15世紀末 あるフランス人は二コロ・マキャベリにこう言いました
「イタリア人は戦争のやり方を知らない」
マキャベリも負けじと反駁します
「フランス人は政治のやり方を知りません」
このときフィレンツェはイタリア戦争の真っ只中
フランスの侵攻によりせっかく手に入れたピサも失い、メディチ家は再び追放の憂き目に会います
悲しいかな、15世紀当時のヨーロッパは力こそが物を言った時代
戦争のやり方を知らないイタリア人はハプスブルクとヴァロワの代理戦争に振り回されてしまうのです
もちろんメディチは野蛮なガリアやゲルマンの連中に負けるつもりはありません
いつか欧州のグレートパワーになることを夢見て今日も皇帝に王に媚びへつらいます 今後ともメディチ銀行をよろしく
外交の基本は遠交近攻
次の標的はモデナとアンコーナです
モデナを難なく併合し、返す刀でアンコーナに迫ります
ところがこのアンコーナがメディチ始まって以来の大戦争の引き金となるのです
ハンガリー 東ヨーロッパの大国であり、何度かオスマン帝国をも敗走せしめています
彼らこそ東欧の雄 大変語呂が悪いです
本来ならイタリアとの関わりなんてほとんどないはずのこの国
ところが今回は事情が違います
なんと彼らはアンコーナを属国としていたのです
それだけではありません
ハンガリーはサボイ、イングランドとも同盟していました
対して我が同盟国フランスは参戦を見送る様子
あまり芳しくはない状況ですが、ここでの勝敗に全イタリアの命運がかかっていると言っても過言ではありません
メディチは気を引き締めます
確かにハンガリーは強敵です
しかし、たとえ独力では勝てなくともこちらにはオーストリアとヴェネツィアがいます
彼らの力を頼りに宣戦布告です
先の戦争で10000人規模の軍勢を揃えられるようになったフィレンツェはそれを全てアンコーナになだれ込ませます 市民軍論者であったマキャベリも満足しているでしょう
敵の正規軍を蒸発させ、一年ほどで攻略します
ところが、目標は達成したのに未だに勝てそうにはありません
メディチは焦り始めました
オーストリアは強いです ヴェネツィアもそれに劣りません
それゆえに過信していたのです
バーデン公に率いられたオーストリア・ヴェネツィア連合軍はクラインでハンガリー・イングランド連合軍に完敗を喫します
海軍力では全く勝てない上に、陸軍総数までも互角になってしまいました オーストリアは涙目で軍を再編しています
東欧は彼らに任せて置けると思っていたメディチは遠征を余儀なくされました
コジモ自ら軍勢を率いてハンガリーに向かいます イタリア人の底力を見せてやる
トスカーナ軍はハンガリー軍を山岳へ誘い込むことに成功します
回復しきっていないオーストリア軍もここが勝負どころだと気づいたのでしょうか 急いで戦闘に参加してくれました
トスカーナ・オーストリア連合軍はギリギリの勝利を収めます
それなのに軍勢は大幅に減少
大きな出血を伴う苦い苦い勝利でした
その後敵軍を掃討し、相手を和平のテーブルに座らせます
アンコーナはくれてやるとのこと ありがたく頂きましょう
わずか一州を手に入れるのに大きく傷つくメディチ
イタリア統一の必要性を改めて痛感します 早く外国に対抗できる国を作らなくては
イタリアではジェノヴァがミラノとの戦争に勝利し拡大しています 次の標的は彼らにしましょう
というのも、ミラノの首都であるロンバルディアはイタリア統一の条件州の一つなのです
そこへの通路を早く作らねばなりません ジェノヴァの拡大を防ぐ意味もあります
東ではオスマン帝国がビザンツを滅ぼし、コンスタンティノープルを首都としました
ヨーロッパの辺境ロシアではモスクワとノヴゴロドが平原を二分して争っているようです
それ以外の地域はこれと言った動きがありません フランスが小諸侯の併合を進めているぐらいでしょうか
混沌とした欧州情勢
荒波に揉まれるフィレンツェ
無事航海を乗り切れるか、はたまた難破してしまうのか
全てはメディチの采配にかかっています
前 最初の一歩のその前に 次 躍進の世紀