私にとって、致命的なまでに欠落しているモノ。
それは紛れもなく経験であった。
「外交の場に於いて重要とされる、『ハードパワー』を理解する必要がある。」
そう感じた私は、新たに加わった仲間と共に学ぶ機会を得た。
何を教わる訳でもなく、目に見える脅威だけを叩いて回る事は
数多くの戦訓を得るきっかけとなり、よくも理解しきれていない技術をいつの間にか身に着けていた。
だが、戦争を重ねる中で一つの疑問に突き当たった。
「勝利に強い魅力を見いだせる人ならいいのだろう。しかし、それ以外は...?」
Germanyの様に未来が明るい国もあれば
Englandの様にいつまで経ってもDark Ageの国もある。
システムやマルチに精通しているなら、理解した上で初期選択を行うであろうが
実情はそう甘くは無いし、あまりにもゲームが過ぎる。
加えて言うならば、勝利を目指すあまり
楽しみ方の多様性を殺すファクターになりかねない。
果たしてそこに外交と呼べる程に上品なものが芽生えるのだろうか。
ハードパワーからソフトパワーへと外交指針が切り替わったのも、この時期である。
開始以来、煽られ続けてきたOttomans=Mughalsの仲だが
先のAustria戦時のMughalsの立ち回りは、関係を強める一つのファクターとなった。
ここへ来て、OttomansはMughalsとの本格的な提携へとようやく乗り出す格好となった。
内容は、公然と発言していた「貿易を捨てている」に関連があり
その時、イデが発動したで触れた「4.貿易は捨てて海洋国家との敵対を極力抑える。」は、まさにこれを指すモノである。
他に、純粋に貿易に関する知識が乏しいので考えるのが面倒だったからというのもあるが非常にどうでも良い問題である。
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Ceylon発の貿易路をなるべく多くのノードを仲介してPersiaまで富を運んでくるという提案である。
既にインド洋のトレードノードは海賊の手に落ちてしまっている為
少しでも富を運び込むために、余った商人はノードに配置。
折角集めたPersiaまでの富がOttomans側に流れ出しては意味が無いので
MughalsにはCollect商人をTradePortに配置して貰うというものだ。
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実の所、この案自体は開始時点で関係が良好に築けそうであれば提案するつもりで居たのだが
諸々の理由でそれどころの話ではなかった。
Ottomansの取り分はと言うと、Persiaで吸い上げられた富の残りを貰う程度であるが
貰えるだけで幸せである。
他の外交が進行する中で
一向に海賊について問い合わせが来ない事に違和感を覚え始めていた。
MoroccoをOttomansごと叩こうという計画を練っているという可能性も考えてはいたのが
それにしてはあまりにも外交ステージが静か...っていうか、動きが全く感じられなかった。
仕方ないので、海賊被害者の会と化している4ヶ国チャットに該当の話題を放り込み
反応を見てみる事にしてみた。
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凄く楽しそうにしています、本当にありがとうございました。
何かしらの対海賊連合が組織されていた結果、はぐらかそうとしている可能性もあったが
前後の会話で「Moroccoの遣り甲斐が海賊だから仕方ない」といった諦めの言葉を口にしていた事から
その気が全くないように思えた。
続け様に、何故か海賊活動を促進かのような話題に移り変わっていった。
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Moroccoからでは、植民距離がマラッカには届かないようで
行きたくても行けないようだ。
行ったところで植民地は燃やされるだろうし
決して見たいとも思えない醜い戦いがそこでは展開される事は予想出来た。
話題は、Japanに関連してRussia戦に於けるJapanへの対応に切り替わっていった。
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Japanの判断基準が何であるか、あるいは何を目指しているかについては、ぼんやりとしかつかめていないが
首位レースに関する話題を口にしていたというQingからの情報を見るに、意識していることは間違いないだろう。
そして、首位レースに参加出来る切符を持っている以上
他の候補者を蹴落とすべく、Russiaとの共同戦線を張る可能性は無いとも言い切れない。
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Russiaに勝ったとしても、そこで終わりではない。
マルチのセオリー的な物として、Ottomansは終盤にタコ殴りに遭うケースが多発(っていうかほぼ確実)している。
Russiaを殴った事により国際的な注目は集めるだろうし
首位を狙っていると判断されれば、当然包囲されるに違いない。
だが、Ottomansとしてはそれで十分だった。
Ottomansの目指していた勝利条件は少なくとも1位ではなかったし
常々VCでは「Ottomansは1位を取れない。」と発言して居た通り、その気は全くなかった。
では何を目指していたかと言うと、France/Hansaの勝利である。
もっと言えば、Franceの勝利と言うべきか。
彼には多くの荷を背負わせてしまったし
最後の戦争ではOttomansが盾となり、他の候補者すべてを巻き込んだ状態で道連れにするつもりで居た。
その他、外部の人間からのとある依頼によりマルチに参加した面もあるのだが
今の流れとは関係のない話なのでAARの最後にでも記載しようかと思う。
MughalsよりQingからの探りがあったという報告が入った。
現在進行形で話しているようで、どう対処すべきか問われた。
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QingがRussiaについても聞くという事は、少なくともRussiaの差し金ではないだろう。
もしかすると、ダイレクトに周辺各国との関係を聞き出し孤立していると判断すれば
殴り掛かるつもりで居たのかもしれない。
直ちに動く気配も無さそうであったし、放置しておくことにした。
最近、Swedenも東インド会社を設立していた事を知りました。
いや、割とどうでも良いけど...。
少し前に合意をしたEast India Company設立用のプロビ売却の件で
Japanからお声が掛かった。
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商人が余るという話をMughalsにしていたのは
このEast India Company分の商人の事である。
それを除いても、Ottomansにとって商人は余り気味でもあったのだが
商人自体は多ければ多いほどいい。
余った分は先述のように外交素材として活用すればいいし
過去のマルチでは、商人が配置されていないトレードノードを弄って
嫌がらせをするという事にも使われていたりもした。
Ottomansの回収するべき利権も残り僅かとなった。
他の多くの国が利権回収を獲得しているのに対して
拡張スピードに定評のあるOttomansが遅れていた一つの理由が、1TAX地帯のプロビ数の多さにある。
1TAX+Grainという目を背けたくなるような無価値のプロビを前にして
取得するのがただただ億劫であった。
とはいえ、拡張スピードが遅いという事は統計表を裏付けとした
脅威の扇動対象にもなり辛いので、悪い事ばかりでもない。
そして、残された利権と言うのがZanzibarトレードノード地域である。
一帯にはSpainが入植を果たしていたのだが、植民系Ideaを取る予定のないOttomansは
目標プロビを粗方植民し終えるまで待っていた。
軍を配置し終えた事を確認した上で宣戦し、一気になだれ込み
これらの制圧を計った。
目標プロビの一つが入植の真っ最中であった事から、プロビの収奪を行い
現地をOttomans領とした。
東に広がる島プロビを占領し終え、講和をした所
先ほど収奪した植民中のプロビが何故か更地になってしまった。
原住民の反乱対策に南アフリカを占領し終えた部隊を置きっぱなしにしていたのだが
POPも出なかったし良く分からない。
Japanが抱えていた戦争が一段落したとの事で
セイロン島のプロビを売却出来る時期を教えて欲しいと伝えられた。
こちらもSpainとの戦争が丁度終わったところだったので売却に応じ
張れてEast India Companyの設立する運びとなった。
Franceも既にJapanからプロビを受け取り
East India Companyの設立を果たしているようだ。
問題は、貿易で儲けようにもアジアからの富のみならず
集積地たる欧州側のトレードノードが海賊に荒らされてしまっている事なのだが...。
先の合意を基づき、Mughalsから商人の配置を要請された。
Mughalsの商人配置を確認した後にBasraへ承認を派遣、Persiaに富を運び入れた。
そして、ちょろちょろ溢れるPersiaトレードノードからの富。
Mughalsの富が爆増...と思いきや、あまり上がっていない。
例にもれずBasraにも海賊が派遣されている為
海賊の収奪効率に貢献したと言っても過言ではないのかもしれない。
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海賊が台頭し始めて、海洋国家と大陸国家で収入に開きが生じ始めたように思える。
本来、海洋国家はトレードによる収入面でアドバンテージを
大陸国家は強大な軍事力でアドバンテージを持っているはずなのだが
この場合、前者のアドバンテージが消失してしまっているのだ。
特に、1プロビ辺りのManpower産出量の低いHansaからすれば死活問題に違いない。
各所のトレードノードがどれだけ海賊に汚染されているのか比較しながら
世界旅行を楽しんでいると、ある衝撃的な事実に気が付いた。
あれ、Crimeaの商人配置しなくても良くね...?
未だに生き残っているGenoaがCrimeaトレードノードから富をひっぱて来てくれているので
Alexandria/Basraの2ノードに配置して商人が一人余ってしまう計算になるのだ。
「自分の利権で配置する場所もないしなー」と思いつつ、いくばか思案をめぐらせていると
ある意地の悪い案が浮かんできてしまった。
Astrakhanトレードノードに承認を配置して、Russiaの貿易収入を吸取るというモノだ。
純粋に富を吸い上げる作用があるのだが、実はそれだけじゃない。
RussiaがOttomansに対してどのような感情を抱いているのか
苛立ちの中で露わにするのを、悪戯半分でチェックしてみようという腹積もりである。
しばらくして、事態に気が付いたRussiaが遺憾の意を表明してきた。
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実際の所、海賊行為を働くMoroccoに「消えて!!」と言えば世界からさぁぁーっと波が引くように消失するのではないかという希望も抱いていた。
しかし、Moroccoプレイヤーのプレイ目標を知っている(開始前の外交で聞かされていた)Ottomansとしては
それが受け入れがたい要求であると感じていたし、言ったところで直ぐに再開するように思えた。
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ついに来た!!
伝家の宝刀、リアルCBによる宣戦か!?
Russiaの対Ottomans感情が爆発する時が...!
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来なかった。
っていうか、Trade Idea取るっていうのは脅し文句なのだろうか...。
Ottomansからすれば、Russiaの軍質が下がるのでむしろありがたいようにも感じられた。
程無くして、OttomansはAstrakhanトレードノードから商人を引かせたが
RussiaがOttomansを敵視していない事だけは分かった。
この期に及んでこのスタンスということは
France/Hansa/Morocco/Mughals/Qingから全く情報が洩れていないという証拠でもあった。
ふとしたきっかけから、これまでのプレイヤー戦争についての話題が持ち上がった。
ゲームが終盤に差し掛かり、これまでの流れを振り返ろうという事なのだろうか。
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頻繁にHansa戦の話題は持ち上がっていたが
既に全プレイヤーがMughals主導であった事は認知されているようだ。
他愛もない会話を重ねて幾中で、ある衝撃的な事実が明かされ
Ottomansは思わず腰が抜けてしまった。
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聞けば、FranceはAustriaから「Englandを共同で食べる代わりに、Hansa戦を手伝って欲しい。」と持掛けたようだ。
それでもって、Hansaを呼びつけSpainはFrance/Hansa/Austriaの参戦が決定した後に声を掛けられ
今更反対する事も出来ない情勢に陥っていたというのだ。
何という事だ...Spain戦は実質誤殺事件じゃねぇーか!!
戦略的には正解だったけど、なんだかなぁ...。
同盟を締結する際に、Franceから「私も呼ばれた身」という発言を耳にしており
てっきりSpainが首謀者なのかと思い込んでいたのだが、完全に盲点であった。
他国を動かしヘイトを背負い込ませ、自分の要求を通す技術だと思われる。
この場合、首謀者が誰であるかを外部の人間が知ることは難しいし
本質的な扇動者はバックヤードで見物を決め込むことが出来るので、なんら被害を被らない。
何故詳しく書くかと言うと、France=Ottomansの役決めが見方によっては近い(ぶっちゃけ同一)ものであり
Austriaの外交技術力が想定以上に高かったことを認知せざるを得なかった。
実にSpainには申し訳ない事をしてしまったと思った。
正直、すまなかった。
節々で手持無沙汰である事を呟いていたAustriaであったが
外交権も取り上げられ、拡張も出来ない現状にひどく不服そうであった。
実際問題、数時間ただ只管座ってるだけというのは拷問に等しいようにも思える。
かといって、何か誘って一緒に出来る事がある訳でもないのもつらい所だ。
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一周回って気でも触れてしまったのか、今度は全プレイヤー国家に10000Dずつ配り始めた。
皆一様にホクホク顔を浮かべ内政にいそしんでいたが
今一気乗りしない収入に、これを送り返しておいた。
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正直、喉が出るほど欲しかった。
皆貰ってるし内政に注ぎ込もうが誰からも文句は言われないだろうけれど
Austriaには、「誰かを勝たせる」力は残っているのだから
折角の国力を無為に帰すのは勿体無いように思えた。
既に話題にも挙がっていたMaldivesをどう処すか、Japanから問い合わせがあった。
該当地域はCeylonトレードノード地域に属するので
Mughalsの利権のはずではないのか。
先のMughals戦に於いて何かしらの取り決めがあったのかもしれないが
そんな事は部外者のOttomansが知る由もない。
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4ヶ国チャットで足場が欲しいという話をしていたMoroccoが早速食いついてきた。
Maldivesを取れば、下手をすればMalaccaにまで海賊が押し寄せる事になりかねないのだが
果たしてそれを見過ごしてもいいのだろうか。
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マイク越しにJapanが苦笑いしている事が伝わってきた。
面白くない事だろうし、反対しても誰も文句言わないに違いない。
Moroccoの行動があまりにも早すぎたのか、あるいは対立を恐れたのかは良く分からないが
Japanはそのまま引き下がってしまった。
その後、Moroccoは無事にMaldives/Diego Garciaを取得し終えた。
それから間もなく、Moroccoは直近のLight Shipと思しき艦隊をMalaccaトレードノードに注ぎ込んだ。
こりゃ激怒するだろう...と思いきや、意外にも冷静(?)な対応をして見せた。
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何だこの流れ。
抑えられない、溢れんばかりの怒りを逆ベクトルに作用させ
必死で自我を制御しようとしていたのかもしれない。
遂にMalaccaにまで海賊が到達したのを見て、Qingがボソっと「酷っ..」と言っていたのが印象的だった。
中国沿岸にまでその魔の手が及ぶのも、時間の問題かもしれない。
これまで、「何故、Genoaを放置しているのか?」という問い合わせを嫌と言うほど受けてきたが
Genoaが選帝侯であるという理由からであった。
先のAustria戦で、当面Austriaと刃を交えることは無いだろうし
何より彼から「早くGenoaを攻めて欲しい」と要請を受けたので、この際攻め落とす事にした。
攻め落とすと言っても、完全に消滅させるわけではなく
先にも触れた通り、貿易路を友好的に引っ張ってくれているので属国化する事にした。
プレイ終了後、海賊に懸念を抱いていると思しきプレイヤーから苦情が寄せられていた。
逆境もなんのその、海賊とサバンナのかれた土地を愛するMoroccoにして
その程度の批判はかゆみすら伴わない様子であった。
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たまにMoroccoがトリップしているなと感じていたが
まさか神々と直接コンタクトを取っていたとは...。
さすがは人類発祥の地を治める国、格の違いを見せつけられてしまった。