補遺3 マルチにおいて推奨されるアイデアについて
EU4におけるidea groupsは, EU3におけるシステムの発展形であり,
所与の国家方針であるところのnational ideaに比し, 自前で国家の特色を決定づけられることに意味がある.
このページでは,マルチプレイを行うにあたっての各idea groupの総評および概説を行う.
評価は
評価 : A
大抵のプレイで取って損はしない上に, 大帝国を築くなら極めて重要なideaである.
国によっては初手で取る価値も高い.
目玉となるのはCore creation cost – 25%であろうか.
それに目を奪われがちであるものの, 傭兵ideaとしての側面も見逃せない.
マルチにおける対人戦において, しばしば人的資源がその律速段階になる.
傭兵コストが跳ね上がった今, Adm. Ideaの持つ傭兵維持費 - 25%および傭兵コスト-25%のシナジーは, さらにその価値を増したと言えよう.
また, コンプボーナスで国力に直結するstate数を5も増えることも記すべきだろう.
現在の仕様は, 1.19などと比較してstate数の上限が僅少なものとなっており, 相対的にstate数ボーナスはその価値を増したのだ.
idea全体を見回してみても無駄は少なく, 精々Adviser + 1程度であるだろう.
利息低減は一見メリットがないように見えて, 時として破産まで戦い続けるマルチでは,
破産までのタイムリミットを大幅に伸ばしてくれる有能な効果であったりする.
また, 解禁されるpolicyもAdm-TradeのTrade efficiency+20%や, Adm-Quant.のland maintenance -10%,
recover army morale speed + 10%など, いぶし銀的な効果を持つものが多く使い勝手が良い.
評価 : S
こちらも大抵のプレイで取っても損はしない有能なideaである.
だが, 「損をしない」というベクトルは若干Admと異なっている.
Admは拡張とそれに伴う消耗を緩和する事への強さだが, 対してEcoの強さは内政の強さによって拡張を助ける事にある
利息低減が有能なのはAdmで述べたのと同様であるが, Ecoの有用性はAutonomy低減やproduction増加, あるいは陸軍維持費削減と, どれ一つ取って無駄がない.
辛うじてインフレ低減が国によっては要らない程度であろうか.
また, development cost -20%も強力であるだろう.
institutionの受容のためには, 往々にしてプロビンスのdevelopmentを上げる必要に迫られる.
大雑把に言えば, 大抵devを30程度上げればそのプロビにおいてinstitutionが受容される.
dev上げの必要君主点の基礎値は50点であるから, dev cost-20%によって50 * 0.2 * 30 = 300点の君主点を節約できる.
さらに, 解禁されるpolicyも強力なものがある.
Eco-OffのArt. Combat abilityは後期ほど凶悪な性能を誇るし, なによりEco-Qualの規律5%がある.
Policyで規律が上がるものは今やこれだけであり, ゆえにマルチにおいてEcoおよびQualはほぼ必須といえるだろう.
評価 : D
はっきり言って, 殆ど取る価値のないideaと言わざるを得ない.
その効果で枢要なものと言えば植民者及び商人 + 1であるが, 植民用にとるのであればexploration ideaの下位互換である.
そもそも今の仕様で植民を急ぐ価値はほとんどない.
探検ideaの項で述べる予定だが, 植民はそれ自体では元が取れない行為だからである.
また, 商人が欲しいから取るとしても, こちらも交易ideaの下位互換に過ぎない.
そもそも不通に植民すれば, 植民国家 / trade companyによるボーナスから商人が大量にもらえてしまうのだから.
Global trade power + 20%はそれなりに強力ではあるものの, これですら交易ideaと等価である.
そもそもideaの効果自体に無駄が多い.
例えばRecruitment timeやらShipbuilding timeは相当特殊な状況でなければ役に立たないし,
State maintenanceも支出面では微々たるもので, 例えばEconomicのland maintenanceには大抵太刀打ちできない.
Policyすらも目立って強い物は少なく, 精々Expansion-Qualityの将軍fire + 1か
あるいはExpansion-Defensiveのland maintenance -10%, recover army morale speed + 5%であろうか.
ただ, 後者に至ってはAdm-Quantityの, やはり下位互換に過ぎないが……
評価 : C
基本的に取る価値は薄い.
だが, すさまじい拡張プレイをする時にのみ, このideaはその秘められた価値を発揮する.
このideaの効果は, 一見「反乱を沸かなくする」という一転に尽きる.
National unrestと異教/異端のtolerance + 3は, 異宗教 + 異文化のプロビのunrestすらある程度は抑え込む.
しかし, それだけでは大した効果とは言えない.
「反乱を沸かさない」という一点だけであれば, 宗教ideaを取って改宗した方が大抵の場合良いからだ.
だが, このideaの真価はYears of separatism -10にある.
拡張プレイをする時, 往々にして反乱がその律速段階となるが, Humanist ideaと
Humanist – OffensiveのYears of separatism -5も加えれば, 反乱の沸く回数を大幅に減らすことができるのだ.
これ以外のpolicyには左程見るべき価値のあるものはないが, 過剰拡大120%程度を常時抱えるような大拡張プレイをマルチでやりたいなら
(そもそもそれが出来るのなら)一見の価値のあるideaと言えるだろう.
もっとも, そんな拡張が出来るなら苦労しないのだが......
評価 : C
端的に言えば, あまり強くないideaと言わざるを得ない.
Tech cost -5%やmercenary maintenance -25%はそれなりに強いが, あくまでそれなりでしかなく, 月間厭戦 -0.05も強いが役立つ場面は限定的である.
かつてこのideaには, 陸海軍伝統への強烈なボーナスがあったが, それが失われた現在, Innovativeを取る価値はほぼpolicyに限定されるであろう.
特筆すべきはInnovative-QualityのInfantry combat ability + 20%であり, これは戦闘系policyの中ではまずまずといったポジションである.
またInnovative-Aristocraticのproduction efficiencyもそれなりに有価値である.
さらにInnovative-Offensiveのpolicyは, 将軍のsiegeを上昇させる効果を有している.
siegeを上げる手段は貴重であるだけでなく, やりようによっては面白いことが可能となるであろう.
評価 : S
こちらもかなり大事なideaである.
Humanistとは別ベクトルに国内の反乱を予防するが, 何より大事な事として陸軍moraleを上昇させるpolicyが2つもある事を挙げられるであろう.
idea単体で見た場合の強さも中々である.
通称聖戦CBと呼ばれるCBが極めて優秀で,かつてideaの初手でCBが来ていたのと比較して解禁位置は弱体化したものの, 非常に使い勝手の良いCBである事には変わりない.
Conquest CBがAE割引もなく, 非Claimプロビの割譲はDipを要求するのに対し, 聖戦CBは(野戦で勝てるなら)その完全上位互換である.
優秀なCB以外にも, 例えばMissionary strengthが3%も上昇するため, 国内にはびこる異端・異教の回収は凄まじい速度で進むであろう.
そして改宗後の土地は, 高toleranceによって反乱をほぼ阻止できる.
Humanistが新規の征服地から反乱を沸かさないようにするideaと言えば, Religiousは征服後, 一呼吸置いた後の安定を保証するideaと言えるだろう.
そしてpolicyにも強力なものがある. Religious-Qualityの陸軍morale + 5%およびsiege + 10%と,
Religious-Quantityの陸軍morale + 10%とmorale recovery speed + 5%である. 合計して陸軍morale補正は + 15%にもなる.
特に序盤で仕掛ける際, これら2つのideaはよく戦争を支えるのは間違いない.
評価 : D
余程外交官に飢えており, 同時にそれが律速となるような国家以外はとる価値が薄い.
例外は序盤のAustria程度であろうか.
Kingdom rank以上であれば外交官が+1され, また普通のプレイをする上では外交官など3人で十分な現状, 積極的に外交ideaを取る価値は薄い.
そもそも外交官以外の効果で見ると, Influenceに勝っているところがあまりない……
一応, 世界征服レベルの大拡張をするのなら価値があるのだが.
PolicyもDiplomatic reputation程度しか良いものがなく, 限定的な状況でしか活躍は難しいだろう.
評価 : F
本当にこんなものを取っていいのか?
採る前に, Ideaとpolicyの効果をもう一度よく確認しよう.
policyには稀に見るべき効果を持ったものもあるが, 基本的に他の下位互換である.
騎兵戦闘力(笑)のみはオンリーワンだが……
評価 : C
植民する国家であるかそうでないかで大きく評価の変わるideaである.
イベリア国家やアジア国家で植民したいなら, まず初手で取ることが推奨される.
だが, そもそも植民という行為自体, 効率が悪い.
植民地の人口増加速度が年間100人だとしても, 植民地の完成まで単純計算では10年かかってしまう.
植民地の年間維持費は25 ducatなので, 250 ducatの出費である.
この元が取れるのは何年先なのだ? と考えると, 何やら微妙なものを感じてしまう.
もっとも, 中南米の植民国家から運ばれる金は地味だが重要な財源になるし, 商人が貰えるのもありがたいのだが.
とはいえそれがこのideaの価値を高めるものではない.
このideaに注ぐdipを金山にでも放り込んだ方が, 大抵の場合, よほど儲かるであろうからだ.
評価 : C
HRE構成国等と言ったAEが律速になる国家であれば, 初手で取ることが推奨される.
だが, アジア国家などでは取る意味は薄く, それに時間とともにAIが淘汰されAEを気にする必要のなくなるマルチでは, 取るなら初手か2手, 精々3手目までであろう.
その効果は, 要するに外交併合を楽にすることと, AEを減らす事に集約される.
外交併合は結局AEを減らす(のとAdmを節約する)ためにやるわけであって, 中盤までの拡張のお供にふさわしいideaと言えるだろう.
しかし, 中盤以降になればAEも外交併合もメリットは相対的に薄れていくので, 先述したようにAIの淘汰が終わったあたりで破棄するのが望ましいだろう.
評価 : B
海軍版の軍量ideaであるが, それだけでなく海軍の質にも寄与するideaである.
特に, 提督の機動を2も引き上げるのが重要である.
海戦は基本的に提督の機動ゲーなので, 海軍で他人に勝つ際には, このideaはカギとなる役割を果たすであろう.
またこのideaは海軍ideaに比して, 基本的にその上位互換である.
海軍ideaは海軍の量自体は全く強化しないものの, maritimeは量も強化するからだ.
Policyを見たときMaritime-Offensiveのship durability + 5%など地味なものが多いのが欠点ではあるのだが.
とはいえ, Diplomatic groupの中では最も直接的に戦争に寄与するideaである点は見逃せない.
評価 : D
Trade ideaからは合計で商人が3匹もたらされるが, 本当にそこまで商人が必要なのか考えてからこのideaを取るようにすべきであろう.
大抵の国家はそこまで必要ではない.
例えばスペインなどのように新大陸に進出する国家であれば, 植民地からアホのように商人が湧いてくるし,
オスマンもインドを食ってtrade companyに放り込めば商人が湧いてくる.
逆説的だが, 中央アジアに伸びたロシアならこれを取る価値が生まれてくる.
ロシアは中華まで行かないと, trade companyの商人が手に入らないからだ.
(アラスカに植民しても良いが, 経済的にはほぼ無意味である……)
ただ, 収入を増やすという一点に絞れば強力なideaである事には違いなく, 採用を一考する価値は依然としてあるだろう.
評価 : C
Hostile core creation cost + 50%のインパクトが強く, 嫌がらせideaとの認識を持たれているideaである.
当たらずしも遠からず, といったところであろうか.
実際問題, コア化コスト以外は外交ideaと軍量ideaを足して4で割ったような微妙性能である.
ただ, 人的資源+25%はまずまずの強化であるし, 陸海軍伝統に寄与があるのも見逃せない.
Mil Tech costはMilが余りやすい近年のverでは今一つといった効果ではあるし,
外交官 + 1もなんとも言えないバフであるが, 決して弱いわけではないideaである.
とはいえ, 他の陸軍ideaに比肩しうるほど強いかと言われるとそうでないのが悲しいが.
Policy面では, 主に内政強化系に見るべきものがある.
とはいえ, Espionage-Aristocraticの騎兵戦闘力(笑)程度しか陸軍強化がないのは何とも言えないところである.
評価 : B
morale差は序盤において猛威を振るうが, このideaはmoraleを15%もブーストしてくれる.
陸軍強化が2番目までに集中しているのも良い点であろう.
ただ, moraleが有効に働くのは序盤から中盤にかけてのみであるし, 後半になればなるほど微妙になる感は否めない.
将軍の機動は渡河を含めた局地戦で稀に威力を発揮するが, やはりfire / shock +1には勝てないだろう......
とはいえ陸軍伝統もあるため, いずれはとりたいideaではあるのだが.
Policy面では, 主に要塞と消耗にフォーカスしているが, 現状そこまで有効に働いているとは思えない.
そもそも, 如何に要塞を硬くしようとも抜かれるときは抜かれるし, 最悪mil 50を払って城壁破壊後に強襲することで抜けてしまう.
これでは消耗もfort defenceも強化する意味が薄いと言わざるを得ないだろう.
とはいえ, morale +15%の有無は何のかんの言ってそれなり以上の差であるし,
それにarmy traditionは将軍の質を底上げするため, 採る価値は十分にあると言えよう.
評価 : D
俺はどうしても海軍を強くしたいんだッ!11!11!!1!!!(発狂)
......という強い願いがあるとき以外に, このideaを採る意味はない.
スパイの時も記したように, ideaを採る前によく考えよう.
これを取るより, 陸軍強化のideaを1つ取った方が大抵良いのだから……
評価 : S
防御ideaが要塞を防御することにフォーカスしたideaだと言うならば, 攻撃ideaは野戦と攻城にフォーカスしたideaであると言えよう.
defensiveと違って直接的な将軍強化はうれしいし, 何より規律が+5%されるのが非常にありがたい.
EU4の野戦は規律ゲーなので, 攻撃ideaのように規律を上昇させるideaはほぼ必須と言ってよい.
一応+100% prestige from land battlesやらRecruitment time -10%やら要らない効果も多いが, siege ability + 20%や
force limit + 20%と, 正に攻勢に出るに際して”ありがたい”効果が多い.
policy面も中々であり, 特にEconomic-Offensiveのartillery combat ability + 10%がその筆頭であろう.
このゲームは後半になればなるほど砲兵ゲーになるため, 砲兵強化を齎す効果は見逃せない.
他にはInnovative-Offensive, Humanist-Offensiveと, 中々強力な効果が揃っている.
評価 : B
要約してしまえば, QuantityとEconomic, Trade ideaを足して3で割ったような性能である.
効果自体は強い方であるが, 共和政体の国家しか取得できないという欠陥がある.
そして君主政体は後継者を引き直したり君主の退位が出来たりするという昨今の仕様上,
そもそも共和制自体が君主制に比して不利であるため, 強さをあまり生かしにくい不遇なideaである.
ちなみにpolicyも概して強くない.
ideaの効果自体が今一つ尖っていないのも, 強さのわりに採用されないというこのideaの不遇さに拍車をかけているだろう......
ただ, 1750年以降に訪れる革命期になれば君主点など比較的どうでもいいので, その時期に共和制になるならこのideaは十分とる価値があるだろう.
Available mercenariesは継戦能力を十分底上げしてくれるのだから.
評価 : S
対人戦争をやる前には是非欲しいideaである.
攻撃ideaの項でも述べたが, EU4の戦闘は規律ゲーなので, 規律をもたらすideaは極めて重要である.
それだけでなく, 歩兵と騎兵, そして何より砲兵の戦闘力+10%もある.
また, 若干ながら海軍強化ideaとしての性格を有している事も見逃せない.
Ship Durabilityは, 想像しているよりも意外に差がつくところである.
最後に, policy面が協力である.
というか, Quality ideaを取る目的の割合としては, policyを解禁することが非常に大きいものである.
具体的には, Quality-Economicの規律 + 5%がその白眉であろう.
他には先述したInnovative-QualityやReligious-Qualityの効果も強烈である.
意外な所では, Maritime-QualityでNaval morale + 20%というのがある.
海軍で争いあう珍しい機会があるなら, 記憶の片隅にでも入れておくとよいと思われる.
評価 : S
対人戦をやるときだけでなく, AIを虐めるに際しても有能である.
また, 彼我の国力次第では包囲網対策にもなる事も見逃せない.
結局のところ, 戦争とは人的資源と資金を消費して作成した戦力をぶつけ合う行為であって,
ゆえに(質的に差がなければ)勝敗を決定づけるのは人的資源と資金である.
Quantity ideaはforce limitとmanpowerを50%上乗せし, さらに回復力まで向上させる.
このideaによって, 人的資源問題は大幅に緩和されるであろう.
policyとしては, Quantity-Religious以外にもQuantity-Tradeの組み合わせによるGoods Produced modifier + 20%や,
Quantity-AdministrativeのLand maintenance -10%, Manpower recovery speed +10%が高価値であろう.
一般論として, スタートダッシュにAdmを消費するため, 最序盤ではAdm系ideaは取りたくない.
また, 序盤でのMil Tech1の差はかなり大きく, 故にMil系ideaも取りづらい.
そのため, Dip系ideaを初手に取る事が最も安牌であると考える.
具体的に取るideaであるが, イベリア国家と東南アジアにすぐ届く国家なら探検ideaが良い選択で, それ以外の欧州国はinfluenceが良いだろう.
ただ例外として, Austriaのみ外交ideaが選択肢に入るだろう.
そして, 2手目にはquantityが望ましい.
quantityは包囲網対策にもなるし, 拡張を律速する人的資源を大きくブーストするしでかなり有能である.
ただ君主能力などでMilが不足しているなら, その時は宗教 / 経済に振った方が良いだろう.
大規模に拡張するであろうMingやOttomanなら, 行政も捨てがたい.
ただ, このタイミングでラッシュをかけるのであればDefensiveも選択肢に入る.
3手目からは君主と能力による不確定要素が大きくなるが,
一般論としては既にQuantityがあるなら宗教 / 行政ないしQuality, ないのであればQuantityとなるだろう.
一例としては
influence(探検) ⇒ Quantity ⇒ Religious ⇒ Quality......
といった感じであろうか.
いずれにせよ, 最終的に宗教 経済 + 攻撃 防御 軍量 軍質はほぼ必須であり,
残りの2枠に何を突っ込むかの問題になる.
ここは国と状況・そして趣味で左右されるが, 海運やら行政やらを突っ込んでおく事を個人的には推奨する.
他にはplutocraticやaristocraticも見逃せなく, 国によっては革新が良い場合も稀にあるだろう.