#author("2021-12-16T00:51:05+00:00;2020-09-12T14:09:50+00:00","","")
#author("2023-05-18T02:27:56+00:00;2023-02-11T22:15:04+00:00","","")
[[AAR/士気も規律もガレーも大型船も初心者も関係ないポルトガル]]


#contents
 
**このページについて [#qd84f65a]

このページはAARのおまけとして、''陸戦思想''・''宗教''・''アイデア''について解説します。
私ごときが大規模な解説を行うなどおこがましい話です。温かい目で見てくだされば幸い。

いろいろな誤解を避けるために結構な長文になってますので、必要なとこだけ切り抜いて読む形が良さそうです。

**アイデア評価・解説(20/09/12作成) [#o957ae6c]

[[リスペクト元>AAR/第十九回マルチ/補遺3 マルチで推奨されるideaについて]]
なんなら内容も一部被ってますが、私がこちらの記述に影響された過去があるため必然の帰結でした。

S A B C D の五段階評価。
一部アイデアは、プレイ方針によって大きく価値が変動するため、状況を()内で記述し分割して評価しています。

***設定の影響について [#qc7ec8ca]

デフォルトでは「アイデアグループの選択制限」が存在します。
これは特定の系列のアイデアばかりを選ぶことができないようにするもので、たとえば軍量→防勢→海軍みたいな取り方はできません。
デフォルト設定のままプレイしている方が圧倒的に多いでしょうから、以下では選択制限が存在する前提で解説します。

ただし「アイデアグループの選択制限なし」に設定しても、''鉄人モードには影響しません。''
つまり問題なく実績を解除できるので、特にこだわりが無いなら制限なしのほうがプレイの自由度が上がると言えます。
私自身は変なことを試すのが大好きな性分でもあるため、最近は制限なしでプレイしています。

***略称等 [#t5ebfa8d]

(XX)+防衛 ← (XX)は項目のアイデアで省略、「XXアイデアグループ」と「外交アイデアグループ」の「ポリシー」

「」内はアイデア・ポリシーの効果。

***宗教 [#b48bcd8e]

 A(拡大・AE制御)
 B(拡大・非AE制御)
 D(非拡大)

とにもかくにも本体は「聖戦CB」。''AE3/4''とDIPなし取り放題が極めて優秀。
得てして拡大戦争のボトルネックはAEとなる都合、AE削減のためだけでも取る価値があると言っても過言ではないです。
逆に言えば、あまり拡大戦争をしないと価値が急激に落ち込みます。

弱点は「聖戦CB」以外の効果が微妙なこと。
改宗そのものに利益のあるカトリック・正教を除くと、人文・特権等で異端異教と共存するのが楽な気がします。

ポリシーは宗教系のみならず軍事系に注目すべき点があり、+軍質で「士気+5%」、+軍量で「士気+10%」、つまり''ポリシーだけで防衛アイデア相当''に仕上がります。
軍量の採用頻度が高いという前提に立つと、ついでに最低限の質強化ができちゃうのは驚異的です。

客観的に言えば強いアイデアなのは間違いないですが、私自身が人文厨として生きてきた期間が長かったので、相対的に採用頻度は低くなってます。

***人文 [#jfa1fa72]

 A(拡大・AE制御)
 B(拡大・AE非制御)
 D(非拡大)

「不穏度-2」「分離主義-5」「異端異教寛容増」の言わずもがなの反乱抑制効果。+攻勢の「不穏度-1」「分離主義-5」で更にドン、反乱完封も見えてくる。
「関係改善+33%」のAE削減系の効果もあり、+外交で更に「関係改善+20%」されるため、聖戦ほど目立ちませんが包囲網対策に寄与します。

ポリシーの+交易と合計して「アイデアコスト-20%」になることを踏まえ、黄金時代と合わせた''アイデア取り直しタイム''の前に準備しておくと良いかも。
要らなくなったアイデアの取り直し、意外と頭に無い人が多いみたいですが、ぜひ行うべきです。

私はアンチ反乱の立場でEU4をプレイしてた時期が長かったので、これまでの累積で採用頻度トップのアイデアです。
しかし最近は、Emperorで追加された反乱扇動の機能の影響もあり、前ほど反乱で精神をすり減らさなくなり優先度は下がりました。
それでもOE99%ラインを抱え続けるようなプレイでは必ず採用しています。

***経済 [#ic180dcb]

 S(通常)
 C(大拡大)

''あらゆる効果が、どんな状況でも腐らない''のが強力。
深く考えなくても、とりあえず入れとけば確実に国家を強くしてくれます。

WCを目指すようなプレイだと、他のアイデアの価値が高まることで相対的に地位が低くなります。
ただ、絶対主義以降に急加速してWCを狙うような場合は、まず経済から取って地固めするのが悪くない選択肢になるでしょう。
あるいは遊牧民WCの場合は、序盤の貧弱な財政基盤の改善、razeで溢れる君主点をDEVポチしまくるため、TAを目指しでもしないなら初手経済が安定します。

軍事系ポリシーも優秀。+攻勢で「砲兵戦闘力+10%」+軍質で「規律+5%」と、ただでさえ強い陸軍が更に強化されます。

***革新 [#u36978b7]

 D(キリスト・イスラム)
 C(他宗教)

''戦争疲弊の自動減少''に、資金と君主点の消費を抑える効果が付いてきます。
キリスト・イスラム教では''信仰の守護者''で戦争疲弊を下げることができるので、必要性が低くなります。
ただし、対象の信仰を国教とする国が4国以下だと戦争疲弊減の効果が得られなくなるため、イバードやアングリカンのような泡沫宗派であるときは、非キリスト・イスラム側と同じ扱いに。
逆に、非キリスト・イスラムでも他の何らかの効果で戦争疲弊を下げられるなら、さほど重要では無くなります。

ポリシーは+権勢の「AE-10%」がダントツで強力。+軍質の「歩兵戦闘力+10%」も強力ですが、アプデによって+20%から引き下げられてしまいました。

***統治 [#i73f2ae6]

 S(大拡大)
 A(拡大)
 D(非拡大)

「''コア化-25%''」が本体のアイデアとして知られていましたが、ver1.30で「''統治キャパ+25%''」の効果が加わり、ますます拡大プレイにおいて必須となりました。
どのタイミングで取得するかは難しい問題ですが、遅くとも絶対主義解禁あたりまで(アイデア五番目まで)には取りたいです。

無論、ほとんど拡大しないプレイでは取得価値が著しく低くなります。

ポリシーは+権勢の「外交併合-20%」以外は地味なものが多いですが、腐りにくいものが多いため悪くありません。

***拡張 [#deb6fabb]

 A(植民特化)
 C(植民通常)
 D(非植民)

「植民者+2」による並行植民の暴力が存在意義。どっこい植民以外の効果があまりにも渋く、植民専プレイのためにあるという説が有力。
ver1.30で、コンプボーナスの効果が「テリトリー(貿易会社を含む)の自治率減」に変更され、一通り植民した後でもキープしておくことは意味はあるようになりました。
それでも他のアイデアに切り替えたほうが良い気がするので、植民専プレイですら最後まで維持されない悲しみ。

ポリシーは+貴族の「建設コスト-15%」が白眉ですが、いかんせん拡張と貴族を同時に採用する機会が無く、使った経験はありません。

***交易 [#mf2917d6]

 A(非植民and非AE制御)
 C(植民orAE制御)

商人は他の手段で増やせるからアイデアは必要ない、という意見をよく見ますが、このアイデアの真価は「交易力+20%」「交易誘導+25%」「交易効率+10%」の三つであって、
あくまで商人をオマケと考えたほうが、採用の判断を間違えないでしょう。

それでもアイデア単独だと物足りない印象を受ける気がするなら、ポリシーを参照してみましょう。
大量の直球ポリシー、+軍量/+宗教で「交易品生産量+20%/+10%」+統治/+軍質/+経済/+革新で「交易効率+20%/+20%/+10%/+10%」と、交易収入を直上げする効果が盛り沢山。
このあたりを投入すれば目に見えて収入が改善します。

また、+攻勢で「移動速度+10%」が貰えるのも魅力。なにもかもが快適になります。

AE管理のために諜報・外交・権勢、植民のために探検を取ると、君主点のバランスも鑑みて取りにくくなります。
それらの必要性が低い状況においては、外交系アイデアで最有力の地位に躍り出ます。

***海運 [#d269da66]

 C(非拡大)
 D(通常)

海版の軍量アイデア。モリモリ海軍を増やして戦いたいときにウッテツケ。
しかし、通常のプレイにおいてこのアイデアに割く枠は無いでしょう。
非拡大プレイだとアイデア枠に余裕が出るので、採用を前向きに検討して良いかもしれません。
たとえ拡大せずとも、大量の小型船をぶつけることで他国をイジメることはできますから。

ポリシーは必然的に海系となるため、包括的に考えると優秀とは言い難いです。
「海軍戦闘力+」系のポリシーが海軍ではなく海運に割り振られていることもあり、海運だけで十分な質強化が可能です。
たとえば、+革新の「大型船戦闘力+10%」「提督機動+1」を抑えるだけでも、まず海戦には負けなくなるだけでしょう

***諜報 [#s02c4294]

 A(AE制御)
 D(非AE制御)

「''AE-20%''」のドストレートな効果から言って、最強級のAE抑制アイデア。

他の効果は全体的に微妙・・・ではありますが、丁寧に使えば役立つものです。
前提として「諜報網構築+50%」「外交官+1」でスパイ派遣を手軽に行えるようになります。

戦争で奪う州にクレームを付けておけば、和平時のDIP消費を無くし、コア化コストが減り、初期自治度も低くなります。
諜報網自体が及ぼすAE抑制・包囲速度上昇・技術コスト減の三つの効果も、きちんと拾っているとなかなかのものです。

クレーム付け以外の諜報任務はあまり出番がありませんが、終盤に解禁される''外交評判-3''の任務は、参戦要請を防ぐのに役立つことがあります。

ポリシーは弱めですが、+富豪の「人的資源+33%」は優秀。+革新/+経済/+攻勢で外交官が貰えるのも悪くないです。

***外交 [#pcad65e3]

 A(大拡大)
 B(AE制御)
 D(非AE制御)

諜報が''AEの発生を抑える''なら、外交は''発生したAEを素早く冷ます''性質を持ちます。
AEに対する寄与度だけ見れば諜報のほうが優秀ですが、外交はAE以外に様々な使いやすい効果を持っています。

「外交官+2」「外交枠+1」「外交評判+2」の三本柱は、同盟国・属国をフル活用する一般的なプレイに効きまくり。
「戦勝点コスト-20%」はWC必須級の効果。一発の和平でOE99%どころか150%ぐらいまで取れる自由さが魅力です。

そしてなにより「''noCB・停戦破棄ペナルティ減少''」が迷える子羊の味方となります。
外交アイデアさえあれば、noCBのペナルティなどかわいいものですから、なんら躊躇する必要はありません。

なおAEを気にしないプレイは、得てして外交自体をさほど気にしないプレイとなるので、このアイデアを必要としないでしょう。

ポリシーは「外交評判+1」の効果が多く、これらを重ねると無理筋な同盟・属国化が通ったりします。
また、+軍質で「戦争疲弊-0.05/月」は、他の方法で戦争疲弊を下げられないときに光ります。

***権勢 [#idf226bf]

 S(大拡大・属国仕様把握)
 B(拡大・属国仕様把握)
 D(非拡大or非属国仕様把握)

あからさまに属国を使うためにあるので、属国管理の方法を学んでから採用するのが良いでしょう。

属国を活用する動機はいくつかありますが、やはり''再征服CBによるAEの圧縮''が軸となります。
OEを属国に分散させる手法にも一定の有効性はありますが、高い統治効率・低いコア化コストが実現する絶対主義以降なら、さほど属国に頼らずとも拡張を続けられます。

外交アイデアと合わせ、noCB死にかけティムールへのnoCB属国化から広大なコア回収、外交評判のゴリ押しで迅速に併合、すばらしいですね。

「不正な要求-50%」によるDIP消費削減は属国に関係なく役立つように見えますが、これの本領は中堅国以上を属国化するときのDIP消費を削ることにあります。
領土の獲得は、そもそもクレーム付けを丁寧に行って不正な要求とならないように注意したいものです。

ポリシーは既に紹介した二つを除くと、どうにも使い勝手が悪い印象。
ただし、''HRE・幕府ファンネル''の際には「属国税+」「属国からのFL+」が効きまくるので活用できます。

***探検 [#jcfbe040]

 A(植民)
 D(非植民)

拡張だけで植民するのは難しいですが、探検だけで十分な植民は可能です。
アイデア全体で見ると効果が小粒に見えますが、取得に費やした君主点は、''新大陸の自動探検イベント''により回収することができます。
よって序盤の君主点が不足しがちな時期に、相対的に低いコストでアイデアを埋めることができると言えるのです。

一通りの探検・植民を終えたら当然ながら破棄。ゲーム終了時に残っている可能性が最も低いアイデアと言えるでしょう。

もし植民を目指さないのに探検を取るとしたら「海軍FL+25%」と、海関連のポリシーを目当てにすることになるでしょう。
海軍にガンギマリし続けるなら取る価値はありますが・・・。

ポリシーは植民系と海軍系で二分されています。陸軍系の効果も一応ありますが、植民プレイと噛み合っている感じがしません。

***軍量 [#d0c4f7e9]

 S(通常)
 A(経済苦)

最強アイデアとの呼び声が高い最強アイデア(語彙減少)。
「人的資源+50%」「FL+50%」が圧倒的な強さを見せつけ、他の効果も概ね優秀です。
相対的に言えば豊かな国ほど強みを活かしやすいと言えますが、そうでない国でも高い価値を持っています。

「連隊コスト-10%」は編成・補充・維持のすべてに効いてますし、「維持コスト-5%」は補充・維持に効いてます。
「供給限界+33%」「損耗-10%」で被害を減らせることもあって、経済面にも結構な寄与があります。

ポリシーは+経済の「DEVポチ-10%」「FL+10%」が極悪筆頭。他にも使いやすい効果が多く優秀です。

***軍質 [#d17598a8]

 B

強いことは間違いないのですが、文字通り''軍質にしか寄与しない''というのがマイナスポイント。
質を求めるより先に量を求めるほうが、得てして勝利に近づくものです。

ポリシーも多くが質系ですが、+宗教で「包囲速度+10%」が貰えるのは独特で優秀です。

***攻勢 [#m6c5b7ab]

 S(人文併用)
 B(通常)

軍質と''同じ質系''として並べられることが多いですが、攻勢の本領は質以外にあります。
まず「包囲速度+20%」で戦争を短期で終わらせるのは、内政・外交・軍事の全部門に寄与しています。
そして「FL+20%」は軍量ほどではないものの手堅い効果です。
なによりも+人文で「不穏度-1」「分離主義-5」、不穏度-3.5相当という最強の反乱対策です。

人文を取ったら攻勢を取りたいですし、その逆もまた然り。
人文がなくとも十分に取得価値はあります。「規律+5%」を魅力に感じるのも良いでしょう。

既に紹介した+人文/+交易以外のポリシーでは、+革新で「指揮官包囲+1」「包囲速度+10%」が戦争の短期化に寄与して優秀です。

***防勢 [#f66053ca]

  D

目を見張る効果は、二番目の「士気+15%」だけ。
他の効果は無意味ではないが地味、とにかく地味。強いて言うなら終盤のプレイヤー厭戦の軽減には寄与するとは思いますが・・・。

なにが酷いってポリシーが酷い。+外交で「外交官+1」「外交枠+1」だけは優秀と言えますが、他は全滅と言っても過言ではありません。
一応、+人文/+権勢で「戦争疲弊減」を拾えはしますが、そのために防衛を取るなら革新を取ったほうが遥かに優秀という事実。

***海軍 [#ff95ddd4]

  SSS(最強!の気分のとき)
  D(正気のとき)

おなじみ最強アイデア。「ガレー戦闘力+25%」をぶつければAI海軍は死ぬ。他のボーナスまでひっくるめれば負けようがありません。

冷静になって考えても、防衛よりは使い所があると思います。その使い所は[[このAAR>AAR/海軍アイデアで始める内海生活]]を読んでください。

ポリシーは必然的に海系で微妙・・・と思いきや、+経済の「生産効率+10%」「交易品生産+10%」が文句なしの優秀さ。
なお、+探検/+諜報で「戦闘幅+20%/+10%」を取るとAI海軍殲滅祭を開催できますが意味はありません。

***貴族 [#caad6be2]

 C(負担なく選択可能)
 D(選択困難)

愛され系アイデア。これで強化した騎兵をぶつければ相手は死ぬ。本当か?

「軍事技術-10%」「MP+33%」「外交官+1」があることから「軍事系アイデアだけど内政・外交でも使える」とする観方がありますが、
''素直に統治系・外交系アイデアを取れば''、これより遥かに大きい利得があることを忘れてはいけません。

このアイデアの本領は「指揮官枠+1」と「指揮官包囲+1」による戦争の短期化にあります。
大国化後の多方面戦争では指揮官が不足しますから、枠を貰って迅速に要塞を落とせるのは嬉しいです。

ポリシーは+外交の「外交官+1」「指揮官+1」が最優秀。やはりこれも大国でこそ輝くもので、WC中盤以降のプレイヤー厭戦を減らしてくれます。

***富豪 [#j5990203]

 B(負担なく選択可能)
 D(選択困難)

だいたいのプレイで画面上にすら現れない哀れなアイデア。しかし明らかに貴族よりも強いです。
軽く「士気+10%」で防衛のお株を奪い、「交易品生産量+10%」で内政を支え、「不穏度-2」で反乱対策と隙がありません。
ここまで優秀でようやく、''バランス型アイデア''として独特の価値を持っていると言えるでしょう。

しかし、いかんせん採用のハードルが高いです。
君主制の国であっても、アジアなら富豪政治(Tier1)の政府改革の採用でアンロックさせられますが、
富豪を取るためだけに政府改革ポイントを消費するのは、さすがに理に適ってるとは言い難いものがあります。

ポリシーは独特なものが多いですが、やはり共和政とのシナジーがあります。+経済の「共和伝統+0.2/年」と+外交の「再選による共和伝統低下幅-10%」で、6-6-6の維持を助けます。
面白い効果として+探検の「植民範囲+20%」があり、地中海の国で探検→富豪→外交技術lv7→植民顧問で西アフリカに脱出できます。noCBで橋頭堡を作るのが難しいときには有用かも。

 
**宗教評価・解説(20/09/09作成) [#j1696b60]

S A B C D の五段階評価。
大前提として、DLCをすべて導入済とします。

***●グローバル宗教とローカル宗教 [#v2133259]

宗教の評価はアイデアの評価以上に難しいものとなります。
その大きな要因は、プレイ国家・プレイ方針による価値の変化が、''そもそも、その宗教を採用(国教化)できるか?''という点にまで及ぶためです。

例としてアングリカン、これはイングランドなら簡単に採用できますが、他の国で採用するにはブリテンを攻略するのが必須となります。
中南米宗教は極めて強力ですが、非中南米の国が採用するには特殊なアプローチが必要となります。

ここでは大まかな区分として、どんな国でも採用しやすい宗教を''グローバル宗教''、一部の国しか採用しがたい宗教を''ローカル宗教''とし、分けて評価することとします。

***●改宗の無視 [#yf65fc25]

宗教を評価する際、''宣教師の数''・''布教強度''・''既存州の宗教''、つまり国教の州をどれだけ持ちやすいかという点が注目されることが多いです。
しかし、この私による評価では、あえて''改宗を無視''することとします。

第一に、私のプレイスタイルが''改宗作業そのもので利益を得られる''場合((教皇ポイントを稼げるカトリック、国教州の人的資源と不穏度ボーナスの正教のみ積極的に改宗します。))を除けば、積極的に改宗せず人文系で対応するアプローチを主とすること。
第二に、改宗まで織り込んで評価しようとすると、ただでさえ多い評価の軸が更に増して、収拾を付けるのが難しくなるからです。

***●グローバル宗教 [#q8e44eab]

グローバル宗教は、どんな国でも採用しやすいがために、どんなプレイ方針にも対応しています。
ここではアイデア評価と同じく、いくつかのプレイ方針ごと、状況を()内で記述し分割して評価します。

***カトリック [#e48587aa]

 S(拡大・欧州内先行)
 A(拡大・欧州外先行)
 D(非拡大)

戦闘面の効果が無い影響で低く見積もられがちですが、Emperorでの強化もあり状況次第では最上級です。

とにもかくにも''教皇影響度(教皇ポイント)''を稼ぎまくり・使いまくりが軸となります。
教皇ポイントは、欧州内の拡大で枢機卿を抑える、州を改宗する、教皇領国家との友好を保つことで稼げます。
「安定度+1」のアクションで安定度3を保つのが最も優秀で、「外交評判+1」「MP回復+20%」が続きます。

アクション以上に重要なのは、''教皇の御者''になることです。御者になれるかは運も絡みますが、''他のカトリック国家を滅ぼし尽くす''ことで独占しやすくなります。
御者は「技術コスト-5%」「顧問コスト-20%」などの堅実に優秀な効果に加え「''AE-20%''」という稀有かつ強力な効果が貰えます。
序盤から中盤にかけ運も味方して御者になれると、無理な拡大を行っても包囲網を組まれなくなります。
また、御者が用いることのできる「破門」は、破門対象に使えるCBが''AE半減''という極悪っぷり。御者そのものでもAEが削減されるだけに、えげつないシナジー。

御者に付属する要素の「金印勅書」はどれも強力ですが、「開発コスト-5%」「異教寛容+2」をセットで貰えるのが最も使い勝手良し。
「トリエント公会議」による追加効果は制御が難しいものの、欧州内での拡大に寄与するため注視しておきたいです。

もっぱら''AE管理の難しい欧州での拡大''に適した宗教と言えます。ただし、''御者になれないと弱い''ので注意。もっとも運に左右される宗教と言えます。

欧州外の国、つまり初期からカトリックでない国がわざわざ改宗するメリットは薄そうに見えますが、改宗のゴリ押しでポイントを稼いで御者になれるならアリかも?
また、''カトリックのAI信仰の守護者''の邪魔が入らないのも良いです。借金無視して出張ってくるスペイン等の相手が面倒なときこそ、カトリックが輝きます。

弱点は反乱耐性の低さ。
「異端寛容-1」という全宗教中唯一の負の寛容効果を持ち、金印勅書以外に反乱抑制に寄与するものがありません。
また、教皇ポイントを稼ぐために改宗作業を行うのも反乱を誘引します。改宗さえしてしまえば「国教寛容+1」が光るのですが、途中で反乱が起きる時点で無意味な感。

***プロテスタント [#zb3feb56]

 B

THE 器用貧乏。
固定で貰える「関係改善+15%」は嬉しいですし、三種類選べるアスペクトも使い勝手は悪くないのですが、
いかんせん尖ったものがなく、どんなプレイ方針でも物足りない感に苛まれます。

HRE内の小国を代表として、AEに制約されるが御者になるほどの教皇ポイントが稼げない場合に、関係改善を頼みにするため改宗する程度でしょうか。


***改革派 [#x9edf7b3]

 D

紛れもなくキリスト教内で最弱。
固定で貰える「異端寛容+2」は悪くないのですが、他の手段でも異端寛容を稼げるため優先度が下がっています。
三種類のボーナスを同時に貰えるなら強かったのですが、現実的には二種類以上の同時使用は厳しいです。


***正教 [#l5163bbc]

 S(大国)
 A(小国)

最強宗教の呼び声が高く、その長所については改めて解説するまでもないので、唯一の弱点だけ記しておきます。

カトリックから正教に改宗するにしろ、イスラムから正教に改宗するにしろ、''外交的孤立''を招きやすいです。
同盟のアテにできる正教国はモスクワ→ロシアしか存在しませんが、いかんせん貧乏ゆえ参戦不発が多い辛さ。
必然的に異端・異教の同盟国を探す必要に迫られますが、自国が小さいほど同盟判定が渋くなって苦労します。

なお、総主教の権威は''特権で年+1.2''、高頻度でイベントから+5を貰えるので、イコンは常時使えるものと考えて良いでしょう。
むしろ期限切れの前であっても、必要に応じてガンガン入れ替えていくべし。

***コプト [#i5caaeb7]

 A(レヴァント開始・WC)
 C(レヴァント開始・拡大)
 D(レヴァント開始・非拡大)
 D(非レヴァント開始)

オスマンWCのお供で有名。とにもかくにも「''コア化-10%''」がWCで効きます。
他の効果はさほどのものではなく、その効果を得ていくためのハードル(=オスマンやマムルークを打倒)も高いため、事実上のコア化全振り宗教でしょう。

問題は同じく「コア化-10%」を持つヒンドゥーの存在であり、改宗先としては劣っているのが否めません。
オスマンのように、ヒンドゥー改宗よりコプト改宗が手軽な場合にのみ選択肢に入るでしょう。

***スンニ [#i97857e9]

 A(小国)
 B(大国)

イスラムの三宗派の中で、スンニの固有効果は「騎兵割合+10%」と無視できるレベルなので、ここではイスラムの共通機能を元に評価を行います。

統治者が変わるごとに押し直すディシジョンの効果に強力なものが多いですが、ディシジョンを使用できるか否かが統治者の能力に基づいています。
よって、高い能力の統治者を戴いてこそ本領を発揮できると言えます。
ここで効いてくるのが「後継者誕生率+100%」、廃嫡ガチャを連打しやすく、安定的に高い能力を確保しやすいのです。

Pietyは高低どちらも強力ですが、普通にプレイしていると低Pietyを維持するのは困難です。
低Pietyで改宗強度が上がるのに、改宗が完了するとPietyが増加するのが絶望的に噛み合っていません。
低Pietyは諦めて、技術更新時にPiety最大の「技術コスト-10%」を貰うこと、Pietyが溢れそうなら''貨幣改鋳で小銭稼ぎ''することを意識するのが良いでしょう。

学派は「AE-10%」のハンバリ派が著しく優秀。自国がハンバリ派でないとき、ADM50を消費して招聘する価値があります。
確実にハンバリ派を招聘するために、招聘先の国を属国としてキープしておくのも良いでしょう。

正教とは対照的に、スンニの優秀な同盟国(西はモロッコから東はマラッカまで)が多く、外交上では最も優れています。

***シーア [#ld830992]

 B

スンニとは異なり「士気+5%」が貰え、学派で「白兵ダメージ」のボーナスを貰える脳筋マン。序盤の陸戦で差を付けられます。
他には、同盟国の管理が難しい代わりに聖戦CBを使いやすいだけ・・・ではなく、隠れた凄い効果としてイスマーイール派の「共和伝統+0.5/年」があります。
宗教で稼げる共和伝統の値としてはダントツで高く、高能力君主の安定供給に貢献すること間違いなしです。

問題は、初期状態でシーア共和制の国は無い上に他政体から共和制への変更は困難であり、共和制スタートの国がシーアを採用することでぐらいしか効果を活かせないことです。

なお、スンニでもイスマーイール派を招聘できなくはないのですが、招聘条件がPiety-50以下であるために使い勝手が悪くなっています。

***上座部仏教 [#efc0abe2]

 D

内陸にしか存在しない大乗仏教・密教とは異なり、セイロン島と東南アジア沿岸に広く分布するおかげで、仏教随一のグローバル宗教への分類。

固有効果は「異端寛容+2」「顧問コスト-10%」という、''デジャヴ改革派''で、はっきり言って弱いです。
''カルマ''でコンスタントに中庸ボーナスの「外交評判+2」「規律+5%」を拾えるなら悪くないですが、中盤以降は得てして低カルマとなって「規律+2.5%」しか貰えなくなってしまいます。

初期から上座部の国なら国教変更までの間は維持されるという点で、ガチで採用頻度が無い改革派よりはマシかもしれません。

***ヒンドゥー [#ebd6b428]

 S(WC)
 B(拡大)
 C(非拡大)

[[カザンWCのお供>AAR/誰でも簡単、糞まみれWC]]としても利用しました。シヴァ神から貰える「''コア化-10%''」「AE-5%」が本体ですが、
固定で貰える「国教寛容+1」「異教寛容+1」の使い勝手も良いです。というのも、ヒンドゥーの異端はシクだけであり、実質的には全プロビで「寛容+1」を貰えるようなものだからです。

特権を活用することで柔軟に主神を切り替えられるので、
ワンポイントで「建設コスト-10%」使ったり、足が止まっているときに「関係改善+20%」を入れたりと、正教ほどでないにせよ総合的な強さもあります。

***呪物崇拝 [#sb5f2712]

 B(呪物崇拝開始)
 C(非呪物崇拝開始)

固定で「異教寛容+2」「外交評判+1」が貰える点が著しく優秀。どちらも腐らず役立ちます。
''カルト''の効果は「戦争疲弊-0.05/月」「不穏度-2」「関係改善+20%」あたりが有力。

信仰の守護者が使えない非キリスト・イスラムの中では、宗教によって戦争疲弊を下げられるのはこれとナワトルだけ。
「不穏度-2」は最上級の反乱抑制効果で「異教寛容+2」と合わせて全宗教中トップの反乱抑制能力に至ります。
「関係改善+20%」はプロテスタントの「関係改善+15%」に優越しており、AEがボトルネックとなっている環境で貢献します。

わざわざ国教を変える気にはならないですが、呪物崇拝で始まるならそのまま通しで使うのは悪くないと思ってます。なにより''アフリカから正教は遠い''ですから。

***●ローカル宗教 [#g9d71d99]

ローカル宗教は、それを採用することのできる国が限定されがちです。
ここでもアイデア評価と同じく、いくつかのプレイ方針ごと、状況を()内で記述し分割して評価しますが、よりローカルでニッチな区分を採用します。

***アングリカン [#l69ec845]

 A(ブリテン・植民海洋帝国)
 C(ブリテン・欧州大陸拡大)

[[私のこのAAR>AAR/英国国教会と議会の強さを示す]]を読んでもらうのが早いですが、改めて重要事項を解説。
とにもかくにも''収入を1.125倍''する絶大な資金力ありき。資金力のゴリ押しはどんな状況でも強いですが、特に植民プレイとマッチしています。

カトリック以上に簡単に安定度+3を維持できる点、迅速に革新性カンストを達成できる点も優秀ですが、欧州で本格的に戦争するのとは相性が良くありません。
でもブリテンだったら、わざわざプロテスタント・改革派に改宗するより、(聖戦CBの使い勝手も含め)アングリカンのほうが使いやすいんじゃないでしょうか。

***フス派 [#aa74455f]

 B(ボヘミア)

プロテスタントと同様のアスペクトシステムを用いるものの、無難な効果が多いプロテスタントと異なり、奇抜な効果が揃ってます。
強力なのは「関係改善+30%」。これを採用中は宣戦布告できないに等しいのが問題ですが、そこはアスペクト故に切り替えで調整しやすいです。

ピンポイントで使える効果が大部分ですが、恒常的に使えるものとしては「人的資源+20%」と「国教寛容+1」「交易品生産+5%」の二つがあります。
この二つを常に入れながら、最後の一つをピンポイント枠としてガンガン入れ替えていくのが王道になると思います。

総合的に言って、プロテスタントを上回る一方で、正教には大幅に劣っているとまとめられます。
ボヘミアのスタート位置なら、すぐに正教になれちゃうがために不遇です。

***イバード [#d9579f51]

 B(オマーン等)

「士気+5%」の代わりに「交易品生産+10%」を貰い、外交の自由度が更に下がったシーアだと思えば良いでしょう。
「交易品生産+10%」も十分に強い効果なので、シーアとの差がさほど大きいとは思えません。

スンニ・シーアに対応するどちらの学派も自由に招聘できるという長所もあります。
わざわざイバードの国でプレイするなら、最寄りのスンニ・シーアに乗り換えることはせず、このまま通したいものですね。

***大乗仏教 [#ud64f6d7]

 C

ベトナム北部とフィリピン一島だけという、仏教系の中で最も小さい宗派。
されども「アイデアコスト-5%」が貰えるために、仏教系の中では最も使い勝手が良いでしょう。

しかし、いかんせん仏教そのものが弱くて残念。

***密教 [#c9a1c352]

 A(アジア神権狙い)
 C

けっこう広く分布している(ようにプロヴィンスのデカさで錯覚する)やつ。
仏教系の中で唯一「異端寛容」が「+2」ではなく「+1」に抑えられており、儒教エリアに伸びるときなどにわずかに損する気がします。
固有効果は「士気+5%」、序盤にわずかに優越できますが、さっさとヒンドゥーかイスラムに改宗したくなります。

アジアの国で早期に神権を採用したい場合、''国教が密教''+必要プロヴィンスの保有でチベットに変態、するとダライ・ラマの登場イベントで神権になれます。
神権を採用した後なら密教を捨ててもあまり((チベットのミッションツリーの一部を進められなくなるので、先に達成しておくと良いでしょう。))差し支えないです。

***儒教 [#a01d1b00]

 B(明)
 C(朝鮮)

調和ボーナスによって少しずつ強化されるのが特色です。
一通りの調和を終えればそこそこ強いですが、いかんせん強化が遅いのが難点。

明の場合、その国土の大きさに加え、反乱軍によって荒廃が広がることも好ましくないため、儒教のままで居ることが有力になるでしょう。

朝鮮の場合、さっさと日本を攻略して神道になったほうが明らかに強いと思います。しかしそんなヘイトな真似を許しても良いのでしょうか?

***神道 [#k1e66747]

 A(朝鮮)
 B(日本)
 C(琉球)

「士気+10%」が固定で貰えるのが優秀です。
「孤立主義」に関わる大量のイベントが発生し、その結果として様々な強力な効果がもたらされます。
これらを管理するのは大変ですが、うまく使えれば強力なので、英wiki等で下調べしておくと良いでしょう。

日本は海外進出をしがちなプレイ方針もあって、必ずしも神道に拘る必要はありません。ロシアがシベリアに来るのを待って正教を貰いに行くのも有り得るかも。
神道が最もマッチしているのは、明と殴り合いたい朝鮮でしょう。「士気+10%」でヘナチョコ儒者を殴り倒してやりましょう。

むしろ琉球については、神道以外にも選択肢が多すぎて採用頻度が減っているのが明らかですね。

***シク教 [#ee394893]

 C(パンジャーブ)

「士気+10%」が固定で貰えるのは優秀ですが、年次で変化する効果がイマイチ使いにくいです。
「規律+5%」を貰える時期が二回に分けて合計50年程度あり、その時期に限定すれば最強の陸軍を作れますが、意味があるかと言われると・・・。

パンジャーブを形成する前提条件なので、そのためのプレイ専用の宗教と言えます。
パンジャーブのNIは「士気+10%」と「規律+5%」が揃っているので、インド屈指の軍質を楽しめます。

***テングリ [#tbc8c541]

 S(騎兵プレイ)
 B(その他)

独特な「二次宗教」システムを持ち、その上澄みの効果を見る分には正教のイコンに迫っています。
神道で「規律+5%」「不穏度-1」、プロテで「アイデア-10%」、上座部で「開発コスト-10%」「外交官+1」、ヒンドゥーで「異教寛容+2」「異端寛容+1」あたりが強力。
このあたりを10年ごとに切り替えていけると思えば、普通に優秀な部類の宗教と言えるのでは。

外交の自由度が高いのも魅力。
仲良くしたい国の宗教に合わせる独特なプレイができます。

また''二次宗教なし''の状態だと「騎兵比率+25%」の効果があり、遊牧民政府の「騎兵比率+25%」と合わせることで、夢の騎兵100%編成を実現できる数少ない方法となっています。

***アニミズム [#g17817a3]

 論外

論外一号。DLCでテコ入れがされる日が来ることはなさそうです。
しかし[[アニミズムのままで居ることを要求する実績>https://eu4.paradoxwikis.com/Achievements#The_Animal_Kingdom]]があるあたり、パラドの性格の悪さがよく分かりますね。

***トーテミズム [#t462d58f]

 論外

論外二号。
効果はアニミズムと同じですが、トーテミズムのままで居ることを要求する実績が無いため、悪印象は薄いです。

***ユダヤ [#u399935a]

 D

趣味枠一号。
対応する実績も無く、ベテランプレイヤーでもユダヤでプレイしたことがない人が多いと思われます。

***ゾロアスター [#g35cb83e]

 D

趣味枠二号。
ディシジョンで貰える効果の関係でユダヤよりは強いですし、対応する実績もあります。

***●中南米宗教 [#l308959a]

グローバルとローカルに分けると言いましたが、以下の三つは特殊すぎるので別基準で評価させてください。

***インティ [#rc7e9ece]

 B

中南米宗教三兄弟の南米部門。
改革こそ楽ですが、三兄弟の中で最弱ですね。

***マヤ [#sf9711a1]

 S

中南米宗教三兄弟の預言部門。
とにもかくにも「''コア化-20%''」が優秀すぎます。
paganスタートの国であれば、マヤまでやってきて預言を授かるのも辞さない。

問題は、改革を進める際に生じるプロヴィンスへの処理です。
単にコアを失うだけのとき、国家に独立されるとき、その前提条件の違いが分かりません。
誰か教えてください!!!

***ナワトル [#yb436a28]

 A

中南米宗教三兄弟の生贄部門。
改革前から「士気+10%」を持ち、改革で「規律+5%」と「戦争疲弊-0.05/月」を得て暴れるヤベーやつ。
改革は一番大変ですが、プレイしている分には楽しいですね。

 
**消極的陸戦論(20/09/06作成) [#kff5091b]

''長文注意''
EU4における''最適解''というものは、もしあるとしてもプレイヤー個人の環境によって大きく異なることを最初に強調しておきます。


***概要 [#zd87b652]

[[以前のAARの中でも書いた>AAR/誰でも簡単、糞まみれWC/第四回 糞を出すはWCにて#s3e0f5ba]]のですが、''陸戦を行うのが好ましい状況は限定される''というのが私の思想です。
原則は''陸戦ほぼなしで戦争に勝利''することを目指すべきと考えます。
つまるところ、CB対象・敵首都・各地の要塞を迅速に攻略して戦勝点を稼ぐことを最優先とします。

自軍の物量が敵軍より上回っているとき、原則としてAI陸軍はガン逃げモードに入るため、わざわざ追いかけなければ陸戦は発生しません。
この場合、AI陸軍の行動を制約して自国領の占領を妨害したり、AI陸軍に占領された自国領を速やかに奪還したりしながら、敵の要塞を一通り落とせば100点和平も遠くありません。

逆に自軍の物量が敵軍を下回っているとき、そもそもこのような状態での戦争は避けるべきですが、やむを得ない状況もあるでしょう。
原則としてAI陸軍は''陸軍の少ない方向''に進軍していくため、''無人の自国領を囮''にしたり、''同盟国に敵軍を押し付け''たりしながら、いわゆる''占領合戦''に勝つことを目指すのです。


***陸軍の質の意味 [#y5371153]

陸戦をさほど行わないなら、陸軍の質を高める必要性は低くなります。
そもそも、陸軍の質が貢献するのはどのような場面であるか、そこをまず整理しておきましょう。

 1.陸戦そのものを戦争の勝利に繋げる

敵全軍を殲滅&敵全土を占領の状態で「完膚なき敗戦」の効果を相手に与えることで、戦争開始直後であっても100点和平((通常、戦争開始直後だと「戦争の期間」との兼ね合いで100点和平が難しい。))を通すことができます。
小国を速やかに滅ぼしたい((相手国の滅亡・属国化を強いる和平条件にはネガティブな修正が加わるため、このときも「完膚なき敗戦」を目指すと迅速。))ときは、敵全軍を殲滅したいものです。
小国を速やかに滅ぼしたい((相手国の滅亡・属国化を強いる和平条件にはネガティブな修正が加わるため、このときも「完膚なき敗戦」を目指すと迅速。))ときは、敵全軍を殲滅するのは有効です。

あるいは、遊牧民における平原戦や、山岳要塞や海峡でのトラップ防衛戦で、''敵軍の殲滅を続ける → 敵のMPと資金を枯渇させる''アプローチに出るときです。
これは砲兵も解禁されてないような序盤に有効で、特に中小国スタートで有力な選択肢となります。

なお、聖戦CBのような陸戦勝利が戦勝点に直結するものを利用してるときでも、CB達成を優先せず要塞占領で戦勝点を稼ぐのが私のスタイルです。

 2.陸戦における自軍の損害を減らす

どんなに注意しようが、視界外からの敵軍の突貫などで不意に陸戦が勃発してしまうことがあります。
そんなときにMPの損害を減らす、または''自軍が殲滅されモチベが急落''するのを避けるに越したことはないです。

とはいえ、そもそもの軍量があればAIをビビらせて突貫リスクを減らせますし、ダメージを受けたとしてもリカバリできますから、
これについても質より量が寄与する可能性があることは示しておかなければなりません。

 3.陸戦でAI軍を殲滅して気持ちよくなる

''プレイヤー厭戦''の観点から言えば、逃げ回って塗り絵を仕掛けてくるAI陸軍を初手で始末しておくのは合理的です。
自国が大国になるほど注視しなければならない部分が増えるため、殲滅の魅力が上がっていきます。

ただし、''(戦闘幅を満たしていない)敵軍に対し、10倍の数をぶつける''ことで、質に関係なく''自軍の損害ゼロで一瞬の殲滅''が可能です。
敵が分散したときはこの条件を満たすのがさほど難しくないため、これまた質より量によって達成できることがあります。


***本当に質を求めている場合だろうか? [#ead069e1]

陸軍伝統は高いに越したことはないですし、将軍は強いに越したことがないですし、規律・士気の顧問の使い所はありますし、NIの陸軍強化は悪くありません。
ただしこれらの要素は、他の要素との間で''(さして)トレードオフの関係にはありません。''

「トレードオフ」や「機会費用」という経済学上の概念は、パラドゲーをプレイする上でも役立ちます。
その[[解説としてはこちら>https://seijikeizai7.com/tradeoff-alternativecost/]]が分かりやすいです。

さて、''軍事系アイデア''でアイデア枠を圧迫することは、紛れもなく他のアイデアとのトレードオフの関係を生じさせます。

国土拡大の根幹となる統治・権勢、裏口拡大の根幹となる探検・拡張、AE抑制の諜報・宗教、国力上げの経済・交易、ストレスフリーの人文、ほのぼのの外交、物好きの海運と欲しいアイデアは多岐に渡ります。
特に序盤のアイデア選択は国家の方向性を大きく決定しますが、果たしてここで陸軍の質を高めるアイデアを取っている余裕があるでしょうか?

アイデアで質を高めることによる利得は存在します。存在しますが、それを選ぶことは''他の利得を失っている''という意味でもあるのです。


***「純」軍事アイデアは少ない [#qfb82a8c]

ここで注意すべきは、軍事アイデア=陸軍の質の強化という性質とは限らないということです。
アイデアについて詳しくは上で取り上げていますが、純然たる質系のポリシーは''軍質''ぐらいのもので、
言わずもがな非質系の''軍量''、質も高めるがそれ以外が極めて強い''攻勢''、そもそも内政系の''貴族・富豪''、パラドに嫌われてる''防勢''と、((軍事系アイデアは全部で6つだったと思うので、これで足りてますね。))

よって、''質以外の利得''を求めることを重んじて軍事アイデアを取るという状況も大いに考えられます。
たとえば攻勢は「規律はなくても良いけど他が欲しいから取る」という選択肢もあるわけです。

とはいえ、軍質以外の利得で統治・外交アイデアに並びうるのは、軍量と攻勢ぐらいのものでしょう。
それ以外は良く言って趣味の領域、悪く言って存在感なしという印象を抱かざるを得ません。
もし純軍事アイデアを取るとしても、プレイヤー厭戦の管理だけを目的としただいたい六番目以降のアイデアですね。


***総括 [#scc99d9e]

「質以外の方法でどうにかしよう」というアプローチが私の基本戦略です。

この考えは必ずしも私に固有のものではなく、数ある先人の方々に採用されているものです。
[[WC常連の人>AAR/第4回オスマン世界征服完全版]]は、序盤のアイデアがほとんど非軍事で統一されてます。終盤になって攻勢or軍質を取っている程度です。
[[1531オイラトの人>AAR/1531 Oirat WC]]は、これまでの日本語AARの作中で一度も軍事アイデアを採用した形跡がありません。
[[ほのぼのの人>https://www.nicovideo.jp/watch/sm33066127]]は「城壁破壊にMILを使うせいで軍事技術が遅れる」という迫真のスタイル。さすがに私は恐ろしくて軍事技術は上げてます。

 
**旧版アイデア解説(19年8月作成) [#wd42bc84]

2019年の8月、つまり''一年前に書いた身内用のアイデア論評''を載せておきます。
1.29時代の古いものであり、今とは変わってる点も多いですが、話の叩き台には使えるかと。
防勢の解説内容がやたらタイムリーでびっくりしました。一年前のわたしは預言者だった・・・?

五段階評価で、~が付いてるのはプレイ方針によって価値が変動するものです。

 
|BGCOLOR(lightblue):''経済''|BGCOLOR(lightgreen):''☆☆☆☆☆~☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆''|
|>|DEVポチのコストが下がるのが長期的に君主点の節約になる。金回りが劇的に楽になるためどんなプレイでも強い。|
|>|拡張プレイでは他のADM系アイデアの価値も高まる都合、相対的に非拡張プレイほど経済を使いやすくなるが、よほど金回りが安泰でない限りは早期に取りたい。|
|>|ポリシーは陸軍・内政の両面で強い。|
|>|BGCOLOR(grey):|
|BGCOLOR(lightblue):''宗教''|BGCOLOR(lightgreen):''☆☆~☆☆☆☆''|
|>|本体は七番目の聖戦CB、異教・異端に隣接するだけで即使用可のお手軽、DIP消費なしで領土切り取り放題な上、AEを75%に抑えるため包囲網の対策になる。|
|>|他の改宗関係の効果も強力で異教・異端プロビを抱えがちな拡張プレイに対応している。ポリシーも陸軍絡みで強力なものが多い。|
|>|人文とNIの組み合わせで異教・異端寛容度を高くできるならまったく改宗しない戦略が現実味を帯びてくるため、その場合は拡張プレイでも不要となる。|
|>|BGCOLOR(grey):|
|BGCOLOR(lightblue):''人文''|BGCOLOR(lightgreen):''☆~☆☆☆☆''|
|>|拡張プレイに必須。これを取らないで拡張すると反乱に延々と付き合うハメになる。攻勢とのポリシーを使うと反乱完封も見えてくる。|
|>|地味に関係改善の効果を高めるため、包囲網対策にも有効。あまり拡張しない場合、宗教以上統治未満の水準で不要となる。|
|>|BGCOLOR(grey):|
|BGCOLOR(lightblue):''統治''|BGCOLOR(lightgreen):''☆~☆☆☆☆''|
|>|拡張プレイに必須。本体は二番目のコア化コスト-25%でADMを大節約でき、「コア化時間」も-25%してくれるのが大きい。|
|>|OEの発生期間を短くしてくれるので、汚職などのペナを抑えたり急速に拡大するのに役立つ。他の効果はショボいため、拡張しないならまったく不要。|
|>|BGCOLOR(grey):|
|BGCOLOR(lightblue):''革新''|BGCOLOR(lightgreen):''☆~☆☆☆''|
|>|貴重な戦争疲弊低下が六番目にあり、信仰の守護者やポリシーで対応できない場合に欲しくなる。他の効果は特化した強さは無いが全体の底上げに繋がる。|
|>|BGCOLOR(grey):|
|BGCOLOR(lightblue):''拡張''|BGCOLOR(lightgreen):''☆~☆☆''|
|>|貴重なADM系アイデアの枠をここに注ぎ込んで良いのだろうか。|
|>|植民者が二人増えるのが本体だが探検の一人をこき使って並行植民すれば事足りる場合が多い。|
|>|戦争で拡張しないプレイを徹底するなら、他のADM系アイデイアの価値が下がるので辛うじて選択肢に入る。|
|>|探検とのシナジーで植民の進展は高速になるが、そこまで自前で植民せずとも、植民地国家に任せたり原住国家を滅ぼしたり他国の植民地を奪えば済むのでは。|
|>|BGCOLOR(grey):|
|>|BGCOLOR(grey):|
|>|BGCOLOR(grey):|
|>|BGCOLOR(grey):|
|BGCOLOR(lightblue):''交易''|BGCOLOR(lightgreen):''☆☆☆☆~☆☆☆☆☆''|
|>|癖の強いDIPアイデアの中では珍しく安定感のある性能。|
|>|植民地国家・貿易会社から商人を得にくい地域なら早期に欲しいし、既に十分な商人が居るときでも交易収入を確実に引き上げる効果がある。|
|>|ポリシーも内政に寄与するものが多く、枠が空いたら気楽に入れられる。|
|>|BGCOLOR(grey):|
|BGCOLOR(lightblue):''外交''|BGCOLOR(lightgreen):''☆☆~☆☆☆☆''|
|>|実は拡張プレイ用のアイデアであり、一回の講話で多くの領土を切り取る効果が本体となる。|
|>|帝国主義CBと合わせて大国を殴ると、OE200%近くまで領土を切り取るのも夢ではない。|
|>|外交官二名と関係改善プラスの効果で、包囲網対策にも堅実な効果。婚姻を切ることによるデメリットが無くなるのもときどき役に立つ。|
|>|BGCOLOR(grey):|
|BGCOLOR(lightblue):''諜報''|BGCOLOR(lightgreen):''☆~☆☆☆☆''|
|>|AE抑制ガン特化アイデア。直球でAEを下げる唯一無二の効果が本体、他は外交官が嬉しいぐらいか。|
|>|HRE内ではAEの溜まり方がえげつないため有力な選択肢になってくる。AE関係以外の効果はカスであり、極端なAE対策を必要としなければ取る価値はない。|
|>|BGCOLOR(grey):|
|BGCOLOR(lightblue):''海運''|BGCOLOR(lightgreen):''☆~☆☆''|
|>|扶養限界増加や維持費削減など効果が軍量に近く、質の面での効果は無いに等しい。|
|>|大量の小型船で交易シェアを握ったり、大型船の物量でAIを寄せ付けたくないときに選択肢に入ってくる。|
|>|海運コンプ+特定ノードのシェア確保で、商人が貰えるミッションも地味に嬉しい。|
|>|BGCOLOR(grey):|
|BGCOLOR(lightblue):''探検''|BGCOLOR(lightgreen):''☆~☆☆☆☆☆''|
|>|現行の環境では植民地国家・貿易会社から得られる利得が極めて大きいため、これらに早期にアクセスできる地域であればとてつもなく強力な効果を発揮する。|
|>|逆に言えば、早期にアクセスできなかったり、首都大陸制限でそもそも利用できなかったりすると途端に死んでしまう。|
|>|ゲーム中盤からは、植民地は育てるものから奪うものに変わっていくのだ。|
|>|BGCOLOR(grey):|
|BGCOLOR(lightblue):''権勢''|BGCOLOR(lightgreen):''☆~☆☆☆☆☆''|
|>|「属国を利用した拡張プレイ」のためだけにある玄人向けのアイデア。|
|>|「noCBでティムール属国してコア回収」という言葉の意味が分かって、実行する覚悟がある人のために存在する。|
|>|当然、統治とのポリシーで外交併合コストを下げるのも必須。|
|>|通常CBで領土要求等をする際のDIPの消費を抑えたり外交官の移動時間を短縮したりと、属国の存在に関係なく役立つ効果もないことはない。|
|>|BGCOLOR(grey):|
|>|BGCOLOR(grey):|
|>|BGCOLOR(grey):|
|>|BGCOLOR(grey):|
|BGCOLOR(lightblue):''軍量''|BGCOLOR(lightgreen):''☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆''|
|>|いちいち効果を説明するようなものでもなく、取らない選択肢は無い。問題は「いつ」取るかだけ。|
|>|AIはマンパワーを見て包囲網参加を判断しているため、事実上として最強の包囲網対策でもある。|
|>|BGCOLOR(grey):|
|BGCOLOR(lightblue):''攻勢''|BGCOLOR(lightgreen):''☆☆☆☆☆''|
|>|質の面では最強級の軍事アイデアで、早期に取りたいものの一つ。|
|>|どちらかと言えばアイデア後半に強力なものが多く、場合によっては軍事技術を遅らせることすら選択肢に入る。|
|>|野戦を回避するプレイスタイルであっても、扶養限界と包囲速度に寄与するために有用となる。|
|>|BGCOLOR(grey):|
|BGCOLOR(lightblue):''軍質''|BGCOLOR(lightgreen):''☆☆☆☆~☆☆☆☆☆''|
|>|攻勢に劣るのは効果が海軍にも振り分けられているからだ。|
|>|それでも強力なのは間違いなく、ポリシーについてはむしろ陸軍にガッツリ入り、攻勢を上回りうる。|
|>|BGCOLOR(grey):|
|BGCOLOR(lightblue):''防勢''|BGCOLOR(lightgreen):''☆☆☆''|
|>|二番目で士気が+15されるのは特筆すべきもので、最初のアイデアとして選択すれば疑似エランができる。|
|>|しかし、エランがエランたる所以はフランスの国力にあるのだから、小国が取ったところでどうこうなるものではない。|
|>|よほどの狙いがなければ、初手防勢からの戦争は有効な手段となり得ないだろう。|
|>|BGCOLOR(grey):|
|BGCOLOR(lightblue):''貴族''|BGCOLOR(lightgreen):''☆☆☆~☆☆☆☆''|
|>|指揮官枠が増え指揮官包囲に+1されるため、大国間の戦争で貢献度が大きい。|
|>|NI・ポリシーも合わせると騎兵の戦闘力が凄いことになるので、騎兵による野戦で蹂躙&大量の砲兵による要塞即落ちと言えば強そうだが、|
|>|やたら金がかかる関係、歩兵の数で押し潰したほうが面倒が少ないのも事実。|
|>|BGCOLOR(grey):|
|BGCOLOR(lightblue):''富豪''|BGCOLOR(lightgreen):''☆☆~☆☆☆''|
|>|飛び抜けた効果は無いが戦争・内政の両面にバランス良く効果を発揮する。|
|>|しかし、たいていの国家では貴族に枠を奪われてしまうため採用すらできない。|
|>|富豪を取るためだけに既存の政治体制を切り替える価値は無いだろう。ちなみに頑張れば貴族との両取りすら可能ではあるが、やはり利益があるとは言い難い。|
|>|BGCOLOR(grey):|
|BGCOLOR(lightblue):''海軍''|BGCOLOR(lightgreen):''☆''|
|>|これ要る?海軍の量ではなく質を伸ばすのだが、質を伸ばして利益がある場面は限定される。|
|>|軍質や海運で海軍力をケアできることも踏まえ、ガチで存在意義が分からない。なによりMILアイデアの枠を食うことが致命傷。|

トップ   編集 差分 履歴 添付 複製 名前変更 リロード   新規 一覧 検索 最終更新   ヘルプ   最終更新のRSS