もしもイングランド王ヘンリⅥ世がフランス王を名乗るシャルルⅦ世を抑えてこの戦争に勝利した場合、英仏は同君を戴く連合王国となります。そうすれば、ヘンリⅥ世の王冠はアルビオンから英仏海峡を越えてルグドネンシスとアキテーヌにまたがる権勢を得、プランタジネット朝時代の悲願であったアンジュー帝国をランカスタ家が形成することになるのです。とはいえ、戦争に勝って支配領域を拡張しても、イングランド王国が拡張するわけではありません。あくまでもアンジュー皇帝たるヘンリⅥ世のもとにイングランド王冠とフランス王冠が帰するだけです。つまり、この戦争の勝利とは、ヘンリⅥ世とランカスタ家の私的な利益のための戦争で、戦争遂行に利用されているイングランド王国の福利の増進とは無関係なものです。こういう個人がその王位を濫用してする戦争で敗北すると、その指導者がどうなるかは南ベトナムの阮朝の最期やバチスタ政権の最期、ムッソリーニの最期などからも広く世に知れたことおよそまともな国。*1であればその独裁者を電柱から吊るすのです。現に史実では薔薇戦争によりヘンリⅥ世は退位した後、比較的すぐにロンドン塔で自然死(笑い)しています。ロマンに満ちた百年戦争ですが、今風に見ればちょこざいな独裁国の所業以外のなにものでもありません。
ならば、プレイヤーとしてはこの戦争敗けるわけにはいかないのです。勝たなければロンドン塔が待っていますから。