補遺1 estate配置の最適化について
マルチやシングルを問わず, 他人のプレイを見ていてしばしば気になるのは, estate配置の最適化問題である.
某PLに「(筆者HN)さんはケチだからねwww(直球)」とすら言われた筆者にしてみると, 最適からは程遠い配置をしている人がいると気になってしょうがない.
そのため本ページでは, どうestateを張るのが最適か, という問題に関し, 筆者なりの案を述べていきたい.
まず前提として, estateとはどのようなものだろうか?
非遊牧民の場合, estateは僧侶 / 商人 / 貴族の3つに大別される.
他にも国内に異教を抱えるイスラム国家であればDhimmiがactiveになり,
ステップ地形のプロビを抱える東欧国家ならCossackがactiveになるが, 問題を簡単にするためこれらは考慮しない.
また簡単のため, parliamentが有効な政治体制の場合に貴族estateが使用不可になるなどの例外も考えない.
3つのestateであるが, 僧侶はAdmとtax, 商人はDipとtrade, 貴族はMilと人的資源にそれぞれ対応しており, 彼らからは対応する資源を吸い上げることができる.
特に有効なのが, この君主点の吸い上げである.
(吸い上げの画像)
このestateに対する干渉ボタンは, ゲーム内時間で20年に1度押すことができる.
基本的に, このボタンを押さないという選択肢はない.
目の前に落ちている金貨を拾わない馬鹿が何処にいるのだ, という話である.
ここで, 搾り取れる君主点は, 各estateのinfluenceにより決定づけられる. 対応関係を示したのが以下の表である.
influenceが50未満 | 50点 |
influenceが50以上75未満 | 100点 |
influenceが75以上 | 150点 |
ただinfluenceが80を超えるとdisasterが発動するため, リセットできないマルチではinfluenceを60程度に抑えておくのが望ましい.
代理中に内政を見ていると, 意外と君主点を絞っていない人が多いのでここに記しておく.
ここまで読まれた方は, 「なんだ, MPを絞るだけか」と思われるかもしれないが, estateの最適化の本題はそうではない.
以下に示す二点が本ページの本題である.
以下では, この二点を中心に筆者の考えを説明したい.
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まず大事な事として, estateは対応する産出物に対するautonomyのペナルティを無視できるという点がある.
estateと産出物の対応関係をまとめた物を以下の表示しておく.
僧侶 | tax |
商人 | 船員, 海軍 FL, production, trade power |
貴族 | manpower, 陸軍 FL |
なお, 商人estateのあるプロビのtrade powerには + 50%の補正がかかり,
陸軍estateのあるプロビでは, 算出manpowerに + 20%の補正がかかる.
すなわちautonomy100のプロビはほぼ何も算出しないが, 何某かのestateを張ってやることで, 我々は対応する産物を得ることができるのだ.
つまり, 高autonomyのプロビにはestateを張った方がよい.
だが逆に, estateの存在するプロビはminimun autonomyが25%に設定されてしまう.
このため, autonomyが十分に下がったプロビからはestateを剥がすべきである.
これは当然であろう. どうして土地から得られる資源の25%を, 態々虚空に消えさせねばならないのだ, という話である.
ここで, 1つ重要な点として, 商人estateのあるプロビのtrade powerには + 50%の補正がかかる事を述べておかねばならないだろう.
これは単純に50%の補正をかけるため, CoTや河口といった, TPに補正のあるプロビに張ると効率的である.
故に, これらのプロビには優先的に商人estateを張ると効率的だろう.
ただ, 他国と競合していないtrade nodeでTPを無駄に増やしても全く意味がないので,
競合しない, あるいはしなくなったnodeの商人estateは剥がすべきであろう.
もしautonomyが高いなら, 他のestateに切り替えるのも良いideaであろう.
####まとめ####
autonomyの高いところにestateを張る方が良い事は先述したが, では各プロビにどのように割り振っていけばよいだろうか?
これはdevelopmentの"比率"によって決定する事が望ましい.
すなわち僧侶はtax, 商人はproduction, 貴族はmanpowerの"比率が"高いプロビに貼るべきである.
具体例を示してみよう.
貴族と僧侶にdevelopmentを30ずつ渡すにあたって, tax/production/manpowerが1/1/1のプロビを10ずつ渡した場合を考えよう.
この時, 元のautonomyが全て0出会った場合のtax, production, manpowerの増減を示したのが下の表である.
なお, 産物の価格は変動するため, これはxとしている.
tax | -0.25 * 10 = -2.5 / year |
production | -0.25 * x * 10 * 2 = -5x / year |
manpower | (0.2 - 0.25) * 10 * 250 = -125 / year |
次に, 貴族には1/1/3, 僧侶には3/1/1のプロビを6つずつ渡した場合の増減を考えよう.
tax | -0.25 * 6 = -1.5 / year |
production | -0.25 * x * 6 * 2 = -3x / year |
manpower | (0.2 - 0.25) * 6 * 250 = -75 / year |
やや極端な例ではあるものの, devの比率を考えて張ることで, 結構な違いが出てくる事を確認できるだろう.
さらなる具体例として, 1776年シナリオにおけるPrussiaを手に取って, 最適化を取り扱ってみよう.
ゲーム開始から1年経過させ, ロード直後に集中するAIによる寄与を減らしたデータであるため, シナリオ開始時点からはズレがあるがご容赦願いたい.
これが当時のPrussiaにおけるautonomy図である.
目を引くのは, Neumarkのautonomyの高さとMemelやMagdeburgといった交易上の重要地点に商人estateがない事であろう.
前述したように, 他国と競合するノードのCoT / 河口には商人estateを張り,
それ以外の地点はdev比でもって僧侶 / 貴族を割り振ったところ, 収入と人的資源は次のように変化した.
tax | prod | trade | max manpower | |
before | 15.44 | 11.77 | 11.62 | 43296 |
after | 15.12 | 12.09 | 12.90 | 44563 |
全体で見た収入が1.28と, 最適化前に比べて約3%増加しており,
最大人的資源も1267名と, こちらも約3%も増加していることも分かる.
taxが微減しているのは, 過剰気味だった僧侶estateを剥がした際にloyalityが下がったためであって,
loyalityが時間経過で回復すればこれも元の値を上回る.
このように, Neumark以外Autonomyがほぼ0という条件で試しても3%も収入 / 人的資源が変動したが,
これよりはるかに多くの高Autonomyプロビを抱えている場合は, その比率に比例して効果のほども大きくなる.
是非試してみて欲しい.