一尺布、尚可縫
貴方達が戦う間、私は暖炉のそばで編み物をします
姉さんのくれた余所行きの服が一着しかないだって? なら代わるがわる着ればいいさ 兄弟なんだから
最難関実績に分類される本挑戦ですが、権利を持つのは以下の五国。
Khorasan Sistan Afghanistan Fars Transoxiana
しかしながら前二者は立地条件の都合から、時間制限プレイとの相性が悪くあまり人気がない模様。
後三者それぞれの国家の特性をプレイスタイルに合わせて使い分けるのが良さそうです。
1.アフガニスタン
利点 インドに対して最もアクセスが容易
北インドへと侵攻し、デリーを支配し、最速でムガールの冠を被る事が可能。
ムガールへと変化してしまえば強力なNIと豊富なクレーム入手ミッションにより、インド制覇がスムーズに行きそうです。
時間制限プレイとの兼ね合いから最も人気のありそうな国家ですね。
難点 経済力が弱い
ちなみに筆者はテストプレイの段階では最速デリー入城を果たした時点で、基礎DEVの低さからかインドにおいて包囲網を組まれました。
主たる交易ノードがラホールノードである為、北インドでの拡大に失敗した場合長期に亘り経済が停滞する恐れあり。
総じてハイリスク・ハイリターン型の国家の様ですね。
リセットプレイが苦にならないor私はヴォルテールや張儀に並ぶ外交の達人である、そんな方にお勧めですね。
2.ファールス
利点 戦争での勝利がそのまま国力拡大へと直結する
インド及びデリーから遠い為一見すると不利な立地ですが、ムガール化を後回しにするならばインド制覇において最高の立地とも言えます。
主たる交易ノードがホルムズノードである為、上流であるクジャラートノードを経由してインドの富を全てペルシャ湾へと集約できます。
初期領土内にシーア派、近隣にゾロアスター教領邦が存在する為、どちらかへ改宗後宗教ideaを採用。聖戦CBであらゆる者をなぎ倒せます。
シーア派であれば士気+5%。ゾロアスター教はTolerance of the true faith+2と交易ボーナスが魅力です。
ちなみにファールスは国家NIでさらにTolerance of the true faith+2を上乗せできますので、改宗さえできれば反乱とは無縁の生活が送れそうです。
余談ですが拡張DLC Cradle of Civilizationを保有していれば、交易ノードでの貿易ポリシー選択によってAE管理がさらに容易となるみたいですね。
難点 初期の立ち上がりが最も困難
聖戦CBでの拡張路線ですと一度拡大を始めれば雪崩のように侵攻を加速できますが、それまでの間は不安定な国家運営が求められるでしょう。
総じて国家NIに軍事系の補正がない為、評価が両極端に分かれる国家の様ですね。
私こそがチンギスハーンの娘婿だ、そう豪語できる戦闘の達人にお勧めですね。
3.トランスオクシアナ
利点 基礎DEVが最も高く、侵攻ルートが豊富。
飛沫国家の場合戦争でうっかり敗北、虎の子の歩兵10kを失い立て直せず敗北講和は誰もが通る道ですね。
でも大丈夫、トランスオクシアナは後背地が広く経済力がある為、上記の事態に遭遇しても再徴兵の時間は確保できるんです。
また北インドへのアクセスが容易であり、前二者とは全く異なる国家運用が可能な選択肢を選べる点が魅力です。
大陸間首都移転にDEV制限のない旧verでは、インド貿易会社作戦が有名でしたね。
インドへ背を向けウラル山脈を目指し北上。ステップ地帯を首都に定めインドを貿易会社に組み込むとの荒業です。現行verでは困難ですが……。
別解としては主たる交易ノードがサマルカンドである為、上流の崑崙山脈へと進出。明と国境を接したら朝貢(要DLC)。
南下してチベットを抑えベンガルへと進出。北西と北東からインドを挟み撃ちにできるかもしれません。
現行verではオイラートの暴れ方次第で明の運命は左右されますが、完全体明の庇護下に入ればAE管理は苦にならないはずです。
難点 基礎DEVが高い為、ティムールやウズベクからライバル指定を受けやすい。
裏を返せば序盤の外交関係がほぼ固定できるとも言えますので、大国の扱いを理解できる方であればそこまで悪くないのかもしれません。
総じて安定性が高く最も初心者向けの国家であると思われます。
本プレイではトランスオクシアナでゲームを開始する事に決めました。
註 架空歴史解説です
ティムール朝の君主シャー・ルフは、アジャムへの侵攻を開始する前に五つの国家へと遺言を残した。
「最強の者が帝国を継承せよ」
これはかつてアケメネス朝ペルシャを打ち破った西方の英雄、イスカンダールにあやかり戦勝を祈願する壮行式でのありふれた一幕であった。
そう本来であれば、ただの戯言ですむはずのたわいもないお遊びであったのだ。
「王者に二言無し」そう強く主張し、記録官への遺言作成を迫ったのが壮行会へと招かれたナクシュバンディー教団である。
彼らはイスラム教神秘主義者の団体ではあったが、ティムール朝内で非主流派であるシーア派門弟との不和から王座を巡る内訌を勃発させた。
臣下の言い争いに困り果てたのが、シャー・ルフである。彼はとっさに五つの予言と立太子の儀を重ねて行うと宣言し、事態の鎮静を図った。
彼はまず最愛の愛娘を呼び寄せた。
「その瞳は魅にして、吐息は愛。
影のある所では死なず。石の壁でも、銅の壺でも、塩の水より軽い武器でも殺せず。
パセリ・セージ・ローズマリー・タイム。チンギスの娘よ永遠に」
そう述べて、彼の愛用する銀の盃を与えた。
以後娘は死なずの姫君と呼ばれ、銀の器と共にホラーサンと竈・農場の守護者となる。
次に長男を呼んだ。
「お前は鉄刀木(ティムール)を持ち、六十六の部族を平定するであろう。
己の望む所・塩の流れる所を超えてはいけない。跛者(ティムール)よ、残酷な死が全てを覆う」
そう述べて、互いが戦地で愛用する素朴な素焼きの器を砕き混ぜ与えた。
以後長男は対になれぬもの・欠けたるものとも呼ばれ、砂の器と共にトランスオクシアナと未婚者・障碍者の守護者となる。
次に呼ばれたのは次男である。
「お前は近しい王(シャー)を手にかけ城(ルフ)を得るだろう」
そう述べて、儀礼用の金の盃を与えた。
以後次男は王殺しと呼ばれ、金の器と共にアフガニスタンと大工・賭博の守護者となる。
最後に呼ばれたのは四男である。
「お前は末弟ゆえ、私と共にあれ」
そう述べて、何も与えなかった。
以後四男は共にある者と呼ばれ、シャー・ルフと共にシスタンと家畜・娯楽の守護者となる。
そして呼ばれなかったものが三男である。
四男への予言の後シャー・ルフが疲れ果てたかのように座り込み、虚空を見つめ一言も発さなかった為周囲は動揺を始めた。
おずおずと進み出た三男を見たシャー・ルフは、ばつの悪そうでありながらも恐怖に取りつかれたとも見える歪んだ笑みを浮かべたと言われている。
「……お前は……羊の乳よりも先に、塩の産湯を口にしたものである」
長い沈黙の後にそう述べて、彼の愛用する羊の革袋を与えた。
以後三男は父なし子と呼ばれ、皮の器と共にファールスと両替商・異邦人の守護者となる。
――――
これまでの史書において、シャー・ルフが秘術や予言の類を重要視したとの記載は一切見つかっていない。
にもかかわらず、この日の出来事についてのみはあらゆる史書にて寸分たがわず記載が一致している。
これは後の時代に、ナクシュバンディー教団が秘術によってシャー・ルフを操ったと主張するシーア派学者が生んだ妄想である。
いやいや、シャー・ルフに詩才がないのは誰もが知っている。
予言はティムールにシャー・ルフと、子供へ生誕日にあやかった名を付ける遊牧民の伝統そのものではないか。
どんどん言葉数が少なくなるのも、無い知恵を振り絞った証だ。知恵熱が出てうっかり三男坊の事を忘れていたのさ。
そんな事はない、予言は成就したではないか等々。
ティムール帝国の崩壊を扱う演劇は、いつも市場で大人気。
人々はお気に入りの守護者を持ち上げて、あーでもない、こーでもないと居酒屋談義に花を咲かせるのがこの国の挨拶だ。
今は昔の物語。
この世界にて、ティムールの末裔たちはどの様な運命に翻弄されたのか。ほんの一時お付き合いを願います。
ここからは真面目にゲーム内解説へと移ります。
トランスオクシアナスタートですと、何をするにもまずティムールへの対応を迫られる事となります。
ティムールは放っておくとペルシャ地域を統一し、トランスオクシアナの脇腹を狙う強大なライバルとなるでしょう。
そこでいっその事、まずはゲーム序盤にインド侵攻ではなくティムールの解体を目指す事といたします。
そもそもまずティムールの後継であるムガールを名乗るロールプレイの都合上、ティムールに生きていられるとなんだか困りますからね。
ロシアプレイでビザンツが生存している場合、第三のローマを名乗りたくても名乗れないジレンマがあるようなそんな気分です。
アイディア順と侵攻方向もここで纏めておきます。
1.権勢 2.貴族 3.防衛
ホームノードと上流を属国と分け合いながら後に直轄支配し、下流域は辺境伯に任せる。異端・異教の領土は聖職者・ダホメーズィンミー階級へ任せ改宗は最小限。
よって属国管理の容易となる権勢アイディアを最初に採用します。騎兵強化と外交官追加、指揮官包囲能力ボーナスの貴族が続きます。
最後は軍事点が余っていた為、消去法で防衛となりました。あまり重要ではないですね。
権勢と外交は好みの分かれる所なのですが、時間制限系実績ですと外交の方が良いのかもしれません。
領土講和コスト-20%は非常に強力ですので、次にプレイする機会があれば筆者は外交を取ると思います。
ティムールと序盤から争う都合上、強大な同盟の存在は必要不可欠です。
そこでまずはリセットマラソンにより、シャー・ルフの死よりも前にウズベクとマムルークから独立支援を貰える世界を引き当てます。
テストプレイでは一発成功したのですが、乱数の都合か再度ウズベクから支援を貰えた本プレイへ辿り着くまでに五回リセットしております。
この後も一部プレイヤーチートじみた姑息な手段をゲーム初期と最終盤のみ使わせていただきます。
――――
ティムールのアジャム戦終了直後に、初期君主を強制退位(DLC要素)。安定度が-1されます。
続いておもむろに独立戦争を開始。
本来であれば独立により安定度が-3されるのですが、安定度は最低値が-3である為、初期値0から合計-4されても実際の所は-3の影響しか受けずにすみます。
安定度回復の為の君主点を節約する姑息な手段ですね。
ゲーム序盤は君主点が貴重なんです。スーパープレイを期待する読者の方にはごめんなさい。
独立のついでにインドへの道を確保し、ホラーサーンを全土併合。ファールスとアフガニスタンへも領土を分け与えます。
この辺りは好みの分かれるところですね。賠償金をむしり取り、同盟を捨て自国強化を狙うのか。
同盟国へ領土を渡し、安定した外交の構築を目指すのか。
共戦国へ領土を渡さない場合、土地を渡さなかった補正により将来の同盟参戦の妨げとなりますので。
余談ですが拡張DLC Dharma保有者の場合は、ミッションの都合からアフガニスタンを併合する事が良いみたいですね。カブーリスタン地域を直接保有すれば、北インドへのクレームと優秀な史実指揮官が手に入るようなので。
独立後はファールスとの同盟を破棄し、ホラーサンを属国作成。
ノガイ、ティムール、チャガタイ・ハンをライバル指定。
間髪入れずにラダックへの征服戦争を開始。
テストプレイではのんびり戦時疲弊の低下を待っていたら、アフガニスタンに独立保障をかけられてしまったので……。
将来の北インド侵攻を見据えて早めに布石を打っておきます。
1455年 首都サマルカンドを開発しルネサンスを自力需要 この世界でのルネサンス発生は1454年と少し遅めでした。
1461年 チャガタイ・ハンがオイラートと争っている背中を刺して、ヤールカンドから交易の中心地を奪います。
もちろん領土割譲を約束したウズベクにも土地をプレゼント。まだまだ同盟は維持したいところです。
これによりサマルカンドノード内占有率が50%へ到達。財政状況に余裕が生まれますので主力となる騎兵軍の育成を始めます。
この時点でヤールカンド領を確保できた点は幸運に恵まれていたと感じます。
1463年 増やした騎兵の力によってライバルであるノガイを征伐。Humiliateを叩きこみつつ、サマルカンドノード内領邦を回収。
これにより膨大なPPを得、君主点底上げを行いつつ時代目標(DLC要素)の達成を済ませておきます。
時代ポイントが溜まったらAE-10%ボーナスを選択し、包囲網対策とする予定です。黄金時代は開始できる段階を迎えたら流れで発動となりました。
ちなみにノガイはヨーロッパ判定のなされるウラル領域を保有している為、
そちらまで領土を広げるのであれば時代目標である「異なる大陸に領土を保有する」も達成できますね。
上でも述べておりますが、大陸間首都移転にDEV制限のない旧verではカザンの金山を首都にして黄金時代を早期に発動しつつ、
インドを貿易会社へ組み込むやり方が強かったそうな。何が何でも実績を解除したい方もおられるでしょうし、覚えておいて損はないはずです。
この後はティムールとの休戦期間が明けるのを待ちつつ、パンジャーブを属国作成してムルタンを攻めておりました。
1476年 ティムールが再度アジャムとの領土紛争を始めていたので、背中から刺殺。
属国ホラーサーンの旧領回復を名目に領土の半分をごっそりと奪い取ります。再征服CBはAEと領土割譲コストが少なくて良いですね。
ティムールは確かに強敵なのですが、この日の為にマムルークとウズベクの同盟を維持し続けた為軍量に不安はありません。
この後ティムールは近隣国家との争いの果てに内乱で崩壊。ヤズドへと変わっていたようです(タイムラインで確認)。
さてインド征服へ向けての後方の安全はこれで確保できましたので、役目を果たしたマムルーク、ウズベクとの同盟は破棄。
今後は包囲網対策にオスマンとの同盟構築を目指します。
いつ頃かは忘れましたが、黒羊朝とマムルークをライバル指定して共通の敵ボーナスにより同盟を成立させていたはず。
ウズベクはトランスオクシアナのコア領土を保有している為、情勢が許すならば国力向上の為に襲う腹心算でしたが、機会は訪れませんでしたね。