AAR/女王想話/第一話 ~パリに降り立った少女~
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[[AAR/女王想話]]
* 第一話 ~パリに降り立った少女~ [#b98ad50e]
**オープニング [#b8a14bb8]
「パンがなければお菓子を食べればいいじゃない」
マリー姫は幼い頃、そう言ってのけた。
傲慢で世間知らずのお姫様の発言として実に相応しいものだった
彼女は女王に即位後、集まった臣下に告げた。
「平和を欲するならば一つの国が世界を統べれば良いのよ」
平和の為に戦い続ける。
この発言の矛盾に当人は何ら疑問を感じていなかったようだ。
~エドワード・ギボン著「大英帝国興隆史」より~
**道化師 [#ycfdf9ae]
&ref(http://kura2.photozou.jp/pub/142/3068142/photo/20019...
……それは誰もが戦争の潮目がフランスに傾きつつあるのを感じ...
面白い見世物があると陛下に誘われて、ウィンザー城謁見の間...
そこには顔を白粉で塗りたくり仮面をつけていないのに常に笑...
道化師の傍らにはこれまた見たことの無い、茶色く尻尾の丸ま...
道化師は見たことの無い踊りを舞い、聞いたことの無い音色を...
派手さはないものの厳かな調べに酔いしれた国王は道化師にこ...
&ref(http://kura2.photozou.jp/pub/142/3068142/photo/20019...
「汝はどこの出身なりや?」
道化師は彼方を指差し答えます。
遥か東方より出づるものと。
陛下の心を掴んだ道化師の会話術も心得たものでした。
いつしかその話題は家臣達に操られるままの政治に対する愚痴...
幾つか相槌を打ちながら話を聞いていた道化師は突如こう言っ...
「陛下はこのままでは失意のままに王位を失うでしょう」
一瞬憤怒の表情を浮かべた陛下でしたが諦めたように落胆しま...
そして道化師に尋ねました。
どうすればよいのか、と。
三軍の将の内、一人を見せしめに解雇して王の権威を示すこと。
王自ら軍を率い、勝利を掴むこと。
……そしてイル・ド・フランスを征服しフランス王となること。
道化師はその後の王の質問にも的確に答えていたようです。
ここから先は女の立ち入る領域ではありません。
私は丁寧に道化師に礼を述べ、重い腹を抱えてその場を辞去し...
~王妃マルガレーテ・ランカスターの述懐~
**マリー誕生 [#r01997b2]
和平を請い自らの安寧のみ願っていた国王が自ら軍を率い、プ...
ブルガンディを牽制する為にハプスブルグ家から嫁いできたマ...
&ref(http://kura3.photozou.jp/pub/142/3068142/photo/20019...
この赤子こそが未来の英国女王メアリー・ランカスターでした。
後のイングランド=フランス同君連合時代にはフランス風にマ...
しかし未来の英国女王が生まれた年はヘンリー6世が慣れぬ戦...
&ref(http://kura2.photozou.jp/pub/142/3068142/photo/20019...
プロヴァンス攻略へ向かった国王でしたが撤退時期を誤ってあ...
&ref(http://kura3.photozou.jp/pub/142/3068142/photo/20019...
&ref(http://kura3.photozou.jp/pub/142/3068142/photo/20019...
この決死の国王による陽動作戦は成功しました。
手薄となったノルマンディー包囲軍をヨーク公リチャード率い...
&ref(http://kura3.photozou.jp/pub/142/3068142/photo/20019...
ノルマンディー、ボルドー、プロヴァンスの三方向からフラン...
&ref(http://kura2.photozou.jp/pub/142/3068142/photo/20019...
ついには国王陛下自ら率いる兵がプロヴァンスを陥落させ、こ...
この快挙によりヨーク公リチャードは王位簒奪の目論みを諦め...
これにて戦争は一気にイングランド有利となりました。
今の内に幾つかの領土を割譲させて戦争を終わらせようという...
「余がフランス王となる日までこの戦争に終わりはない」
&ref(http://kura1.photozou.jp/pub/142/3068142/photo/20019...
ここまで敵に出血を強いることに徹していたイングランド軍は...
Cauxにて決戦を挑み、勝利しました。
後は余人の知る通りパリは陥落しシャルル7世は幽閉されまし...
&ref(http://kura3.photozou.jp/pub/142/3068142/photo/20019...
1449年、ヘンリー6世はフランス王となったのです。
イングランド=フランス王国に栄光あれ!
~ 百年戦争回想録より ~
**パリに降り立った少女 [#d6945116]
私が13歳の頃だから西暦1458年のことかしら。
&ref(http://kura3.photozou.jp/pub/142/3068142/photo/20019...
あの戦争から5年が経過していたのだけれど私の国は戦争から...
父上は戦争時にあれほど奮闘なさったのに王位と平和を手にし...
持病のような精神疾患も日に日に悪化して苦しんでいた父上を...
フランス王位を手にした反面、周囲から警戒されていた私の国...
全くレスター伯やヨーク公の王家に対する忠義は立派なものだ...
そんな折、私はパリに行きたいと父上に頼んだわ。
ウィンザー城しか知らなかった私は外の世界を見てみたかった...
……父上は猛反対。
今だからわかることだけれど、大事な一人娘がドーバー海峡を...
それでも当時の私は分からず屋の父親を心の中で詰り、小さな...
あっさり抜け出せたから「私達ってすごい!」って当時は思っ...
その事は本題に関係ないから子供達の冒険譚に話を戻すわね。
&ref(http://kura2.photozou.jp/pub/142/3068142/photo/20019...
紆余曲折、遥々辿りついた場所は華の枯れた都だった。
糞尿の臭いが立ち籠め、飢えた者達が戦争を繰り返すランカス...
そんなパリの街並みに若い頃の夢見がちな少女は衝撃を受けた...
世界の一端を垣間見た少女が無事宮廷に戻り思い悩んでいた頃……
散歩をしていると庭に犬がいたの。
茶色の艶やかな毛並みにまるまった尻尾が特徴的な、見たこと...
「お前が欲するものは何だ?」
犬、犬、犬。
犬が喋った?
そう、これを100年の封印指定にした理由はこれなのよ。
ヘタに喋ると信仰の擁護者たる私が魔女扱いされては後々困る...
犬が喋った衝撃を受け止めきれず暫く黙っていたけれど、何度...
「限りない贅沢を心置きなく楽しむことよ」
人々はまるで信じないけれど、昔から今に至るまで私の動機は...
私は昔から女王として生まれ、育てられてきたから未だにレス...
自分が楽しむ為に私の民を飢えさせないようにしているにすぎ...
犬は何も言わなかった。だから私は続けた。
「けれどパリを見てから、心置きなく楽しめないのよ」
何故だ、と犬は再び私に問うた。
「私は民がランカスターを敬い、賞賛していると信じていたか...
「ならば聡き未来の英国女王よ。貴様の政で民がランカスター...
「私が自ら?政事のことなんてまるで教わったことがないのに...
「書から、人から、自然から、摂理を学べ」
私が二つ瞬きをする間に犬はいなくなった。
あれはキリストが使わせた神の使途だと信じた私は学び始めた。
そして、私は女王となった。
&ref(http://kura2.photozou.jp/pub/142/3068142/photo/20019...
~ 宮廷歴史家 チャールズ・ギボン著「マリー1世・ランカ...
**女王即位 [#t04eb1e0]
1468年、正常と非正常の境目を行ったりきたりしていたヘンリ...
イングランド=フランス王国の次期君主はまだ23歳のマリー・...
幾度も玉座を狙う貴族達による暗殺の危機から逃れた女王は即...
…民は私を幸運に守られて即位した女王だと言うけれど
「神に選ばれた私を殺すなんて、私自身を含めて何人たりとも...
&ref(http://kura1.photozou.jp/pub/142/3068142/photo/20019...
これが何者も恐れぬ傲岸不遜な女王の治世の幕開けであった。
第一話 ~パリに降り立った少女~ 完
次回 第二話 ~傲岸不遜な女王と忠実なる騎士~ に続く。
*[[第二話 ~傲岸不遜な女王と忠実なる騎士~>AAR/女王想話/...
[[詳しい解説はハートマン軍曹白熱教室 世界征服編第1回にて...
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* 第一話 ~パリに降り立った少女~ [#b98ad50e]
**オープニング [#b8a14bb8]
「パンがなければお菓子を食べればいいじゃない」
マリー姫は幼い頃、そう言ってのけた。
傲慢で世間知らずのお姫様の発言として実に相応しいものだった
彼女は女王に即位後、集まった臣下に告げた。
「平和を欲するならば一つの国が世界を統べれば良いのよ」
平和の為に戦い続ける。
この発言の矛盾に当人は何ら疑問を感じていなかったようだ。
~エドワード・ギボン著「大英帝国興隆史」より~
**道化師 [#ycfdf9ae]
&ref(http://kura2.photozou.jp/pub/142/3068142/photo/20019...
……それは誰もが戦争の潮目がフランスに傾きつつあるのを感じ...
面白い見世物があると陛下に誘われて、ウィンザー城謁見の間...
そこには顔を白粉で塗りたくり仮面をつけていないのに常に笑...
道化師の傍らにはこれまた見たことの無い、茶色く尻尾の丸ま...
道化師は見たことの無い踊りを舞い、聞いたことの無い音色を...
派手さはないものの厳かな調べに酔いしれた国王は道化師にこ...
&ref(http://kura2.photozou.jp/pub/142/3068142/photo/20019...
「汝はどこの出身なりや?」
道化師は彼方を指差し答えます。
遥か東方より出づるものと。
陛下の心を掴んだ道化師の会話術も心得たものでした。
いつしかその話題は家臣達に操られるままの政治に対する愚痴...
幾つか相槌を打ちながら話を聞いていた道化師は突如こう言っ...
「陛下はこのままでは失意のままに王位を失うでしょう」
一瞬憤怒の表情を浮かべた陛下でしたが諦めたように落胆しま...
そして道化師に尋ねました。
どうすればよいのか、と。
三軍の将の内、一人を見せしめに解雇して王の権威を示すこと。
王自ら軍を率い、勝利を掴むこと。
……そしてイル・ド・フランスを征服しフランス王となること。
道化師はその後の王の質問にも的確に答えていたようです。
ここから先は女の立ち入る領域ではありません。
私は丁寧に道化師に礼を述べ、重い腹を抱えてその場を辞去し...
~王妃マルガレーテ・ランカスターの述懐~
**マリー誕生 [#r01997b2]
和平を請い自らの安寧のみ願っていた国王が自ら軍を率い、プ...
ブルガンディを牽制する為にハプスブルグ家から嫁いできたマ...
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この赤子こそが未来の英国女王メアリー・ランカスターでした。
後のイングランド=フランス同君連合時代にはフランス風にマ...
しかし未来の英国女王が生まれた年はヘンリー6世が慣れぬ戦...
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プロヴァンス攻略へ向かった国王でしたが撤退時期を誤ってあ...
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この決死の国王による陽動作戦は成功しました。
手薄となったノルマンディー包囲軍をヨーク公リチャード率い...
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ノルマンディー、ボルドー、プロヴァンスの三方向からフラン...
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ついには国王陛下自ら率いる兵がプロヴァンスを陥落させ、こ...
この快挙によりヨーク公リチャードは王位簒奪の目論みを諦め...
これにて戦争は一気にイングランド有利となりました。
今の内に幾つかの領土を割譲させて戦争を終わらせようという...
「余がフランス王となる日までこの戦争に終わりはない」
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ここまで敵に出血を強いることに徹していたイングランド軍は...
Cauxにて決戦を挑み、勝利しました。
後は余人の知る通りパリは陥落しシャルル7世は幽閉されまし...
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1449年、ヘンリー6世はフランス王となったのです。
イングランド=フランス王国に栄光あれ!
~ 百年戦争回想録より ~
**パリに降り立った少女 [#d6945116]
私が13歳の頃だから西暦1458年のことかしら。
&ref(http://kura3.photozou.jp/pub/142/3068142/photo/20019...
あの戦争から5年が経過していたのだけれど私の国は戦争から...
父上は戦争時にあれほど奮闘なさったのに王位と平和を手にし...
持病のような精神疾患も日に日に悪化して苦しんでいた父上を...
フランス王位を手にした反面、周囲から警戒されていた私の国...
全くレスター伯やヨーク公の王家に対する忠義は立派なものだ...
そんな折、私はパリに行きたいと父上に頼んだわ。
ウィンザー城しか知らなかった私は外の世界を見てみたかった...
……父上は猛反対。
今だからわかることだけれど、大事な一人娘がドーバー海峡を...
それでも当時の私は分からず屋の父親を心の中で詰り、小さな...
あっさり抜け出せたから「私達ってすごい!」って当時は思っ...
その事は本題に関係ないから子供達の冒険譚に話を戻すわね。
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紆余曲折、遥々辿りついた場所は華の枯れた都だった。
糞尿の臭いが立ち籠め、飢えた者達が戦争を繰り返すランカス...
そんなパリの街並みに若い頃の夢見がちな少女は衝撃を受けた...
世界の一端を垣間見た少女が無事宮廷に戻り思い悩んでいた頃……
散歩をしていると庭に犬がいたの。
茶色の艶やかな毛並みにまるまった尻尾が特徴的な、見たこと...
「お前が欲するものは何だ?」
犬、犬、犬。
犬が喋った?
そう、これを100年の封印指定にした理由はこれなのよ。
ヘタに喋ると信仰の擁護者たる私が魔女扱いされては後々困る...
犬が喋った衝撃を受け止めきれず暫く黙っていたけれど、何度...
「限りない贅沢を心置きなく楽しむことよ」
人々はまるで信じないけれど、昔から今に至るまで私の動機は...
私は昔から女王として生まれ、育てられてきたから未だにレス...
自分が楽しむ為に私の民を飢えさせないようにしているにすぎ...
犬は何も言わなかった。だから私は続けた。
「けれどパリを見てから、心置きなく楽しめないのよ」
何故だ、と犬は再び私に問うた。
「私は民がランカスターを敬い、賞賛していると信じていたか...
「ならば聡き未来の英国女王よ。貴様の政で民がランカスター...
「私が自ら?政事のことなんてまるで教わったことがないのに...
「書から、人から、自然から、摂理を学べ」
私が二つ瞬きをする間に犬はいなくなった。
あれはキリストが使わせた神の使途だと信じた私は学び始めた。
そして、私は女王となった。
&ref(http://kura2.photozou.jp/pub/142/3068142/photo/20019...
~ 宮廷歴史家 チャールズ・ギボン著「マリー1世・ランカ...
**女王即位 [#t04eb1e0]
1468年、正常と非正常の境目を行ったりきたりしていたヘンリ...
イングランド=フランス王国の次期君主はまだ23歳のマリー・...
幾度も玉座を狙う貴族達による暗殺の危機から逃れた女王は即...
…民は私を幸運に守られて即位した女王だと言うけれど
「神に選ばれた私を殺すなんて、私自身を含めて何人たりとも...
&ref(http://kura1.photozou.jp/pub/142/3068142/photo/20019...
これが何者も恐れぬ傲岸不遜な女王の治世の幕開けであった。
第一話 ~パリに降り立った少女~ 完
次回 第二話 ~傲岸不遜な女王と忠実なる騎士~ に続く。
*[[第二話 ~傲岸不遜な女王と忠実なる騎士~>AAR/女王想話/...
[[詳しい解説はハートマン軍曹白熱教室 世界征服編第1回にて...
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