ヨーロッパ人に深く根付く帝国主義精神
ローマ帝国の辺境の地に住む蛮族として歴史に現れた彼らは、領土欲の塊とも言える存在でした
数世紀の間、ヨーロッパ人は欧州内での戦いに没頭します
そんな彼らの目を外に向けさせたのはモンゴル帝国の侵略
マルコ・ポーロの話を本としてまとめた「東方見聞録」が広まると、ヨーロッパでは自分たちの知らない世界への関心が高まります
アジアに存在すると言われた、プレスター・ジョンなる者のキリスト教の大帝国、いわゆるプレスター・ジョン伝説もヨーロッパ人を惹きつけました
イベリア半島でのレコンキスタをいち早く終えたポルトガルがその有り余る欲望を大西洋の先に向けたとき
大航海時代は幕を開けたのです
紀元前よりインド洋と地中海を結ぶ交易の要地として栄えたアラビア半島
古代ローマ人はこれを羨んでアラビアン・フェリックス(幸運のアラビア)と呼びました
ローマ帝国が滅んでから1000年が経過した今、イタリアはアラビアを経由せずアジアに直接向かう航路を見つけることを画策します
目標は世界の海の覇者となること
世界帝国への第一歩です
イタリアはアフリカを回り込んでアジアに行こうと考えます
ところが、当時の船は寄港地なしで長い航海ができるほど性能はよくありません
そこでまずはアジアに向かうための中継地を確保することにしたのでした
イタリアがジブラルタルの先に持った初めての領土は、西アフリカ沿岸にへばりつくような場所にあるトラルザ
ここは世界への橋頭堡 夢の始まりです
それにしても大西洋は穏やかだ
何も夢が広がっているのはアジアだけというわけではありません
なんと西の方にはでっかい豊かな大陸があるとか いやまあ思いっきり見えてるんですけどね
というわけでイタリアはカリブ海の島々にも入植者を送ります
言葉も通じないし護衛もいないけど頑張ってね 生憎イタリアには軍を送る余裕がないんだ
というのも、このときイタリアは皇帝オーストリアとの死闘の真っ最中
もしかしたら彼ら入植者は終わりの見えない戦争から逃げたかったのかもしれません
皇帝との統一戦争が終わり、イタリアはアフリカ探検に本腰を入れられるようになりました
早速トラルザに置きっぱなしだった探検船団を探検家のジョヴァンニ・マラスピナさんに任せます
どこかで聞いたことのあるような名前ですね 親戚か何かなのでしょうか
まだ海外に大軍を送り出せるほどの海軍力は持っていないので、陸軍は載せずに平和的な探検をします
やっぱり平和が一番です
ジョヴァンニはわずかキャラック3隻という寂しい探検団でひたすらアフリカを南下します
仕方ないじゃないか お金無いんだから
それにしてもこの人、全然陸地を見つけてくれません とんだでくの棒を雇ってしまいました
アフリカ沿岸に沿って進んでいると、コンゴという国をありました
何だか目に優しい色をしています 優しい色のよしみで征服はしないでおいてあげましょう
ただ征服はしませんが、隣のルアンダという空き地は使わせてもらいます どうも隣に越してきたイタリアです
ここで船の補給が切れてきたので一旦トラルザに戻ります
帰る途中で、赤道近くにフェルナンド・ポーという島を見つけました
絶対現地語じゃない 植民者が空いたら入植するとして、船団はトラルザに向かいます
ジョヴァンニ、第一回航海の終了です
筆者がプレイしていた時はまだバージョンが1.4だったためにほとんどの国は港湾使用許可を出してくれません
1.5では修正されたようなのですが、このときは寄港することができなかったためにアジア探索に恐ろしく時間がかかっています
また当時筆者は1.4で変更されたシステムをあまり理解していなかったため、まどろっこしいプレイが多々見られますがあまり気にしないでください
補給を終えたジョヴァンニは再びアジアに向けて出航します
今度はルアンダという中継地があるのでさらに先へ進めるでしょう
ジョヴァンニは遂にアジアへの折り返し地点、喜望峰に到着します
史実ではバルトロメウ・ディアスが最初に到達したのですが、あまりに荒れた海域だったため当初は「嵐の岬」と命名していたそうです
因みにこのゲームの世界で最初にここを通ったのはスペイン人でした
アフリカを回り込んでインド洋に入った探検団が目にしたのは、東アフリカの覇者キルワ
南はモザンビークから北はソマリヤに至る大きい、というよりは長い国です
カビみたいで汚いなぁ
そんな失礼なことをつぶやきながらジョヴァンニは北へ北へと航海を続けます
おや、ここはアラビア半島じゃないか
こちら側から見たことはなかったので新鮮な気分です 南側は全部オマーンの領土でした
と、ここで補給限界です
ルアンダに戻って回復を待ちましょう
ケープに植民地ができたのでそこを拠点に再び探検です
前回と同じ道を北上したジョヴァンニはペルシャ湾の入口に到達しました
彼が珍しく発見した陸地は真っ赤っか その北側にはでっかく「ティムール」と書いてあります
えっまだ生きてんの
シーラカンスを見つけた人の気持ちを理解できた気がします
生きた化石の存在に驚きつつ船はインドを目指します
ちょっと東に行くと
おおインドだ 香辛料がいっぱいだー
インドはマールワとヴィジャヤナガルの二国が争っているようです
てっきり小国がいっぱいあるかと思っていたのに
イタリアは将来インドを征服する気が満々なのでちょっと困る
実はその奥にオリッサという国があって三国時代をやっていたようなのですが、このときは気づきませんでした
また補給がきつくなってきたのでケープに戻ります 寄港させてくれないのは本当に辛いです
ジョヴァンニは今回も普段通りケープに帰って探検は終わりだと思っていたのでした
キルワ沖にボロボロの船が一隻
飢えと渇きに苦しむ一人のイタリア人探検家の姿がありました
「天からやっちまったという声が聞こえる・・・」
彼はそう言い残して死んだと言われています
もうちょい行けるか、と思ってインドを回り込もうとしたのが間違いでした
ケープに着く直前で3隻いた船団は全滅 ごめんねジョヴァンニ
確かに彼の探検は終わりましたが、同時に彼の人生も終わってしまいました
ですが彼の遺した地図はなぜかイタリアに伝わります
彼のやったことは決して無駄ではなく、むしろイタリアへの偉大な貢献になるのです
ありがとうジョヴァンニ 君はともかく君の地図は絶対に忘れない
ジョヴァンニがまったり探検している間、ヨーロッパではまたも不穏な空気が流れ始めます
それは平和を願うイタリア人にとっても変わりません
北から聞こえる銃声に我関せずでいられるはずはないのでした