AAR/士気も規律もガレーも大型船も初心者も関係ないポルトガル

 

概要

このページはAARのおまけとして、陸戦思想アイデア選択について解説します。
私ごときが大規模な解説を行うなどおこがましい話です。温かい目で見てくだされば幸い。

いろいろな誤解を避けるために結構な長文になってますので、必要なとこだけ切り抜いて読む形が良さそうです。

 

消極的陸戦論(20/09/06作成)

長文注意
EU4における最適解というものは、もしあるとしてもプレイヤー個人の環境によって大きく異なることを最初に強調しておきます。

概要

以前のAARの中でも書いたのですが、陸戦を行うのが好ましい状況は限定されるというのが私の思想です。
原則は陸戦ほぼなしで戦争に勝利することを目指すべきと考えます。
つまるところ、CB対象・敵首都・各地の要塞を迅速に攻略して戦勝点を稼ぐことを最優先とします。

自軍の物量が敵軍より上回っているとき、原則としてAI陸軍はガン逃げモードに入るため、わざわざ追いかけなければ陸戦は発生しません。
この場合、AI陸軍の行動を制約して自国領の占領を妨害したり、AI陸軍に占領された自国領を速やかに奪還したりしながら、敵の要塞を一通り落とせば100点和平も遠くありません。

逆に自軍の物量が敵軍を下回っているとき、そもそもこのような状態での戦争は避けるべきですが、やむを得ない状況もあるでしょう。
原則としてAI陸軍は陸軍の少ない方向に進軍していくため、無人の自国領を囮にしたり、同盟国に敵軍を押し付けたりしながら、いわゆる占領合戦に勝つことを目指すのです。

陸軍の質の意味

陸戦をさほど行わないなら、陸軍の質を高める必要性は低くなります。
そもそも、陸軍の質が貢献するのはどのような場面であるか、そこをまず整理しておきましょう。

1.陸戦そのものを戦争の勝利に繋げる

敵全軍を殲滅&敵全土を占領の状態で「完膚なき敗戦」の効果を相手に与えることで、戦争開始直後であっても100点和平*1を通すことができます。
小国を速やかに滅ぼしたい*2ときは、敵全軍を殲滅したいものです。

あるいは、遊牧民における平原戦や、山岳要塞や海峡でのトラップ防衛戦で、敵軍の殲滅を続ける → 敵のMPと資金を枯渇させるアプローチに出るときです。
これは砲兵も解禁されてないような序盤に有効で、特に中小国スタートで有力な選択肢となります。

なお、聖戦CBのような陸戦勝利が戦勝点に直結するものを利用してるときでも、CB達成を優先せず要塞占領で戦勝点を稼ぐのが私のスタイルです。

2.陸戦における自軍の損害を減らす

どんなに注意しようが、視界外からの敵軍の突貫などで不意に陸戦が勃発してしまうことがあります。
そんなときにMPの損害を減らす、または自軍が殲滅されモチベが急落するのを避けるに越したことはないです。

とはいえ、そもそもの軍量があればAIをビビらせて突貫リスクを減らせますし、ダメージを受けたとしてもリカバリできますから、
これについても質より量が寄与する可能性があることは示しておかなければなりません。

3.陸戦でAI軍を殲滅して気持ちよくなる

プレイヤー厭戦の観点から言えば、逃げ回って塗り絵を仕掛けてくるAI陸軍を初手で始末しておくのは合理的です。
自国が大国になるほど注視しなければならない部分が増えるため、殲滅の魅力が上がっていきます。

ただし、(戦闘幅を満たしていない)敵軍に対し、10倍の数をぶつけることで、質に関係なく自軍の損害ゼロで一瞬の殲滅が可能です。
敵が分散したときはこの条件を満たすのがさほど難しくないため、これまた質より量によって達成できることがあります。

本当に質を求めている場合だろうか?

陸軍伝統は高いに越したことはないですし、将軍は強いに越したことがないですし、規律・士気の顧問の使い所はありますし、NIの陸軍強化は悪くありません。
ただしこれらの要素は、他の要素との間で(さして)トレードオフの関係にはありません。

「トレードオフ」や「機会費用」という経済学上の概念は、パラドゲーをプレイする上でも役立ちます。
その解説としてはこちらが分かりやすいです。

さて、軍事系アイデアでアイデア枠を圧迫することは、紛れもなく他のアイデアとのトレードオフの関係を生じさせます。

国土拡大の根幹となる統治・権勢、裏口拡大の根幹となる探検・拡張、AE抑制の諜報・宗教、国力上げの経済・交易、ストレスフリーの人文、ほのぼのの外交、物好きの海運と欲しいアイデアは多岐に渡ります。
特に序盤のアイデア選択は国家の方向性を大きく決定しますが、果たしてここで陸軍の質を高めるアイデアを取っている余裕があるでしょうか?

アイデアで質を高めることによる利得は存在します。存在しますが、それを選ぶことは他の利得を失っているという意味でもあるのです。

「純」軍事アイデアは少ない

ここで注意すべきは、軍事アイデア=陸軍の質の強化という性質とは限らないということです。
アイデアについて詳しくは別項目で取り上げますが、純然たる質系のポリシーは軍質ぐらいのもので、
言わずもがな非質系の軍量、質も高めるがそれ以外が極めて強い攻勢、そもそも内政系の貴族・富豪、パラドに嫌われてる防勢と、*3

よって、質以外の利得を求めることを重んじて軍事アイデアを取るという状況も大いに考えられます。
たとえば攻勢は「規律はなくても良いけど他が欲しいから取る」という選択肢もあるわけです。

とはいえ、軍質以外の利得で統治・外交アイデアに並びうるのは、軍量と攻勢ぐらいのものでしょう。
それ以外は良く言って趣味の領域、悪く言って存在感なしという印象を抱かざるを得ない。
もし純軍事アイデアを取るとしても、プレイヤー厭戦の管理だけを目的としただいたい六番目以降のアイデアですね。

総括

「質以外の方法でどうにかしよう」というアプローチが私の基本戦略です。

この考えは必ずしも私に固有のものではなく、数ある先人の方々に採用されているものです。
WC常連の人は、序盤のアイデアがほとんど非軍事で統一されてます。終盤になって攻勢or軍質を取っている程度です。
1531オイラトの人は、これまでの日本語AARの作中で一度も軍事アイデアを採用した形跡がありません。
ほのぼのの人は「城壁破壊にMILを使うせいで軍事技術が遅れる」という迫真のスタイル。さすがに私は恐ろしくて軍事技術は上げてます。

 

旧版アイデア解説(19年8月作成)

2019年の8月、つまり一年前に書いた身内用のアイデア論評を載せておきます。
1.29時代の古いものであり、今とは変わってる点も多いですが、話の叩き台には使えるかと。
防勢の解説内容がやたらタイムリーでびっくりしました。一年前のわたしは預言者だった・・・?

五段階評価で、~が付いてるのはプレイ方針によって価値が変動するものです。

 

経済☆☆☆☆☆~☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆
DEVポチのコストが下がるのが長期的に君主点の節約になる。金回りが劇的に楽になるためどんなプレイでも強い。
拡張プレイでは他のADM系アイデアの価値も高まる都合、相対的に非拡張プレイほど経済を使いやすくなるが、よほど金回りが安泰でない限りは早期に取りたい。
ポリシーは陸軍・内政の両面で強い。
宗教☆☆~☆☆☆☆
本体は七番目の聖戦CB、異教・異端に隣接するだけで即使用可のお手軽、DIP消費なしで領土切り取り放題な上、AEを75%に抑えるため包囲網の対策になる。
他の改宗関係の効果も強力で異教・異端プロビを抱えがちな拡張プレイに対応している。ポリシーも陸軍絡みで強力なものが多い。
人文とNIの組み合わせで異教・異端寛容度を高くできるならまったく改宗しない戦略が現実味を帯びてくるため、その場合は拡張プレイでも不要となる。
人文☆~☆☆☆☆
拡張プレイに必須。これを取らないで拡張すると反乱に延々と付き合うハメになる。攻勢とのポリシーを使うと反乱完封も見えてくる。
地味に関係改善の効果を高めるため、包囲網対策にも有効。あまり拡張しない場合、宗教以上統治未満の水準で不要となる。
統治☆~☆☆☆☆
拡張プレイに必須。本体は二番目のコア化コスト-25%でADMを大節約でき、「コア化時間」も-25%してくれるのが大きい。
OEの発生期間を短くしてくれるので、汚職などのペナを抑えたり急速に拡大するのに役立つ。他の効果はショボいため、拡張しないならまったく不要。
革新☆~☆☆☆
貴重な戦争疲弊低下が六番目にあり、信仰の守護者やポリシーで対応できない場合に欲しくなる。他の効果は特化した強さは無いが全体の底上げに繋がる。
拡張☆~☆☆
貴重なADM系アイデアの枠をここに注ぎ込んで良いのだろうか。
植民者が二人増えるのが本体だが探検の一人をこき使って並行植民すれば事足りる場合が多い。
戦争で拡張しないプレイを徹底するなら、他のADM系アイデイアの価値が下がるので辛うじて選択肢に入る。
探検とのシナジーで植民の進展は高速になるが、そこまで自前で植民せずとも、植民地国家に任せたり原住国家を滅ぼしたり他国の植民地を奪えば済むのでは。
交易☆☆☆☆~☆☆☆☆☆
癖の強いDIPアイデアの中では珍しく安定感のある性能。
植民地国家・貿易会社から商人を得にくい地域なら早期に欲しいし、既に十分な商人が居るときでも交易収入を確実に引き上げる効果がある。
ポリシーも内政に寄与するものが多く、枠が空いたら気楽に入れられる。
外交☆☆~☆☆☆☆
実は拡張プレイ用のアイデアであり、一回の講話で多くの領土を切り取る効果が本体となる。
帝国主義CBと合わせて大国を殴ると、OE200%近くまで領土を切り取るのも夢ではない。
外交官二名と関係改善プラスの効果で、包囲網対策にも堅実な効果。婚姻を切ることによるデメリットが無くなるのもときどき役に立つ。
諜報☆~☆☆☆☆
AE抑制ガン特化アイデア。直球でAEを下げる唯一無二の効果を筆頭に、クレーム付けまくりで領土獲得時のAEを抑え、追加される外交官をこき使う。
HRE内ではAEの溜まり方がえげつないため有力な選択肢になってくる。AE関係以外の効果はカスであり、極端なAE対策を必要としなければ取る価値はない。
海運☆~☆☆
扶養限界増加や維持費削減など効果が軍量に近く、質の面での効果は無いに等しい。
大量の小型船で交易シェアを握ったり、大型船の物量でAIを寄せ付けたくないときに選択肢に入ってくる。
海運コンプ+特定ノードのシェア確保で、商人が貰えるミッションも地味に嬉しい。
探検☆~☆☆☆☆☆
現行の環境では植民地国家・貿易会社から得られる利得が極めて大きいため、これらに早期にアクセスできる地域であればとてつもなく強力な効果を発揮する。
逆に言えば、早期にアクセスできなかったり、首都大陸制限でそもそも利用できなかったりすると途端に死んでしまう。
ゲーム中盤からは、植民地は育てるものから奪うものに変わっていくのだ。
権勢☆~☆☆☆☆☆
「属国を利用した拡張プレイ」のためだけにある玄人向けのアイデア。
「noCBでティムール属国してコア回収」という言葉の意味が分かって、実行する覚悟がある人のために存在する。
当然、統治とのポリシーで外交併合コストを下げるのも必須。
通常CBで領土要求等をする際のDIPの消費を抑えたり外交官の移動時間を短縮したりと、属国の存在に関係なく役立つ効果もないことはない。
軍量☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆
いちいち効果を説明するようなものでもなく、取らない選択肢は無い。問題は「いつ」取るかだけ。
AIはマンパワーを見て包囲網参加を判断しているため、事実上として最強の包囲網対策でもある。
攻勢☆☆☆☆☆
質の面では最強級の軍事アイデアで、早期に取りたいものの一つ。
どちらかと言えばアイデア後半に強力なものが多く、場合によっては軍事技術を遅らせることすら選択肢に入る。
野戦を回避するプレイスタイルであっても、扶養限界と包囲速度に寄与するために有用となる。
軍質☆☆☆☆~☆☆☆☆☆
攻勢に劣るのは効果が海軍にも振り分けられているからだ。
それでも強力なのは間違いなく、ポリシーについてはむしろ陸軍にガッツリ入り、攻勢を上回りうる。
防勢☆☆☆
二番目で士気が+15されるのは特筆すべきもので、最初のアイデアとして選択すれば疑似エランができる。
しかし、エランがエランたる所以はフランスの国力にあるのだから、小国が取ったところでどうこうなるものではない。
よほどの狙いがなければ、初手防勢からの戦争は有効な手段となり得ないだろう。
貴族☆☆☆~☆☆☆☆
指揮官枠が増え指揮官包囲に+1されるため、大国間の戦争で貢献度が大きい。
NI・ポリシーも合わせると騎兵の戦闘力が凄いことになるので、騎兵による野戦で蹂躙&大量の砲兵による要塞即落ちと言えば強そうだが、
やたら金がかかる関係、歩兵の数で押し潰したほうが面倒が少ないのも事実。
富豪☆☆~☆☆☆
飛び抜けた効果は無いが戦争・内政の両面にバランス良く効果を発揮する。
しかし、たいていの国家では貴族に枠を奪われてしまうため採用すらできない。
富豪を取るためだけに既存の政治体制を切り替える価値は無いだろう。ちなみに頑張れば貴族との両取りすら可能ではあるが、やはり利益があるとは言い難い。
海軍
これ要る?海軍の量ではなく質を伸ばすのだが、質を伸ばして利益がある場面は限定される。
軍質や海運で海軍力をケアできることも踏まえ、ガチで存在意義が分からない。なによりMILアイデアの枠を食うことが致命傷。

*1 通常、戦争開始直後だと「戦争の期間」との兼ね合いで100点和平が難しい。
*2 相手国の滅亡・属国化を強いる和平条件にはネガティブな修正が加わるため、このときも「完膚なき敗戦」を目指すと迅速。
*3 軍事系アイデアは全部で6つだったと思うので、これで足りてますね。

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