17世紀も中盤に差し掛かりました
史実ではドイツの三十年戦争がようやく終結し、ウェストファリア条約が結ばれた時期です
この条約はドイツ諸侯の独立性をほぼ完全に認めたために「神聖ローマ帝国の死亡診断書」とも言われました
これを境にハプスブルク家は神聖ローマ帝国を捨て、オーストリアという主権国家の君主として振舞うようになります
この戦争は本来宗教戦争であったのに、カトリック教国のフランスが介入したことで宗教色は一気に失われます
対抗宗教改革によって激化していた魔女裁判も、この頃をピークに少しずつ消えていきました
宗教や皇帝といったイデオロギーが物を言う時代は終わりを迎えたのです
「神は死んだ」「神聖でもなければローマ的でもなくそもそも帝国ですらない」
前者はニーチェが19世紀に、後者はヴォルテールが18世紀に述べた言葉ですが、神も帝国もそのずっと前から埋葬されるのを待っていたのかも知れません
ゲームもそろそろ折り返し地点です
正直、AARもここまで長くなるとは思っていませんでした
今更ながら章の番号を漢数字にしたことを後悔しています・・・
ではイタリアの話に戻りましょう
さて、今やイタリアは世界でも一二を争う大国です
国を引っ張る者は変わりましたが、イタリアとしての目標は変わりません
もはや「家」ではなく「国」が主体になる時代になったのです
世界帝国イタリア
その領土は世界中に広がり、ほとんど太陽の沈まない帝国と呼ばれるまでになっています
それ以上の国力を持つのは世界でもただ一国、オスマン帝国だけです
しかしイタリアが恐れているのはオスマン帝国ではありません
もちろん弱体化したオーストリアも違います
世界中で利害が対立するスペインは確かに脅威ですが、本国には来ませんし、植民地の勢力も大したことはありません
恐ろしいのはイタリアの隣に数万の兵力を貯め込み、とんでもない能力の将軍を抱える青ガエル
その名も青g フランスです
フランスはイタリアが建国されるずっと前から周りの国に侵略を続ける問題児でした
オーストリアとスペインその他大勢をほぼ一人でボコボコにしたりと色々えげつないことをやっています
17世紀中盤に入ってフランスが狙ったのはリエージュ
ドイツとフランスの狭間にある司教領です
戦争を仕掛けられたリエージュは同盟国ブラバントに支援を要請しました
そしてブラバントは同盟国イタリアに参戦要求を送ってきたのです
たらい回しですね
プレイヤーのポリシー的に義を重んじる我らがイタリアは同盟の履行を決定します
久方ぶりの大戦争の予感です
戦争開始と共にフランス軍は北方に侵入しているブラバント軍を無視してイタリアに直行 なんでこっちに来るんだ
ピエモンテにいたイタリア軍に向かって突っ込んできます
ここは山岳、イタリアの将軍も無能なわけではないし負けるはずがない!
ところが、このときフランスの歩兵はイタリアのそれより一世代先のものであり全く歯が立ちません
ボコボコにされたイタリア軍は泣きべそかいてフィレンツェまで逃げ戻ってきました
フィレンツェで涙に暮れる司令官に強烈な追い打ちがかけられます
なんとイタリア本国艦隊が全滅したと言うのです
えええええ 大型とガレーと輸送船と合わせて60隻もいたんだぞ
もう技術革新で艦隊の入れ替えをする予定だったけど、まさかフランス海軍に負けるとは
結局イタリアは焦土化作戦でピエモンテ地方を灰にしながらもフランス軍の撃滅には成功します
住民からすればどちらが敵かわかったものではありません まあ焼き畑農業でもして頑張ってくれや
ピエモンテの住民に焦げたトマトを投げられながらも、何とかフランス領内のスペインのコアを返還させることができました
少しでもフランスの力を削らないとイタリアの安寧は保てません
しかし、戦争に勝ったとはいえイタリアは長い平和によって軍事への投資が疎かになっていることが露呈してしまったのです
あああ艦隊を再建しないと・・・お金・・・マンパワー・・・
だが戦争に負けたわけではない これを教訓にすればいい、負けて兜の緒を締めるのだ
新型の船が作れるようになったので本国の艦隊を再建しましょう
フランスには無料で処分を手伝ってもらったと思えば問題ない でっかいゴミ処理業者だと思えばいいんです
財政をカツカツにしながら建艦と植民を進めていると、またロンバルドブラジルがいじめられているのを見かけます
今度はカスティーリャラプラタに戦争を仕掛けられたようです
しかも戦争は既に終盤、ロンバルドブラジルはほぼ全土が占領されています
これはまずい 保護国を守れないとなればイタリアの威信に傷が付きます
ロンバルドブラジルのバックにはこのイタリアがいることを思い知らせねば
イタリアはラプラタに白紙和平を要求しました 弱いものいじめはやめなさい
回答は拒否とのこと
いいだろう 貴様の宗主国ごと葬ってくれる!
二つの世界帝国、スペインとイタリアの戦争が始まりました
戦争の指導権は互いの宗主国に移ります
スペインはいずれ決着をつけなくてはならない相手
それが今だったというだけの話です
戦争が始まると、再建されたイタリア艦隊はコロンナ提督に率いられて地中海を縦横無尽に駆け回り、スペイン船とみれば襲いかかります
やっていることは海軍というより海賊です
通商ルートをズタズタにされたスペインはやっと主力艦隊を地中海に派遣しますが時すでにおすし
その主力艦隊も、フランス戦後に強化されたイタリア艦隊の前には屍の山を築くことしかできなかったのです
世界の海でもイタリア海軍は我が物顔で航海します
フィリピンとインドにあったスペインの植民地は、制海権を握るイタリア軍が全て占領しました
それでも戦勝点は攻撃側の目標達成ボーナスと植民地軍の相次ぐ敗北で大幅なマイナス
領土獲得はおろか白紙和平さえ受け入れてくれません
こうなればイタリア本国が直々にブラジルへ赴くしかない イタリアは輸送艦隊の建造に着手しました
イタリアは大型艦、フリゲート、輸送艦合わせて80隻にも及ぶ大艦隊でブラジルに向かいます
かつて地中海はイタリアの海洋国家が支配していたんだ 舐めてもらっちゃ困る
輸送するのは国王が直接率いる親征軍28000
大艦隊の威容に恐れを成したのか、全く妨害を受けることなくアメリカ大陸に到着しました
ブラジルに降り立ったイタリア軍は、攻撃側の目標となっている土地を解放して戦勝点を一気に引き戻します
さらにカスティーリャラプラタ・ブラジル連合軍をコテンパンに粉砕しました
国王の軍事能力が優秀なので同数の戦闘では負け知らずです
まさかとは思いますが、もしやイタリア人には古代ローマ人の血でも流れているのでしょうか
勝利を重ねて戦勝点を10%近まで引き上げたところで、占領したスペイン植民地全土割譲の条件で和平します
保護国はキチンと保護する国家としてイタリアの株も右肩上がりです
この和平でアジアにおけるスペインの勢力を大きく後退させました イタリアにとっては大躍進です
数百年後の共通語はイタリア語になっているに違いありません みんなピッツァの発音が良くなっていることでしょう
二つの大戦を何とか乗り越えアジアの権益を確保したイタリアは、文字通り太陽が沈まない帝国になりました
しかし戦争は正直大変です 人は死ぬし土地は荒れるしいいことがありません
17世紀からイタリアが目指すのは圧倒的国力の下での平和の維持
イタリアによる平和
パックス・イタリアーナです