4月2日。
16歳となったイングランド王ジェームズ1世はウェストミンスタ...
これを持ってイングラントを支え続けた摂政評議会は解散され...
&ref(http://kura1.photozou.jp/pub/142/3068142/photo/20048...
未だイングランド国内には宗教改革の嵐が吹き荒れていた。
だが真冬の寒さに震えて耐えるだけの時は終わり、孤高の騎士...
第三話 ~孤高の騎士が示す光~ 完
次回 第四話 ~西の冠を頭上に抱き、東の冠を抱えし者~ に...
*[[第四話 ~西の冠を頭上に抱き、東の冠を抱えし者~>AAR/女...
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* 第三話 ~孤高の騎士が示す光~ [#ed78285c]
**取り残された孤高の騎士 [#qb363351]
偉大なる女王が神の元へ旅立たれた翌年、西暦1522年のことだ...
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ペンブルック伯、王位を求めロンドンにて挙兵という知らせが...
反王派、その動きに呼応してオックスフォードにて挙兵。
女王が突如後継者として指名したジェームズに不満を覚え、ペ...
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マリー女王治世下による長年に渡る遠征、宗教動乱により国家...
適齢期の若者がおらず傭兵に頼らざるを得なくなった結果、財...
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迎え撃つは「イングランドの盾」レスター伯オリバー・ダドリ...
御歳73の宿将は老骨に鞭打ってこの反乱を鎮圧する。
この機にと独立を求めるモスクワで反乱軍が挙兵したと知れば...
この活躍がプロテスタントの台頭に苦虫を潰していたローマ法...
老人は孤独だった。
頼りになる同士に家の事を任せ、生涯を捧げた女王の死と共に...
「私の騎士オリバーに告げる。正しき信仰の名の下に自害はけ...
宮廷歴史家を通じ伝え聞いた女王からの申し送りが彼を縛った。
女王の命令には絶対服従。
それはマリーの死後も変わらぬオリバーの摂理だったのである。
女王の死後、幼王を輔弼する為に立ち上がった摂政評議会はレ...
だがその求めをレスター伯は断った。
「何故王国の危機を救ってくださらぬのか」
摂政評議会議長ノーサンバーランド公爵は問い詰めた。
その悲鳴に対し、レスター伯は応えた。
「王に向けられる全ての恨みはこの老いぼれが背負って地獄へ...
これほどの覚悟を見せ付けられ誰が反論できようか。
オリバー・ダドリーの求めに応じて摂政評議会は元帥杖を渡す...
反乱鎮圧の為にロンドンを発った騎士は二度と女王が暮らした...
~ 宮廷歴史家 リチャード・ギボン著「冬の時代」 ~
**薔薇は結ばれる [#x1ccc26b]
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1523年、財政危機、人的資源の克服を兼ねてフランスは併合さ...
この苦難の中「イングランドの剣」の尽力もありフランス閥貴...
その結果、レスター伯の活躍もありイングランドは「教皇後見...
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1526年、反王派の本拠地がロンドンから近いことから摂政評議...
これは神聖ローマ帝国に挑むというイングランドの決意の表れ...
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フランス併合、アントワープ遷都の二つの決定によりイングラ...
摂政評議会が良く機能し、オリバー・ダドリーが反乱を速やか...
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これはそんな西暦1533年の出来事である。
悲しみに暮れるアントワープの海面を見つめる二人の若者がい...
さざ波の音が空間を支配する。
穏やかで柔らかい日差しが二人の顔を照らした。
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一人はデイビッド・ハウ。
後にスルタンが「ハウ元帥がいなければコンスタンティノープ...
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もう一人はヨーク公ジョージ。
かのヨーク家の次代当主であり、ジェイムズ1世の治世下におい...
デイビッドは傍らのヨーク公ジョージにぽつりと呟いた。
「爺さんが逝ったな」
「ああ」
年を重ねた貴族のほとんどは成り上がり騎士オリバーを嫌って...
しかし若者達は英雄オリバー・ダドリーの冒険譚を聞いて憧れ...
この二人はそんな新世代の貴族であり、オリバー・ダドリー元...
静寂を嫌ってデイビッドは続ける。
「イングランドの盾は失われた。今なら挙兵してもまだ間に合...
代々ヨーク家はランカスター家の宿敵だった。
その身体に王に連なる血が流れているヨーク公ジョージに対し...
「僕が挙兵したら君はついてきてくれるのかい?」
「愚問だな」
デイビッドは無骨な戦士の手で自らの首を引いた。
「俺様自らお前の首を刎ねにいってやるよ。逆に聞くが俺が挙...
「愚問だね」
ヨーク公は親指を下にして答えた。
「お前の下につくくらいなら死んだほうがマシさ。一族の恥と...
ならば、とデイビッドは結ぶ。
「お前は俺がいる限り反旗を翻したところで成功しない。遺憾...
「実に残念なことに同意見だ」
「なぁに、まだあのボウヤも幼いが仕えるには悪くなさそうだ...
「つまりお前はこう言いたいんだな。僕に一族を押さえつけて...
「話が早くて助かる」
「大体僕は大貴族としてあるまじきことに戦場でレスター伯と...
「東西南北、どこもかしこもキナ臭くなってきて良かったな。...
老将の国葬で人々は願った。
激動の人生を送った彼が天国におわします神の腕に抱かれて心...
オリバー・ダドリーは3人の騎士を王に遺した。
一人は戦の天才デイビッド・ハウ。
一人は王の頭脳ヨーク公ジョージ。
そして最後の一人は自身の息子、未来の薔薇騎士レスター伯。
オリバー・ダドリーは孤高だった。
しかし孤独ではけしてなかった。
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同年、イングランドは対抗宗教改革を開始。
雪解けはすぐそこまで迫っている。
~ 宮廷歴史家 リチャード・ギボン著「冬の時代」 ~
**犬と少年 [#c02ba2e5]
「君のこと、知ってるよ」
少年は歩いていた茶色の短い毛並みを持つ犬に話しかけた。
犬は少年のほうに首だけ向け、少年の黒い瞳を覗き込んだ。
丸まった尻尾を一振りし、犬はこくりと頷いた。
「久しいな、ランカスターの者よ」
犬が喋るという非現実を前にしても少年は何ら驚かなかった。
彼は言葉通り知っていたのである。
英国君主のみが閲覧を許されている女王の回顧録によって。
少年は無邪気に微笑んだ。
「ははっ、書いてあった通り偉そうだ」
「偉そうなのではない、偉いのだ」
「まあなんでもいいよ。君を見ることが出来たから、僕は無事...
少年は決定的な勘違いをしていた。
犬は嘆息し、正そうかと思ったが思い直した。
それこそどうでもいいことだった。
「王位なんて碌なものじゃないぞ」
「らしいね」
「覚悟はあるのか?」
口を三日月にして少年は答える。
「そんなの知らないよ。でも何とかなるんじゃないかな。僕は...
&ref(http://kura3.photozou.jp/pub/142/3068142/photo/20048...
西暦1534年4月2日。
16歳となったイングランド王ジェームズ1世はウェストミンスタ...
これを持ってイングラントを支え続けた摂政評議会は解散され...
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未だイングランド国内には宗教改革の嵐が吹き荒れていた。
だが真冬の寒さに震えて耐えるだけの時は終わり、孤高の騎士...
第三話 ~孤高の騎士が示す光~ 完
次回 第四話 ~西の冠を頭上に抱き、東の冠を抱えし者~ に...
*[[第四話 ~西の冠を頭上に抱き、東の冠を抱えし者~>AAR/女...
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