このページでは, マルチプレイで好まれる宗教について, 宗教グループ別に解説を行い,
それらについての大まかな評価を示しておく.
評価であるが, SおよびAからDの5段階で評価する.
全般的に、(正教会以外は)最強とは言い難い性能が並んでいる。そのため、ゲーム初期で多くの国家が国教としているカトリックから、他の宗教へと改宗する風景もよく見られる。(正教会以外は)良くも悪くも横並びといった性能であるために、マルチによって様々な宗教で欧州が塗り絵されていることもしばしばである。
評価 : A
効果一覧 | |
自宗教tolerance | +1 |
異端tolerance | -1 |
教皇システムが利用可能 |
一言で行ってしまえば, 残念宗教であった。
ゲーム序盤のカトリックとイスラム教のスンニ派・シーア派とを比較すると、pietyやschoolによってその性能に大幅な差が見られる。
しかしEmperorの追加によって、トリエント公会議と金印勅書、そして教皇の支配者を思うがままに操るカトリックのプレイヤー国家は、決して侮れない力を持つ。
教皇システムの一つである, Papal controller(教皇の支配者)が強力だからである.
その効果を一覧にしてみれば
Papal controller | |
外交官 | +1 |
威信 | +1/年 |
安定度コスト | -10% |
advisor数 | +2 |
advisorコスト | -20% |
指揮官枠 | +1 |
AE*1 | -20% |
技術コスト | -5% |
と凄まじい.
このようにPapal controllerを常時確保できるなら強いのだが,
確保できるかどうかは運が絡むためむつかしい.
なお, このうえPapal controllerは宗教改革の時代が終了するまでは、破門(excommunication)および十字軍(crusade)(金印勅書の効果によってそれ以後も可能)を実行可能であるが, 対人戦が激しくなるのは1650年以降である事が多く, やはり対人での有効活用には課題が残る。
とは言え、トリエント公会議で異端に厳しい姿勢を取り、カトリックを信奉する国家が減ることでPapal contorollerを独り占めした時の性能は凄まじいものがある。一時の"カスリック"と呼ばれた頃よりは明確に強化されたと言えるだろう。
評価 : A
効果一覧 | |
national tax modifier | +10% |
improve relations | +15% |
Church aspectシステムが利用可能 |
実際のところ大して強いわけではないが, Catholicよりは余程使い勝手が良いため,
欧州全土がプロテスタントになる光景はマルチでは日常である.
Church aspectによって痒い所に手が届く宗教と言えるだろう.
Church aspectは色々あるが, 軍質の大事なマルチでは
規律 | +2.5% |
陸海morale | +5% |
人的資源回復 | +10% |
が選択される事が多い.
なお, 最後の人的資源については, 平時ではproduction+10%や
idea cost -10%, あるいはdevelopment cost-10%などを選択する方が良いだろう.
評価 : B
効果一覧 | |
Possible advisors | +1 |
異端tolerance | +2 |
Fervorシステムが利用可能 |
異端toleranceが高いのが評価が高い.
これは, 改宗時の困難さを低減させるし, 他にも色々役に立つ.
さらにfervorをstabilityに振る事でunrestも下がるし, とにかく改宗時に安定する.
また, fervorをtradeに降ればtrade eff.が上昇するため, 交易立国のenglandやspainにお勧めである.
protestantと比較して, 基本的に相互互換か若干の下位互換といった存在ではあるが,
貴重なnaval moraleを上げられる事もあって, 海洋国家なら一考の余地があるだろう.
評価 : S
効果一覧 |
Patriarch authorityシステムが利用可能 |
クソつよ正教くん + 1145148101919点.
Patriarch authorityのtaxペナ削除とIconによる規律やAE低減の追加によって, 屈指の強宗教へと躍進した.
PolandやHungaryでプレイする際には, 普通に改宗を検討するレベルである.
EU4の戦争は基本的に規律ゲーなので, 規律が5%上がる宗教は全て強い.
そもそも, Patriarch authorityが上げやすくなったことも大きい.
このPatriarch authorityは, missionary strength+2 * Cを国家に与え,
正教のprovinceにはlocal unrest -3 * C, local manpower +33 * C [%]を与える.
なお, このCは現在のauthority / 100によって計算される値である.
metropolitanを宣言することでpatriarch authorityを5%上げられる事も強力で,
自分で能動的にauthorityに干渉できるようになった事が非常に大きい.
state maintenance + 10%など誤差レベルでしかなく, それより人的資源ブーストの方がよほど強力である.
なにより規律ゲーのマルチでは,
他にはAE低減の
institution伝播 / 受容コスト削減の
最後に
これと時代ボーナスがあれば, Mil. 25でabsolutismを1上げられるのだから......
......要するに, 全部強力と言う事だな!(思考停止)
評価 : D
評価される事すら稀な宗教である.
エチオピアプレイ以外では, お世話になる事すらないだろう...
そもそもマルチでコプトのボーナスはせいぜい2つしか取れないし, それではコプトの本領は全く発揮できない.
とっととイスラムに改宗した方が強いであろう.
評価 : C
実質ブリテン専用の宗教である。金・重商主義稼ぎが得意ではあるが、金はECという最強の交易ノード、重商主義は特権によって勝手に湧いてくるために、中々選択されることはない。
評価 : D
Emperorで追加された宗教。プラハにしか存在しないために、ボヘミア以外の国家が使うことすら困難であるが、その性能自体にもあまり評価すべき点が存在しないというのは困りものである。Pacifismで関係改善を+30%したところで異端によってAE補正が増加してしまうのを打ち消す程度にしか役に立たず、人的資源+20%も優秀ではあるが、HRE内で異端というペナルティを抱えてまで改宗するメリットを見出すことは難しい。
最強ではないかもしれないが, 最良の宗教グループであると言えよう.
というのも, HinduやOrthodox, Shintoがそれぞれ尖った強みを有する宗教であるのに比して,
柔軟性に富んだ, 最も使いやすい宗教グループであると言えよう.
と言うのも, Pietyシステムがかなり有能であるからだ.
Pietyの効果は+に振っても-に振ってもそれぞれ3つあり, それは以下に示す通りである.
なお, CはPietyの絶対値を100で割った値である. (i.e. Pietyが-30なら, C = |-30| / 100 = 0.3)
どちらに振っても強いが, +に振っている時は-時の, -の時は+時の補正を得る事は出来ない.
だがPietyの調整によるプレイ選択肢の多さと, そもそものPietyの管理の楽さは,
それを補って有り余るだろう.
極端な話ではあるが, aragon / naples併合後のcastileなら, かなり面倒ではあるもののsunniになってもいい位である.
また, 使いこなすことは難しいが, muslim系宗教が国教かつ国内に異教州を抱える場合, dhimmi(ズィンミー) estateも使用可能となる.
東欧技術グループが有するcossacks estateが外付け陸軍estateだと言うなら,
dhimmiは外付け聖職者estateであり, 主にtaxを補正する.
だが, このestateの真価はtaxではなく, loyalityが60以上の時の技術コスト削減である.
dhimmiがloyalかつinfluenceが十分に大きい場合, このestateだけで技術コストを最大10%も削減するが,
Piety -100と組み合わせれば簡単に技術コスト20%引きである. これを強力と言わずして何と言えるだろうか.
技術コストの計算が, 技術グループ制からinstitution制に変わった現状,
最大20%引きと言うのは過去verと比して相対的な強化と言える. *2
問題はdhimmiの機嫌を取ることは意外と難しい事であるが......それさえ何とかできるなら強力無比であろう.
なお余談であるが, muslim系宗教はすべて被征服時改宗強度-2を有している.
要するに, 他国がmuslim系宗教州を奪った時, その地を国教に改宗するのは難しくなる訳である.
また, Chance of new heir + 100%もあるが,
正直なところ同君システムのない非キリスト教国でこの補正があっても若干困る...
以上のようにイスラムはPietyが本体であるため, 個々の宗教には話すことはあまりない.
だが, 念のため個別の特性も解説しておく.
評価 : A
効果一覧 | |
cavalry ratio | +10 [%] |
Pietyシステムが利用可能 |
Pietyが本体. 以上.
強いてcavalry ratioのメリットを上げると,
意外とottomanや遊牧民と言った騎兵が主力になる(時期がある)国家と相性が良い.
イェニチェリのイメージが強いため忘れられがちではあるが,
Ottomanの場合, 「mil 13まで」は騎兵が存外強力なのである.
史実のOttomanがSuleiman大帝辺りまでスィパーヒー騎兵が主力であったのと同様,
このゲームでも, Ottomanで騎兵を集中運用することは, "中盤までは"相手を殲滅する際に役立ってくれる.
まあ, こう言うニッチ以外に活躍の場を見出すのは難しいし, そもそも遊牧民に至っては
Tengriでsecondary religionを無しにしてしまえば騎兵レートが100になるので, 微妙感は否めないのだが.
評価 : S
効果一覧 | |
陸軍morale | +5 [%] |
Pietyシステムが利用可能 |
Pietyと合わさって, 文句なしに最強クラスである.
昔はmorale +10%だったが, あまりに強すぎたためにnerfされた.
それでもなお, Piety +100時のmorale +15%は強力で, 全ての宗教の中で単独トップである.
ただアキレス腱として, そもそもshiaの州自体が少ないため, 拡張時の改宗に"非常に"苦労する事が挙げられよう.
もっとも, 受容文化にぶち込んだ上でPietyを+100にすれば意外と何とかなるのだが.
評価 : A
効果一覧 | |
交易品生産量 | +10 [%] |
Pietyシステムが利用可能 |
イスラム教三兄弟の中で一番影が薄い奴。
とはいえ、その性能には侮れないものがある。学派を自由に選べ、序盤では中々得ることの出来ない交易品生産量のbuffが貰え、pietyに悩まされずに法学者を招聘出来る。輸入することこそ苦労するが、非イスラム教国家が改宗する時にsunniかibadiかを考えるならば、ほぼ間違いなくibadiに軍配が上がるだろう。
上座部仏教・密教・大乗仏教の3者は、Karmaシステムと呼ばれるものを持つ。マルチにおいては、征服の多さからカルマがマイナスとなり、本来ならば規律+5%,外交評判+2%の凶悪な性能であるところが、規律++2.5%の効果しか受けれない場合が多くなるが、それでも軍質の向上にはそこそこ貢献してくれる。
評価 : D
効果一覧 | |
Tolerance of heretics | +2 |
Idea cost | -5[%] |
Karmaシステムが利用可能 |
少数派で、性能も仏教の中では一番控えめで、これを信奉するベトナムの周りはより強力な宗教に囲まれている。
敢えてMahayanaを使おうとする意義がどこにあるのだろうか。これが分からない。
評価 : B
効果一覧 | |
Tolerance of heretics | +2 |
Advisor cost | -10[%] |
Karmaシステムが利用可能 |
仏教の中では最も多数派で、仏教国をマルチで使おうとしたら、これが初期の国教になっていることも多いだろう。顧問コスト減は序盤に非常に大きな効果を発揮するが、後半になるにつれてその価値は減少していく。
評価 : A
効果一覧 | |
Tolerance of heretics | +1 |
Morale of armies | +5[%] |
Karmaシステムが利用可能 |
仏教三兄弟の中で唯一Karmaシステム以外で直接的に軍質に貢献してくれる宗教。チベットにしか生息していない宗教であるために、改宗することこそ容易ではない。
しかし、改宗することが容易ではない代わりにその軍質は特筆に値する強さで、規律+5%と陸軍士気+5%の組み合わせは並大抵の宗教を凌ぐ強さとなっている。
評価 : C
効果一覧 | |
Tolerance of heretics | +2 |
Administrative technology cost | -10[%] |
Harmonyシステムが利用可能 |
明や清といった中国大陸の国家が国教とする。Harmonyシステムの効果は微妙そのもの。調和するのに長い時間が掛かるのにも関わらず、その恩恵は僅かで、その待ち時間の間に他の宗教へと転向した方が良いのではないかとプレイヤーをやきもきさせることに長けていると言える。
長所としては、調和すればするほど性能が増し、さらに国教寛容度として異教・異端を扱えるために改宗いらずであるところが挙げられる。筆者個人の感覚ではあるが、6つほど調和することが出来れば、お隣の神道に並ぶ性能となると考えている。それまで一体何百年必要なのかは考えたくもないが。。。
評価 : S
効果一覧 | |
Morale of armies | +10[%] |
Isolationismシステムが利用可能 |
東の果て、中国大陸のさらに東に位置する日本列島にのみ生息する宗教。IsolatismのLv1,2の強化は強烈で、基本はこれを維持することを念頭に置きつつ神道特有のイベントをこなしていくことになるだろう。イベント自体も強力極まりなく、開発コスト-10%(IsolationismのLv1と合わせて開発コスト-20%!!)であるとか、陸軍士気+15%といった調整ミスを疑うレベルで強力な効果が50年間という長期間にわたって齎される。
以上の事から神道は、改宗力が低い代わりに、正教会やシーア派といったeu4を代表する強宗教に勝るとも劣らない性能を誇っていると考えられる。パラドは日本が好きなのだろうか?
特筆すべき点がほぼないために省略。トーテムは強いが、様々なマルチプレイを行う集団では、新大陸国家のプレイや新大陸へと首都を移すことが禁じられているため、これを活かす機会はほとんど無い。もしPaganを国教に持つ国家をマルチでプレイするならば、是非とも他の宗教へと改宗するべきだろう。
いわゆるダルマと呼ばれる宗教。eu4ではヒンドゥー教とシク教がこれに属する。
評価 : B
効果一覧 | |
Tolerance of True Faith | +1 |
Tolerance of True Heathens | +1 |
Brahmins influence | +10[%](Dharmaありの時のみ) |
インド亜大陸にて広く信奉されている宗教。規律+5%を持つシャクティを初めとして、各種へのバフが揃っているために良くも悪くも器用貧乏である。
しかし、器用貧乏とは言えども十分実用に耐える性能であるため、決してその評価は低いとは言えない。
また、Dharma導入時に、インド技術+hinduはestateが5つも存在する複雑怪奇な様子を示す。これによって、建設コスト減が積み重なって他の宗教では考えにくいほどの速さで内政が進む可能性があるのも強みと言えるだろう。
評価 : S
効果一覧 | |
Moral of army | +10 [%] |
Military technology cost | +10[%] |
Leviathanによって魔改造を果たした宗教。陸軍士気・軍事技術コスト減はともに強力ではあるものの、他の宗教に比べてさほどの優位性があるわけでは無かったが、正教会にすら匹敵する性能へと変化を遂げた。
まず、陸軍士気+10%は神道やシーア派のような強力な陸軍へのバフとして機能してくれ、軍事技術コスト減も、戦争相手より1年だけ早く技術を開けるために侮れない効果だ。しかし、シク教の真骨頂はGuruにこそある。
Guruは①Guruが存命中ならば対応する君主点+1、②Guruの死亡後には布教強度1%を消費して教義を選択できるという2つの効果を持つ。特に②の布教強度を消費して得られるバフが粒ぞろいで、最終的には軍熟練度+1%/年、陸軍士気+5%、規律+2.5%、人的資源+10%、軍事点+1、開発コスト-10%という凄まじいバフを教義から受け取ることになる。
Guruの教義を2つ選択して軍熟練度を+1%/年することをシク教の性能に勘案しているが、ここで、軍熟練度の効果を確認しておこう。データ/Professionalism and Drillingに書かれている通り、白兵・射撃ダメ+10%、包囲能力+20%、連隊訓練度喪失-50%に加えて、20%,40%,60%,80%,100%以上ならばそれぞれにバフが貰える。1M同士の会戦が珍しくないマルチでは、特に80%到達時の予備兵の被士気ダメージ-50%が強力で、これを目標に軍熟練度を稼ぐ行為が散見される。
また、徴兵基準の緩和によって、軍熟練度を5%減少させることで2年分の人的資源を獲得できる。つまり、1%辺り40%分の人的資源を回復できると考えられる。軍熟練度+1%/年、貴族の忠誠・影響力が60%以上、軍量アイデアをコンプしていると仮定すると、人的回復は+40%なので、1.4*0.4=56%分の人的回復速度のバフを受け取ることになる。しかもこれは軍熟練度の貯金と選択さえ出来るのだ。
以上の事から、シク教は特に軍事面において非常に強力な効果を発揮する。惜しむらくは教義を選択することで改宗力が悲惨極まりない事態に陥ることだが、この性能を鑑みれば諦めがつくだろう。